なぜGDP増でも実感ない
http://www.sankei.com/economy/news/161122/ecn161122……
▲産經新聞:【トランプ次期大統領】米に資金還流で新興国通貨安 メキシコペソは10%超下落 景気停滞で日本にもリスク
これまで労働組合や人権団体などが叫んできた「反グローバリズム」がいつから「極右」の主張になったのか、中途半端な「反日」諸君の見解を問いたいところですが、安倍晋三首相が新自由主義経済を語る有識者たちに圧されてグローバリズムに傾倒していることは、米国のドナルド・トランプ次期大統領に対する態度でも明らかです。
単純に思想の左右を線引きできない時代に入り、以前にも申しましたが日米ともに保守・革新の対立、互いに相容れない主張のぶつかり合いが激しさを増しています。
米国が環太平洋経済連携協定(TPP)の輪に加わらないことがほぼ明確になり、それでも貿易の「仮想敵国」を仲間に加えようとする安倍政権は、何か別のことに気をとられているように思えてなりません。
それは、自由貿易圏を「中共包囲網」に置き換えられると考える虚妄の類いというより、いわゆる「アベノミクス」の失敗を何とか誤魔化そうとする行為にほかならず、日本銀行主導の金融政策以外ほとんど機能しなかったことへの焦りでしょう。
今月十四日には、内閣府が七~九月期の実質国内総生産(実質GDP、季節調整値)速報値を発表しましたが、ここで語られた「前期比0・5%増」「三期連続増」は、間違いなく給与・物価下落(デフレーション)に逆戻りしたことを意味しています。
つまり、いわば「生の数値」である名目GDPが何ら変わらないまま物価が下がれば、実質GDPはプラスになるのです。今回そう申せるのは、わが国のGDPの六割を占める個人消費に関連し、GDP算出に用いる物価調整指数と同一でないにせよ目安になる消費者物価指数が三か月連続でマイナスに陥っていることが挙げられます。
私たちの生活実感と政府発表との著しい乖離は、このようにして起きており、デフレからの脱却なくしてアベノミクスの成功もなければ少子化対策も果たせず、トランプ政権の誕生で再び脚光を浴びる「日本を取り戻す」という国家的目標も何一つ実現しません。
金融政策には限界があり、消費税率の引き下げと積極的すぎる財政出動(国力を増強する資源開発やインフラ再整備といった大事業の着手)を同時に行って、執拗な財政再建派(財務省隷属派)を発狂させながら猪突猛進するのがアベノミクスでなければならないのです。