オスプレイ事故待ってた?

皇紀2675年(平成27年)5月19日

 http://www.sankei.com/world/news/150518/wor150518……
 ▲産經新聞:ハワイ米軍基地、オスプレイが着陸失敗、炎上

 ついに恐れていたことが起きました。安倍内閣による積極的平和主義に基づく法制の議論を始めるタイミングで、米ハワイ州オアフ島のベローズ空軍基地で十七日、海兵隊のMV‐22オスプレイが着陸に失敗し、一人が死亡、十二人が負傷したのです。

 私は平成二十四年七月三十日記事に於いて、「新しい軍用機は開発され続け、その導入の度に安全性が問われるのは当たり前」とことわった上で「在日米軍基地に配備されるのは海兵隊所属のMV-22ですが、十万時間当たりの事故発生率は『1.93』であり、一方配備されない空軍所属の特殊作戦型CV-22は『13.47』」「(MV-22は)現在配備されている重量物輸送ヘリコプターCH-53Dの事故発生率『4.15』を大きく下回って」いるというデータに言及しました。

 そして、深刻な懸念について「もはや一度でも在日米軍基地周辺で私たちを巻き込んだ事故が起きれば、配備反対派の対政府或いは対米軍攻撃が熾烈を極めるだろうという問題にすり替わってしまった」と警告してきたのです。

 まるで事故の発生が望まれるかのようないわゆる「オスプレイの問題化」は、配備反対派にとってもはや在日米軍基地周辺でなくても日米の太平洋防衛戦略上重要な拠点であればどこででもよくなっていました。なぜなら太平洋の利権を掌握したい中共共産党を背後に工作される破壊活動だからです。

 今回の事故に対する沖縄県の翁長雄志知事らの反応はあまりにも急で非文明的であり、しかしながらこの批判は人命が奪われることを軽視しているものではありません。亡くなった海兵遠征部隊員とそのご家族に衷心よりお悔やみを申し上げます。

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中共こそ燃料切れか?

皇紀2675年(平成27年)5月18日

 http://www.sankei.com/west/news/150517/wst150517……
 ▲産經新聞:【大阪都構想・開票】開票終了「1万741票」差で反対が賛成上回る

 十六日記事およびコメント欄昨日記事で申した通り、安倍晋三首相も菅義偉官房長官もいわゆる「橋下都構想(協定書に示された大阪都構想現行案)」の中身を全面的に支持すると表明していたわけではありませんから、最新の内閣調査で判明していたように反対多数で構想が否定されても第三次安倍内閣に与えるダメージは皆無です。

 ただし、憲法問題へのチャレンジに影響が出ることは否めません。安倍首相が積極的平和主義に基づく法制の難局を乗り切れなければ、私が反対している消費税率の再引き上げ(十%へ)も予定を遅らせる可能性が出てきました。

 http://www.sankei.com/world/news/150517/wor150517……
 ▲産經新聞:【習・ケリー会談】オバマ政権くみしやすし?中国が“逆説教” 米の懸念表明に「中立約束したはずだ」

 たとえ米国のジョン・ケリー国務長官があまり有能ではないからと言って、訪中した氏に対する習近平国家主席、王毅外交部長、范長竜中央軍事委員会副主席らの態度はあまりにも挑発的で外交儀礼上非礼です。

 しかしながら何度も申しますが、米中二国間の新大国関係(G2)を言い出したのは中共より先に米国であり、バラク・オバマ政権にここまでの「くぎを刺す」のは、中共が対米工作の効果にかげりを感じ焦っている証拠に他なりません。

 すなわち、チャイナ・マネーの威力がまだ米国内で効いている中、しかしもうこれ以上の投入が難しい局面に差し掛かっているのではないかと思われます。

 その意味で産經新聞社が掲載した「専門家」の意見はまったく的外れであり、一方で南支那海上の人工島建設は確かに今後も進められると見るのが妥当です。米国はこのままにしておいてはいけません。

 また、安倍内閣に於ける積極的平和主義に基づく法制は、もっと明確に東亜の事態に対応するとすべきです。手を広げすぎると、対シリア問題で米国の協力要請に簡単に応じなかった安倍首相が「米国の戦争に巻き込まれる」の一点張りで非難され正確な議論を欠き、かえって重要な憲法問題を遠ざけてしまうのです。

総統閣下がお怒りです

皇紀2675年(平成27年)5月17日

 https://www.youtube.com/watch?v=BaWRlz5J8Oc
 ▲YOUTUBE:総統閣下が都構想の失敗でお怒りのようです

 独映画『ヒトラー~最期の十二日間』(原題=Der Untergang)のワンシーンに勝手な字幕をつける「総統閣下がお怒りシリーズ」は、もともとの映画もよくできていましたが、題材によってはとても独創的で見事なものが多いです。某省庁の或る方に教えてもらって見たぐらいですから、霞が関にもファンはいます。

 https://www.youtube.com/watch?v=XYDxJQmLnS8
 ▲YOUTUBE:「安倍首相は賛成」大阪都構想・大阪自民の不都合な真実

 さて、昨日記事についたコメントに「これでも安倍晋三首相は都構想に賛成していないと言えるのか」とありましたが、これら一連の過去の安倍・菅両発言を踏まえて昨日のことを申しているのは当たり前でしょう。

