外交部は共産党のお荷物か

皇紀2676年(平成28年)6月5日

 http://www.sankei.com/world/news/160603/wor160603……
 ▲産經新聞:王毅・中国外相、記者に気色ばむ カナダで人権状況問われ「あなたの質問は中国に対する偏見」

 中共の北京政府外交部について、その化けの皮をここで何度も剥がしてきましたが、本年度先進主要国首脳会談(G7伊勢志摩サミット)の首脳宣言に日本などを名指しして激高したり、加州のステファン・ディオン外相に対する記者の質問に横入りして顔を真っ赤にする態度は、実は習近平国家主席のお望みではないはずです。

 共産党内序列の低い王毅外交部長の「必死の忖度」は、恐らく実を結ばないでしょうし、外交部自体の党内評判が悪いのですから、これらの態度がかえって中共の立場を危うくしていることに、そのうち厳しい処分がくだるかもしれません。

 なぜなら「泥棒はいけません」「人さらいしてはいけません」の説話に「俺のこと言うとんのかぃ」と勝手に中共が手を挙げて怒鳴り出せば、全世界は「やはりあなた、心当たりがあったのね」と返すほかないからです。

 次からは中共を名指しして非難声明を出してもよい、と外交部が言っているようなものでしょう。

 http://www.sankei.com/world/news/160602/wor160602……
 ▲産經新聞:世界ウイグル会議議長が中国の弾圧を激白 「火炎放射器で殺害」「警察官にその場で射殺する権限」

 そもそも王外交部長は、前出の加州での記者会見で、ディオン外相に質問した加州人記者に「わが国の憲法に人権保護が書かれていることを知っているのか」「わが国の人権状況について最もよく分かっているのはわが人民だ」などと怒鳴りつけましたが、旧東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)のウイグル人に対する暴虐の限りは、その憲法が全く守られていないというより何より、形式憲法の上に唯一絶対権力の共産党が存在する中共の現状を如実に表しているではありませんか。

 この恐るべき実態を最もよく知っているのは、確かに中共人民でしょう。これほどすぐに反論されてしまう程度のことしか強弁できないところに王外交部長の限界があり、これまで共産党内で出世できなかった理由が見えます。この人は、結局ここで終わりです。

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産經が露外務省に脅される

皇紀2676年(平成28年)6月4日

 http://www.sankei.com/column/news/160602/clm160602……
 ▲産經新聞:露外務省報道官様 「産経のインタビューに応じるな」 公式文書をあろうことか産経に発送 「たるんでませんか?」

 これは、産經新聞社の遠藤良介モスクワ支局長の記事ですが、私と同じ「団塊ジュニア世代」ながら既に鋭い分析記事の多い方です。しかし、以前にも申しましたが、産經自体が未だ「親米反露」の「旧冷戦時代」を引きずっているような傾向があり、私が盛んに「安倍晋三首相とウラジーミル・プーチン大統領の手で年内に日露講和(日露平和条約締結)を」と提言してきたのに対して露国関連記事の多くが反比例します。

 そのことがよほど露政府の目についたのでしょう。遠藤支局長は、わざと「公式文書を誤って発送するという初歩的ミスを犯した」と指摘していますが、敢えて露外務省が産經の支局に送ってきた警告文書、或いは脅迫文書の類いだと彼は分かっているはずです。

 一方、最近の露国の官庁が「本質的なところで劣化している」という指摘は、遠藤支局長ならではの鋭い分析と申せましょう。その理由を「大統領閣下の追従に熱心なあまり」としていますが、露外務省の北方領土(日本帰属は千島列島全島と南樺太)に関連する姿勢もそのせいで行き過ぎたり誤ったりしています。

 露国内の報道姿勢を見ると、特に南部ソチで開かれた冬季五輪開会式に安倍首相が先進国首脳で唯一人出席して以来、極めて親日的であり、いわゆる「反日」情報には報道価値がないという態度を取り続けてきました。これは、日本国民の多くがあまり知らない事実です。

 よって平成二十六年二月の開会式直後の露中首脳会談で、プーチン大統領が中共共産党の習近平国家主席に対日歴史観の歩調を合わせるような一言を述べても露報道各社は全く伝えませんでした。

 露政府としては、単に日米主導の「中共包囲網」に露国が利用されるのを嫌っているという合図だったのですが、国民感情を気にする報道各社は、反日的とみなされることのほうを嫌ったのです。これに露政府も「指導」を差し挟むことは当然しませんでした。

 プーチン大統領は、このようなことから日露講和を急いでも大丈夫だと判断しているはずです。問題なのは、産經以上に煮え切らない外務省の仕事ぶりであり、ここに連合国(主として米国)による日本国憲法(占領憲法)に忠誠を誓わされる現官僚たちの限界が顔を出します。

