英保守党大勝でも政権不安

皇紀2675年(平成27年)5月9日

 http://www.sankei.com/world/news/150508/wor150508……
 ▲産經新聞:日本大使もあわや…パキスタン北西部で軍ヘリ墜落、ノルウェー、フィリピン大使ら7人死亡 テロ声明も軍は否定

 小さく扱うにはあまりにも大きな事件ですが、パキスタン外務省が各国の大使を招いた北部ギルギット・バルティスタン州の視察ツアーで、出発した国軍のヘリコプター一機が墜落し、ノルウェー大使とフィリピン大使、インドネシア大使夫人とマレーシア大使夫人を含む七人が死亡しました。わが国の猪俣弘司大使は別のヘリに搭乗していて無事です。

 ギルギット・バルティスタン州はカシミール地方の中でもパキスタンが実効支配していますが、問題なのは今回の墜落がパキスタン・タリバーン運動(TTP)によるものではなさそうで、仮に事故だったとしても、ナワーズ・シャリーフ首相と国軍の関係をさらに悪化させて混乱を招くかもしれないことに他なりません。

 このような事故を端緒に(パキスタンでは珍しくないとはいえ)体制転覆の報を耳にすることになるのはよくある話です。気が気ではないのが米政府でしょう。回教指導者のタヒル・カドリ氏を背後に野党第一党のイムラン・カーン党首が政権を奪取するようなことになれば、確実に欧米の軍隊はこの地域で動きづらくなります。

 http://www.sankei.com/world/news/150509/wor150509……
 ▲産經新聞:【英総選挙】保守党331議席獲得、23年ぶりに単独過半数 敗北の野党党首、相次いで辞意を表明 投票率は66%

 もう一つ重要なのは、英連合王国議会庶民院(下院)の総選挙結果です。ほとんどの報道企業の予測を裏切って保守党が単独過半数を獲得した背景には、デヴィッド・キャメロン首相への支持が思いのほかあったというより欧州連合(EU)からの脱退の是非を問う国民投票の実施を望む声が大勢を占めたということに違いありません。

 さらに、公約内容が「極端」と見られてきた英独立党の惨敗は、かえってEU離脱派の拡大を招くかもしれず、実はEU残留に向けて調整したいキャメロン首相の思惑とは違う結果が出てしまう可能性もあるのです。

 少なくとも目下の状況が英経済の停滞を長期化させることで、この選挙結果をもってしてもキャメロン政権は盤石とはいかないかもしれないことを、わが国も頭に入れておくべきでしょう。

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世界遺産登録、韓国は敗北

皇紀2675年(平成27年)5月8日

 http://www.sankei.com/world/news/150505/wor150505……
 ▲産經新聞:【世界遺産登録へ】「日本に敗れた」韓国、高まる政府批判 慰安婦「記憶遺産」で攻勢

 連合国(俗称=国際連合)教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)がわが国政府に対し、幕末から明治にかけての八県に点在する重工業施設などを世界文化遺産に登録するよう勧告しました。来月二十八日から七月八日に独ボン市で開かれる世界遺産委員会で正式に決まる見通しです。

 私はそもそも「世界遺産に登録されるか否か」などに何の関心もありませんが、「軍艦島」こと旧端島炭坑(長崎市)について申せばいわゆる「大好物」であり、多くの人の思いを募らせ一時代に爆発的な輝きを放った施設の「宴のあと」は、何とかそのまま保護できないものかと思っていました。

 ですから、もはや軍艦島も奈良ドリームランド跡地もほぼ同じ関心の領域にあり、わざわざ「世界遺産だから」など私にはどうでもよいことなのです。わが国の歩みに欧米が興味を持ったなら「まぁどうぞ」という程度でしかありません。

 ところが、韓国政府が明治日本の遺産に対する正しい評価にまで陰湿な誹謗中傷をし、登録を妨害しようというのなら、到底黙ってはいられないのです。日韓併合条約締結下の「朝鮮人強制徴用」というのも、言われているほど正しいのでしょうか。

 労働者の募集と徴用または動員は別であり、徴用は日本人も朝鮮人も拒否すれば罰則がありました。それをもって「強制連行」というのは条約無効から二十年も経って初めて作られた言葉(「従軍慰安婦」と同様の造語)です。