 これらの発言があったからこそ一部(特に自民党)が混乱し「首相官邸は都構想を実行に移すのでは」という憶測が飛んだのです。分かった上で「そうは言っていないと言われた」ことを皆さんにお伝えしました。

 https://www.youtube.com/watch?v=xXKOqnfvXBI
 ▲YOUTUBE:「大阪都構想反対 街頭演説会 天神橋筋商店街」 西田昌司 街頭活動

 安倍首相も菅義偉官房長官も、何度も「二重行政の解消と住民自治の拡大という基本的な方向性」に理解を示してきたのであって、自民党としてもこの通りです。橋下徹市長・松井一郎府知事への全面支持を打ち出して現行都構想の内容の詳細に言及したことは一度もありません。本音では興味がないのでしょう。

 第二次安倍内閣発足前に成立した大都市地域における特別区の設置に関する法律の活用についても、今回の住民投票の結果次第です。何度も申しますように、維新との連携の余地を残すための政治的駆け引きに過ぎません。

 それが全てです。地方公務員による法で禁じられているはずの政治活動が横行してきた問題に安倍首相が沈黙して認めるわけがなく、要するに安倍自民党の手による「地方のムダに対するメス」の入れ方を巡り、橋下都構想はいいカモになっています。しかし、協定書の中身がなさ過ぎて構想自体は使い物になりません。

 だから「騙されるな」と申しているのです。一度壊してしまうと元に戻すのは大変ですよ、と。橋下市長には一月二十五日記事で申したような大仕事があります。安倍首相が反対を言わないのは、地方軽視と見られたくないイメージ戦略の上、改憲とこの大仕事のためなのです。

大阪都構想にダマされるな

皇紀2675年(平成27年)5月16日

 http://www.sankei.com/west/news/150515/wst150515……
 ▲産經新聞:【大阪都構想】橋下氏「今のままでは市民は破滅的な暮らしに」 自民府議「二重行政は特別区と府の間でも生まれる」 17日住民投票 テレビ番組で討論

 いよいよ明日十七日、大阪市民は「大阪都構想」の是非について審判を下します。報道各社実施の世論調査結果とは裏腹に、賛成が上回るという見通しは変わっていません。内容がほとんどない協定書だけで二重行政解消の根拠にもならない都構想に疑問を持っている市民は、棄権するのではなく必ず反対票を投じに行ってください

 大阪都構想の不都合な真実(自由民主党大阪府支部連合会)
 大阪都構想Q&A(日本共産党大阪府委員会)

 しかしながら、四月二日記事の内容にさえ罵詈雑言を吐き捨てていく「oneosaka」の方がおられるのですから困ってしまいます。コメント欄の一般に閲覧できないデータに潜んでいたこの「oneosaka」の文字列は何かと思えば、大阪維新の会のURL(ウェブサイトの位置情報)だったのです。

 さて、菅義偉官房長官が自民党大阪府連と日本共産党大阪府委らの共同街頭演説を「個人的には理解できない」と批判した問題で、前出記事でも指摘した「憲法問題での協力関係構築」を見据えたものとして、安倍晋三首相ともども都構想に賛成なのではないかとの意見があります。

 そうであれば私が確認した政府関係者の「決してわが国に都を二つも認めない」という方針が現実のものではなかったことになりますが、さらに確認してハタと膝を打ったのは「都構想に賛成するとは一言も言っていません。官房長官は自民と共産が並んで共産党の街宣車で演説したことを『理解できない』と言っただけです」と言われたので、確かにそうだった、と。

 恐らく首相官邸は、投票結果を見て維新に寄っていくか、それとも突き飛ばすかを決めるのでしょう。しかし、維新の党の代表は江田憲司衆議院議員です。寄っていっても得るものは何もないと思いますが。

日本産禁輸?台湾の事情

皇紀2675年(平成27年)5月15日

 http://www.sankei.com/world/news/150515/wor150515……
 ▲産經新聞:台湾、産地証明で譲歩 輸入全面停止は回避 日本食品規制強化で

 台湾の衛生福利部食品薬物管理署が通告してきたわが国産食品の禁輸騒動。ともすれば馬英九総統による「屈中」としての「日本外し」の一環かと思われるかもしれませんが、以前にも申したように現在の馬総統にそのような力すらありません。

 直接的な問題は、本年三月二十四日公表の産地偽装事件です。東京電力福島第一原子力発電所の事故後に輸入を禁じている福島、茨城、千葉、群馬、栃木の五県産の食品が、産地を偽って輸入されたということでした。

 そもそもこの禁輸措置がもはや科学的根拠を欠くものとして、政府が撤回または措置終了を要請していなければならなかったのです。

 しかし、食品薬物管理署は四月十六日、一方的に日本産品の輸入規制強化を発表し五月十五日より実施するとしていました。それが今回の騒動です。

 一方で台湾にも問題があり、それが昨年九月に発覚した廃油豚脂(餿水油)事件でした。食用油製造大手「強冠」が摘発されるも、揚げ油をよく使う料理文化の台湾で衛生福利行政への不満と不信が募り、「次に何かあったら承知しない」というような大衆の雰囲気に食品薬物管理署が呑まれていたのは事実です。

 食の安全に対して過敏になっている台湾人の事情を理解した上で、食品薬物管理署の措置がどれほど不当か丁寧に説明して解きほぐす努力がわが国に求められています。日中優先・日台断交の弊害は、このような時に最大化してしまうのです。