安倍首相を笑った野党らへ

皇紀2676年(平成28年)6月25日

 http://www.sankei.com/politics/news/160625/plt160625……
 ▲産經新聞:【英EU離脱】安倍首相、大型補正編成へ 世界経済の成長と金融市場の安定に向けG7連携の強化目指す

 英国の欧州連合(EU)離脱交渉開始の国民的判断を受け、デイヴィッド・キャメロン首相が辞意を表明しましたが、この顛末を受けたわが国の報道各社、或いは各社がコメントを求めた有識者の解説にいちいちおかしな点が見受けられるため、私なりに物申します。

 読者諸氏お気づきの通り私は、それが英連合王国国民の判断如何のものであることを前提としながらも、英国のEU離脱を半ば支持してきたようなものです。なぜなら、多くの識者が言うほどEUが「強い共同体」ではなくなり始めていたからであり、もはや加盟国だけの決断で物事を動かせなくなることが予想されたために他なりません。

 その最大の影響行使国が以前にも指摘した露国です。英国民がどこまで将来を見越して離脱に向いたかはともかく、属し続けていて得なことがなくなり出す一方で、意思決定の主要国である独国すらも露国の影響下に呑み込まれていくとすれば、ますます英国はたまらないでしょう。

 わが国の識者たちは、EUが「強い」ことを前提に「離脱は残念だ」と解説していますが、弱体化した共同体から抜けることを私は、残念だとは思いません。

 また、英国のこの顛末から中共との関係強化が加速し、中共の影響力が増すというような解説をした識者は、よほどの経済音痴か中共共産党の工作員でしょう。むしろ中共は、資本流出が加速して人民元の下落圧力が一層強まり、英国との関係を築いてEU域内に広く進出しようとしてきた計画が頓挫します。

 彼らが東欧諸国との関係強化に転じる可能性もありますが、やはり露国に阻まれるでしょうし、そこまで中共経済がもつかどうかも分かりません。

 よって当面の経済的・政治的混乱に十分憂慮しつつ、長期的視点に立ち、英国のいわゆる「独立独歩」に残念がるより「おめでとうございます」と声をかけるべきではないでしょうか。これが時代の必然なのです。共同体の幻想を抱き、国境をかき消したがる好戦的グローバリズムは、早晩役割を終えます。

 最後に何度でも申しますが、安倍晋三首相が伊勢志摩で可能性を指摘したにもかかわらず野党各党や報道各社がせせら笑った欧州震源の経済危機は、こうして現実のものになりました。外務省が公開しているG7伊勢志摩首脳宣言に、はっきりと「英国のEUからの離脱は、(中略)成長に向けた更なる深刻なリスクである」の文言があり、わが国の安倍首相だけがこの事態を予想していた(他国は頭にあっても口にしたがらなかった)のです。

 主要国政府と各中央銀行との協調は、できることが限定されており、ゆえにすべきことは明確ですが、安倍首相が呼びかけてきた国際協調(各国一斉に財政出動)が必要です。

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『安倍首相を笑った野党らへ』に1件のコメント

  1. 心配性:

    >むしろ中共は、資本流出が加速して人民元の下落圧力が一層強まり、英国との関係を築いてEU域内に広く進出しようとしてきた計画が頓挫します。

    日本との安全保障分野での協力を進めて来たイギリスがEUから離脱し、キャメロン首相も辞任するというので、個人的に大喜びしている中国人もいましたよ。

    日本のマスコミは「円高によりアベノミクスに暗雲」とそればかりですので、もう少し世界を俯瞰する視野の広い解説をお願いしたいです。
    多くの視聴者は、自分たちの住む地球上で何が起こっているのか分からないでしょう。

    >他国は頭にあっても口にしたがらなかった

    そう言えば、離脱派のボリス・ジョンソン氏の顔をした大波が、G7首脳たちを乗せた小舟を呑みこもうとしている風刺画を見て、「安倍首相に対する風刺画」だと勘違いして政府を批判した民進党の議員たちがいましたね・・・。
    私個人は、安倍総理の外交や安保政策にしばしば批判的でもあるのですが、しかし、民進党の議員たちがあの風刺画を全く理解できなかったとしたら、民進党に政権を任せるのはかなり不安です。