現下の安保法制議論に懸念

皇紀2675年(平成27年)5月28日

 http://www.sankei.com/politics/news/150527/plt150527……
 ▲産經新聞:海外派遣の自衛官54人自殺 インド洋、イラクで活動

 民主党の岡田克也代表が述べた「日米同盟と日本国憲法(占領憲法)第九条のおかげで平和が保たれた」だの、武力行使と武器使用の違いが分からないことを中谷元防衛相に質されて逆上するような維新の党の柿沢未途幹事長だの、このろくでもない議論がどれほど自衛官を傷つけているか、国会議員も官僚も死ぬ気で考えたことがあるのでしょうか。

 何度も申しますが、占領憲法のままもうこれ以上自衛官を戦闘に巻き込んで死なせるわけにはいきません。集団的自衛権行使の議論について、某官僚がつまるところ「それもこれも自衛官に行っていただきます」という答えを乱発した限りに於いて、「もしものために若い自衛官を生かしておまえが行け」と言いたくもなるのです。

 天皇陛下の御親拝を賜れなくなった靖國神社に主として合祀に関する諸課題が残ってはいますが、靖國参拝を拒否する首相が誕生し始めた占領憲法体制で「戦死した自衛官」は誰に感謝される(何を守る)のでしょうか?

 ならば憲法問題を乗り越えれば戦死させてもよいのかといえば、それは違います。既に一例として朝鮮戦争下で戦死者を出したように、国家の基本法が出鱈目なまま人を騙すな、と申しているのです。

 五月十八日記事で「対シリア問題で米国の協力要請に簡単に応じなかった安倍首相が『米国の戦争に巻き込まれる』の一点張りで非難され正確な議論を欠き、かえって重要な憲法問題を遠ざけてしまう」と申したのは、四月三十日記事の指摘を前提としていました。

 つまり、イスラエルと組んで中東戦略を目論む共和党のジョン・ベイナー下院議長しか眼中になかった安倍晋三首相の口からホルムズ海峡の危機想定を聞く度、「安倍外交ほぼ唯一の失敗」が今まさに繰り広げられようとしているのを感じずにはいられません。だからろくでもない議論をしている場合ではないのです。

 米共和党的保守に流されて制定されるわが国の法が「創出された新たな中東危機」につき合わされ、中共が太平洋でも大陸でも展開している「中華的侵略」に肝心の十分な対応ができないままでは、いえ、この意味が分からない人に議論する資格はありません。何よりも自衛官に説明できないような議論をしてはいけないのです。

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日本の技術、また不正輸出

皇紀2675年(平成27年)5月27日

 http://www.sankei.com/affairs/news/150526/afr150526……
 ▲産經新聞:炭素繊維不正輸出 狙われる日本の高度技術 流出に警鐘鳴らす

 北朝鮮の弾道弾の胴体にわが国の製鋼企業が製造したものが使われていたことはもう何年も前に判明していることですが、その頃から政府は間違いなく迂回輸出の実態を把握し、警戒してきたはずです。

 にもかかわらず私たち国民(企業経営者たち)への情報開示がなされていません。よって「知らずにやったこと」なのか「知っててやったこと」なのかを特定できず、今回のような事件捜査の度につまづきます。

 その上で、産經新聞社配信記事にある「日本が核開発などのループホール(抜け穴)として利用されている」や「経済産業相の許可を得ずに輸出された製品は追跡調査が困難」といった記述は、申し訳ありませんが、政府が把握している現状認識から乖離した極めてとぼけたものなのです。

 しかし、この記事には「性善説に立った制度に限界がある」との指摘もあり、制度を見直して知らずにやる人を防ぎ、知っててやる人を厳しく処罰できるよう法整備をすることも、立派な安全保障法制の議論のうちではないでしょうか。

 わが国には高度な技術がたくさんあります。(結局は認められなかったが)減資という荒手の再生計画まで出さずにはいられなくなったシャープの凋落は、佐々木正元副社長が『週刊東洋経済』に告白したように、韓国の三星(サムスン)なんぞに技術を提供してしまったことから始まりました。

 このことはフリーライターの山田高明氏も指摘していますが、液晶テレビの時代を先取りしたシャープがその分野で世界一になれなかったのは、決して社内の風通しの悪さだけでなく、「感謝してくれればいい」などという善意からお家芸を韓国企業に譲り渡し、恩人のはずの韓国人に特許侵害で訴えられるという悪夢が巻き起こした敗北劇に他なりません。

 政府も報道企業も技術漏洩の実態を知りながら「日韓友好」「日中友好」の無理を押し通して国民に道理を隠したのです。これら友好関係の構築が無理のない相手国とのものであれば問題はなかったでしょうが、明らかに政治家も官僚も報道記者たちも致命的なミスリードに及びました。また、それを批判する者は徹底的に非難されてきたのです。