 イコモスがわが国に勧告したものをのちに撤回した例はなく、韓国政府の目論見は必ず失敗します。それでも、このようなことにまで私たちを傷つけようと口を出してくる姿勢には、今後気をつけなくてはなりません。

「諸国民」信じすぎる日本

皇紀2675年(平成27年)5月7日

 http://www.sankei.com/premium/news/150514/prm150514……
 ▲産經新聞:豪潜水艦受注「日本内定」覆り独仏と激突 日本の“消極的”に懸念

 豪州に於ける日本製の次期潜水艦受注の行方は、防衛装備移転三原則に絡む問題というよりわが国の大型輸出案件の一つのモデルケースになるでしょう。ここで失敗すれば、英国への鉄道車両輸出での朗報も吹き飛ぶのです。

 昨年七月の日豪首脳会談以降、産經新聞社配信記事に言及はありませんが、デヴィッド・ジョンストン国防相(当時)が「豪造船会社ASCにはカヌー造りすら任せられない」と発言し、猛烈な批判を浴びて昨年十二月に更迭されました。仏独側がちらつかせた豪州内製造への国民的機運は、この時最高潮に達していたのです。わが国側はこれを捉えていません。

 海上自衛隊で運用されてきた「そうりゅう級」潜水艦の高い技術に間違いはなくても、このようにしてわが国は海外受注を取りこぼしてきました。私たちの暮らしに慎み深さは欠かせませんが、外国人が相手の時は自らの思考回路ごと取り換えるぐらいの覚悟がなければならないのです。

 http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0X……
 ▲産經新聞:豪、外国人の違法な不動産購入への罰則強化 価格高騰に対応

 同じ豪州からの動きとして、トニー・アボット首相は不動産を違法に購入した外国人や仲介業者に対する罰則を強化する方針を打ち出しました。これは明らかに中共人をターゲットにした政策です。

 わが国でも中共人による不可解な不動産購入が増え始めたことは、既にここで扱いましたが、単に国民の不動産購入を難しくしてしまうだけでなく安全保障上の問題でもあり、豪州のこの動きは日米にも広がるかもしれません。

【主張】同性愛者の人権

皇紀2675年(平成27年)5月6日

 http://www.sankei.com/life/news/150415/lif150415……
 ▲産經新聞:渋谷区同性パートナー条約 明治神宮が「同性婚の聖地」になる日

 体を壊しているのだからわざわざ疲弊するようなことを提言しなければよいのに……とも思うのですが、東京都渋谷区の同性愛に関する条例問題、或いは同性愛者の人権問題そのものに対し、すでに基礎となる考えを私は平成二十二年十二月十八日記事で述べています。再度これをご熟読ください。

 ところが、渋谷区に対して保守派のほとんどが「家族を壊す危険な条例だ」などと抗議に打って出たため、私がまず初めに「(同性愛者の聖地といえば新宿二丁目と聞いているので)新宿区は一体何をしているのか」と感じたのとは考え方の大きな隔たりがあることを思い知りました。さて、これをどう解きほぐせばよいのか、と。

 産經新聞社は、八木秀次氏の「既に学会で否定された説を論拠としたジェンダーフリーの出鱈目」を皮切りに、同性愛の問題をジェンダーフリーや夫婦別姓(氏)と同列に並べて「個別に解決できる問題を大きな問題に仕立て上げ、社会の原則自体を大きく変えようとする左翼運動の常套手段」と断じた論文を月刊正論から一部配信しています。

 この定義自体に私も異論はなく、そもそもの私の考え方からすれば同性愛者の人権問題をなぜ革新派が専売特許のように扱ってきたのか、むしろその間違いを指摘したいのです。

 まず、私自身が同性愛を正しく理解できているかという一抹の不安を前提としても、同性愛者の問題とジェンダーフリーはまったく関係ありません。ともすれば同性愛は男女それぞれの性愛に強い思い入れを表すもので、ジェンダーフリーになってしまえばどんどん理解されなくなっていくのではないでしょうか。女性の相手は女性でなければならず、男性がより「女性らしさ」を目指したりするものなのですから。