 そして、これを官邸主導で乗り越えようとする安倍首相が対露経済支援を先行させてしまう危険性を生んでおり、むしろ大きくバランスを崩して劣化しているのは、わが国の官庁のほうでもあるのです。

 占領憲法を捨てる覚悟をしないような首相にプーチン大統領が信頼を寄せることはないでしょう。それがわが国のためにならない「対露売国」なら私も拒否しますが、中共を睨む日米だけで太平洋防衛を担いきれない状況下で、東南亜各国や印国、豪州、露国の極東地域とも連携して事に当たる必要があり、一刻も早く日露が大東亜戦争を国際法上終戦しなければなりません。

 その覚悟が問われているのは、わが国のほうです。日本の対米依存に風穴をあけるドナルド・トランプ氏が大統領になり、米国のプレゼンスを低落させてくれることに最も期待しているのは、恐らくプーチン大統領でしょう。

 私たちが目を覚ますか米国と共に沈むか、ここで対露外交を誤ると悔やんでも悔やみきれないことになるのです。

米国の心は韓国から離れ…

皇紀2676年(平成28年)6月3日

 http://japanese.joins.com/article/392/216392.html
 ▲中央日報(韓国):米国が韓国人初のWTO上級委員の再任に反対

 平成二十五年十月十二日記事で「米国は韓国の反日を見破った」と申してから約三年。昨年末には、米国主導で日韓合意を果たし、未ださまざまな異論(特に海外報道の誤解という大問題)はあるものの私は、それが一貫して韓国の混乱を招くものでありながら日本が二度と「反日」の攻撃を受けないよう不可逆的解決に至ったものと一定の評価をしました。

 バラク・オバマ大統領が岩国基地で在日米軍と自衛隊を前に演説し、広島を初めて訪問しながら、かつて韓国人に斬りつけられたマーク・リッパート駐韓米国大使は、韓国の被爆者を自称する人たちとの面会を拒絶しています。

 むろん米国は米国の利益に沿って行動しており、それが時として非戦略的で、友好国や同盟国が次の日にはどのような扱いを受けるか分かりません。そのような米国の身勝手を前提の上で申しますと、これほど頑なに世界貿易機関(WTO)の韓国人上級委員の再任を米国が阻んだという事実は、もはや米国のこころが韓国から離れてしまっている証左なのです。

 北朝鮮がなぜ弾道弾発射を繰り返し、みっともなく失敗が続きながらも米国を刺激しようと試みるかという疑問は、この現実を前にして或る程度の説明がつきます。

 さらにリッパート大使は一日、安倍晋三首相が訪韓時の宿泊先に(ロッテホテルを嫌って)選んだウェスティン朝鮮で開かれた世界経済研究院招請講演で、「米韓自由貿易協定(FTA)が正常に履行されていない」「韓国は、環太平洋経済連携協定(TPP)に自動的に加入することなどできない」と断言しました。公式の場で大使としては、異例の発言です。

 大国どうしで利害が重なる日米のTPP参加は、米国の態度から見てことほど左様に危険だとも申せますが、一日に閉幕した通常国会で安倍内閣は、結局TPP承認の関連法案を成立させられませんでした。政府提出法案の成立本数は五十四本にとどまり、九月の臨時国会召集を待つことになります。

 韓国は、つまるところ半島の南北分断休戦中国家に過ぎず、今の世に於いても米国に寄るか中共にもたれるかに悩み、日本に助けを求めてみたりしなければやっていけないのであり、そうなると米国の無関心が致死的怪我になりかねません。

 一方わが国は、暫定的な国家でもないのに現行憲法(占領憲法)一つ処分できないでいます。今なお民政移管ができないでいるタイ(泰王国)は、新憲法草案の賛否を問う国民投票を八月に控えていますが、国家的混乱や異常事態ではなく冷静に国柄を起草した憲法の制定を議論できる環境のわが国が一体何をしているのか、と。

 いや、私たちの多くがあまりに平和過ぎてぼんやりしていたのですが、経済や貿易でも占領憲法の障壁のほうが高く、まして安全保障上の緊張が高まり、米国がいつまでも日本を擁護しないかもしれないとすれば、安倍首相が今夏の参議院議員選挙で堂堂と憲法問題を提起すべきなのです。

山尾→山井→玉木愚の連鎖

皇紀2676年(平成28年)6月2日

 http://www.sankei.com/politics/news/160601/plt160601……
 ▲産經新聞:民進・山井和則国対委員長代理 英紙風刺画“捏造”問題で誤りを認める 「外務省が否定しなかったので…」