 厳しい環境でも育つ野菜や果物を生み出した農家が韓国人に種を奪われたというケースもあり、何度も申しますが、政府が「クール・ジャパン」を成功させるには知的財産に関する事業者意識の向上とその助けが必要です。

ギリシャ急進左派嫌われた

皇紀2675年(平成27年)5月26日

 http://jp.wsj.com/articles/SB12219608320597343816……
 ▲ザ・ウォール・ストリート・ジャーナル:ギリシャ、6月のIMF返済は応じられず=内相

 これは私の責任で申しますが、欧州連合(EU)の対ギリシャ(希国)方針は、既に「債務不履行(デフォルト)させてしまえ」というものでしたから、この内務相の開き直りは予想された反応です。六月五日かどうかは分かりませんが、今後の状況変化を無視して申せば今夏、今秋にも希国はデフォルトするでしょう。

 そもそも急進左派のアレクシス・ツィプラス首相の誕生から見放されたのであり、まるで韓国のような物言いで独国にいわゆる「戦後賠償」を迫ったことも、EU首脳陣の怒りを買っています。また、彼らは希国がデフォルトしても欧州経済に与える影響は小さいと見ているようです。

 わが国でもし「その日」が報じられれば恐らく「日本も」などと煽られるでしょうが、わが国の対外投資および国外資産規模は昨年度過去最高を記録し、二十四年連続で世界一であることがはっきりしました。

 日本では「追い越された」と言われる中共経済との比較に於いても、海外の純資産規模ではわが国が依然として中共を七十一%も上回っています。 私たち国民は政府に対して債権者であり、日本国は世界に対して最大の債権国なのです。希国ともどの国とも全く違います。

 問題は「危ない国には投資するな」ということでしょう。

反核運動よ、中共に怒れ!

皇紀2675年(平成27年)5月25日

 http://www.sankei.com/world/news/150522/wor150522……
 ▲産經新聞:各国驚かせた中国「歴史認識」攻勢 NPT最終文書案「被爆地訪問」削除

 確かに驚かされました。もはや「中華人民共和国よ、おたくのセリフでもあるまいに」の一言に尽きます。核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、わが国が求めた広島、長崎への各国指導者訪問を中共が笑いながら一蹴したのです。

 かなり早い段階から、この文言を盛り込ませることは困難でした。米国を中心とした核保有国にとってわが国の提案は、基本的にあまり愉快なものではなく、中共は俗に「歴史問題」と言われる対日非難の口実を振り回したくて、むしろ米国らを代弁し大罪を被ったようなものです。

 さらに申しますと、各国指導者に被爆された方の体験談を聞かせるというのも、今や被爆者とは言えない「反日」活動家の自称語り部が紛れ込んでいるような始末(平成二十六年六月十日記事参照)であり、被爆地の現状は必ずしも純然たる「反核」の学び舎とは申せません。

 私を含む多くの日本人は、戦争とは別の大虐殺を繰り広げた独ナチス党と米国に対して全員が強い非難とまでは申せないにせよ、二度と繰り返させないという想いを抱いています。核兵器が二度と使用されることのないよう、非核保有国の発言を軽視するのなら一時的に核保有国になってでもモノを言わねばならないという強い想いです。

 中共の今回の態度にわが国の反戦・非核活動家は沈黙するのでしょうか。わが国の核の議論には大声で騒ぎ立てて妨害し、核実験で主に旧東トルキスタンの人たちを被曝させた中共のこの態度には小声も発しないようでは、何の反核運動かというのです。

太平洋の島国を見逃すな

皇紀2675年(平成27年)5月24日

 http://www.sankei.com/politics/news/150522/plt150522……
 ▲産經新聞:第7回太平洋・島サミット開幕 首相、サモアなどに計45億円支援を表明

 かつて先人はいわゆる南洋を獲りに行きましたが、ともすれば現世の私たちは南太平洋の小さな島嶼国を軽視しがちです。しかし、中共は既に第二列島線(小笠原諸島やグアムを結ぶ対日米侵略ライン)を超えた軍事訓練に手を染めています。

 安倍晋三首相の外交方針は、たいてい中韓に対してしたたかと申せますが、福島県いわき市に十六カ国を招いた第七回太平洋・島サミットで経済を中心に関係強化を謳い、ここでも太平洋侵略を目論む好戦的な中共を牽制しました。

 わが国ではどうしても小さな扱いになりますが、重要な成果です。特に、人種が入り乱れて政情不安が続いてきたフィジーは親中に奔りがちで、そうと知っていた安倍首相は大げさに歓待してみせました。

 基本的には親日的な国が多いですが、彼らを繋ぎとめておく不断の努力を怠ってはならないのです。