 さらに、家族を壊すといいますが、明治維新以来のキリスト教またはユダヤ教原理主義の流入により同性愛を「忌むべき行為」とする宗教思想が蔓延したおかげで、歴史的記述に遺る平安以来江戸までの「衆道をたしなむ」とまで言い表し、美しく着飾った若衆の性愛をすら享受してきた日本古来の緩やかな価値観文化、すなわち「何にでも耳を傾ける神道文化」が次第に忘れ去られたことで、自らの家族に同性愛者がいることを認めないというような姿勢が定着してしまい、いよいよ親と子の家族関係を引き裂いてしまうケースが多く見られるのを見過ごしてはならないのです。

 同性愛が子孫を残さないことは申すまでもなく、異性愛に於いても必ず残せるわけではないことと区別するとしても、従来の婚姻制度とは別の制度をもって同性愛者の存在を決して忌むべきとはしないという方針を打ち出すことは、いかにもわが国らしいと申せるのではないでしょうか。世界中の人びとが天皇陛下の祭祀の国、八百万の神神の国であることの真の意味を理解する日が来るでしょう。

 よく考えてもみてほしいのです。国や家族が同性愛者の人権を口にしたとたんに個人が「ならば同性愛者になろう」と言ってなれるものではありません。生まれもって悩み、家族に言えず死を選ぶというようなケースは、小さなところで解決できる問題ではなく私たち国民の意識が変わらなければ解決できない大きな問題なのです。

 まさかここに「何にでも耳を傾ける国なら移民も認めろ」などと幼稚なことをおっしゃる方はいないでしょうが、先人たちは少なくとも同性愛を「国を滅ぼさないもの」として排除せず、キリスト教の流入は排除しようとした歴史があります。この伝統にこそ学ぶべきものがあるのではないでしょうか。保守派こそが人権問題に正しい切り口を与え、自ら行動すべきなのです。

慰安婦問題、米学界に新風

皇紀2675年(平成27年)5月4日

 http://www.sankei.com/world/news/150502/wor150502……
 ▲産經新聞:米歴史教科書慰安婦記述へ批判、米学界に「新風」 古森義久

 米大手教育出版社「マグロウヒル」(本社・ニューヨーク)の歴史教科書問題は一月三十日記事で取り上げましたが、わが国側の抗議を米国の歴史学者らが「一度信じたものは嘘でも変えぬ」と言わんばかりの反論をもって封じ込めようとしていました。

 端的に申してしまえば、大東亜戦争の一切の責任を大日本帝國に押しつけ、自分たちを「正義」と規定しなければ危なかった米国にとって、いわゆる「南京大虐殺」などの「戦争犯罪」と後づけしたものは、まさに米国にとって必要なものだったわけですが、その精神性が日本人の「逆暴走」を招き、のちに「従軍慰安婦」なるものまで捏造されていきます。

 これが捏造だったということは、政府調査でも朝日新聞社さえも認めざるを得なくなったわけですが、米国の不都合はここに始まり、日米韓の防衛協力に対して中韓の連携を招き風穴を開けられてしまったのです。

 ところが、当初の目的である「日本は悪」という思想が残ったままであり、何としても日独には独自の核兵器を保有させてはならないという方針も変わりませんから、それが自国の不利益になるにもかかわらず米国は「日本は悪」をやめられません。昔気質の学者風情には、現在の米国が抱え始めた恐るべき危機が見えていないのです。

 何度も申しますが、中共は太平洋沿岸(西海岸)からすでに侵略を開始しており、いくつかの自治体首長が中共系米国人に差し替えられています。連邦政府にも州政府にも「チャイナ・マネー」を行き渡らせ、中共共産党幹部は「国が滅んでも米国へ逃げて自分たちに都合のよい国家に米国を改造してしまえばよい」と考えているのです。

 今回、古参の学者たちに異論を唱えてみせた米ウィスコンシン大学博士課程の日本史研究者ジェイソン・モーガン氏は、もっとまじめに調べ上げたうえで「日本は悪ではない」と論じきって見せたのでしょうが、五月一日記事で「米コロンビア大学に昨年度補正予算から五億円の寄付を決めた安倍首相は、何をもって対抗すべきか少しずつ分かってきた」と讃えた訪米の成果を、今一度私たちはかみしめる時が来ます。なぜこれがそれほど重要だったのか、思い知るのです。