 五月三十一日記事の続報があったのですが、民進党議員の言い訳が東京都の舛添要一知事並みに酷すぎます。山尾志桜里政調会長(愛知七区)は「元秘書のせい」で、山井和則国対委員長代理(京都六区)は「外務官僚のせい」なのだそうです。

 前出記事でご紹介した動画をご覧になってもお分かりの通り、つまらない「何とかチーム」を作りたがる民進党に呼び出された外務省職員は、山井代議士の痛い勘違い・無知に対し、すぐさま正しては政治家の面子を潰すだろうと「のちほど」と断ったところ、直ちに発言するよう山井代議士に言われて大間違いを指摘したにもかかわらず、あくまで外務省のせいだと繰り返す山井代議士には、メディア・リテラシーすら全くありません

 http://www.sankei.com/politics/news/160601/plt160601……
 ▲産經新聞:民進・玉木雄一郎議員「悪質な情報操作」と政府批判 サミット英語版資料に「リーマンショック」表記なし ネットで「和製英語だから」と批判殺到

 さらに、今度は玉木雄一郎代議士(香川二区)というまたぞろおなじみの方がやらかしました。ひたすら「the Lehman Shock」だけを探して「the financial crisis」の意味も知らずにまるで気がつかなかったのでしょう。

 別段全ての国会議員が難しい漢字を読めたり書けたりする必要も、英語や仏語などを理解していなければならないわけでもありません。要は、安倍晋三首相という彼らの政敵を正しく追い落とす能力を持っていないことが問題なのです。

 今更民進党を批判しても甲斐はありません。二度と政権を獲れない政党などどうでもよいのですが、この調子でどのようにして与党・自民党と公明党に挑めるのだろうか、と。それが私たち国民にとっての不幸であって、安倍首相の「リーマンショック以来の落ち込み」という説明を「『リーマンショックと同じ』と発言した」と責め立て、言った覚えのない安倍首相のさらなる説明に「嘘つき」と断じる程度の低さで、国会論戦になど期待は持てないのです。

東京五輪の年、安倍内閣か

皇紀2676年(平成28年)6月1日

 http://www.sankei.com/economy/news/160531/ecn160531……
 ▲産經新聞:【消費税増税2年半延期】公約より景気「財務省は間違い」

 消費税率再引き上げの中止を巡り、五月三十日記事で「二十八日夜に首相官邸で打ち合わせたシナリオに沿った言動ではないか」と申した安倍晋三首相と麻生太郎副首相兼財務相の対立劇は、やはりそうだったと思われます。

 一貫して財務省の立場を述べてきた麻生財務相の役回りは重要だったため、十%への引き上げ断念について、一定程度省内のカタがついたのでしょう。ザ・キャピトルホテル東急での約三時間の両者会談は、財務省による「安倍倒閣」を回避する戦術が整ったからこそ可能だったに違いありません。

 それをどのようにして実現したかまではまだ分かりませんが、とにかく財務省が税率引き上げを促すべく安倍首相に提出した予測資料は、どれもこれも出鱈目で実際にはほぼ全て外れました。税率八%への引き上げ後、国内総生産(GDP)は大幅なプラス成長どころかマイナス成長に堕ち、前回の増税延期表明の際には、金利上昇や国債暴落を唱え、結局はどれも起きなかったのです。

 よって三十日に申した「自民党総裁任期の延長」に財務省が乗ってくる可能性が高まりました。ならば自民党議員にも異論はないはずです。

 しかし、安倍首相が示した税率十%引き上げ予定は、平成三十一年の統一地方選挙と参議院議員選挙を終えた十月であり、東京五輪の約九か月前に当たります。選挙前の増税を嫌った用意周到な日程ですが、五輪直前には、恐らく増税できないほど「回復しているであろう内需(景気)」が失速を始めているかもしれません。

 或いは、この増税が五輪直前の内需失速の引き金になってしまいかねないのです。そこまで政権を維持したところで安倍首相に得があるのか、という別の問題が生じるでしょう。とりあえず内需回復を実現し、失速しそうなところで次の内閣に引き継がせたほうがよいと考えるかもしれません。

 この話は、あくまであなたも私も「もし自分が安倍首相だったら」ということに過ぎず、私たちの多くが内需委縮からの完全脱却を求め、それをある程度は維持したいと願っています。

 そこでこう申し上げるとまたお叱りを受けるのでしょうが、やはり消費税そのものがわが国の経済構造や人口動態にそぐわないものと申さざるを得ず、いっそ廃止してくれないかとも願わずにはいられないのです。