平成の開国という仄暗さ

皇紀2671年(平成23年)1月6日

 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011010500323
 ▲時事通信:「平成の開国へ奮闘を」=菅首相、初閣議で指示

 嘉永6年6月、米海軍のマシュー・ペリー提督による、いわゆる浦賀来航が「開国」の機となった最大の要因は、米国が捕鯨船の寄港地を亜州に求めていたためであったことは、皆様もご存知でしょう。

 そして鯨油を貪り尽くし、石油の販路を見出して以降、のちの米国が「反捕鯨」に転じた身勝手も、既に皆様のよく知られるところであると思います。これが今や政府の思惑を飛び越え、一部で新興宗教化、破壊活動化していると申して過言ではありません。

 菅直人首相は、この次の開国が大東亜戦争後のGHQ占領統治に当たるような発言をしており、いわば3度目の開国に挑もうと語ったのです。平成23年早々、菅首相は何か米国に脅しあげられたのでしょうか?

 ここで何度も指摘してきたように、菅首相は鳩山前内閣で財務相に就任したことで、いよいよ対米従属でなければ政権を維持出来ない日本政府の正体に気づいています。以来、極めて米国の指令に忠実であり、そのせいで沖縄県石垣市民を守ることよりも中共人船長の釈放という安易な道を選択してしまいました。これは、似たことが起きた韓国の李明博大統領も同じです。

 仮にも在日米軍普天間飛行場の移設問題にうまく対処出来ないならば、菅内閣は潰されるということになったのでしょうか? 少なくとも、仙谷由人官房長官のままでは菅内閣にあとがありません。あまりにも内閣支持率を下げていること、このままでは衆議院の解散総選挙にも耐えられないことは、米国政府も中共政府もよく見て知っています。

 ですから、菅首相はまもなく内閣改造に打って出るでしょう。そうしなければ、平成23年度予算案すら通せない「死に体」内閣と化し、これまた何度も申してきましたように、自民党の劣化版に過ぎない民主党は、またぞろ首相を交代させるほか道はなくなるからです。安倍晋三・福田康夫・麻生太郎首相の変遷をなじり倒していたはずの政党は、やはり同じ穴の狢でした。

 このような政党、及びその候補者に投票してしまった責任は、間違いなく私たちにあります。私が政権交代以前から街頭で「自民も民主も駄目ですよ」と訴えても、民主党への批判を許さないとばかりに抗議してきた聴衆の、そこのあなた! あなた自身の投票行動が、これほどまでに国政を劣化させてしまったのです。

 つまり、自らの一票で「何も変わることはない」とする虚無主義などかなぐり捨て、選挙で投票することについて真面目に考えていただきたいのです。私もそうしなければならないと思っています。

 他国の都合でわが国が翻弄されるのは、もう沢山ではありませんか。投票は個人の権利ではなく、国家の利益です。それを考えて私たちが投票するのです。皆のためより個人のためといわんばかりの菅首相や仙谷長官、岡崎トミ子国家公安委員長、千葉景子前法相、枝野幸男前行政刷新担当相のような人物ばかりの内閣が、今度は何に脅され、何に支配されて「開国」するというのでしょう。

 日本が世界に通用するには、今一度世界をよく知ることです。最近私がさかんに欧州人と懇談するのはそのためであり、つい先日も重慶出身の中共人と懇談しましたが、氏とは結局激しい論争になり、音を上げたように笑いながら「遠藤さん、あなたほど頑固な日本人を私は知らない」と言われ、愕然としたのです。氏の笑いがたとえ私への威嚇的行為でも構いませんでしたが、とにかく他の日本人は何をしているのか、と。

 近隣国の人とまともに議論も出来ないような日本人の政治指導者が「平成の開国」とは、まったく呆れたものです。「歴史修正主義者排斥」という歴史修正主義の精神のようなもの、またはそれに基づく教育が、日本人の地球規模化(グローバリゼーション)を最も遅らせているということに、一刻も早く日本政府が気づくべきなのです。

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 歴史修正主義はどっちだ!

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麻生外交の遺産生かす方法

皇紀2671年(平成23年)1月5日

 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/110104/plc1101040201000-n1.htm
 ▲産經新聞:米印との3カ国定期協議構築へ インド洋進出の中国包囲網で牽制

 産經新聞社配信記事にもあるように、日印の安全保障協力は平成20年10月、麻生太郎首相(当時)とマンモーハン・シン首相が共同宣言に署名し、これに基づいて外務省が準備してきたものです。

 皮肉を申しますと、仮にも民主党が胸を張る「政治主導」とやらが機能しているのなら、このような官僚による仕事を止めてしまえば「中共包囲網」の構築を阻止出来たかもしれません。しかし、印国との契約履行とはいえ結局は米国が怖くて何も出来ないのです。或いは、未だ党綱領すらない正体不明の民主党に何もさせないよう、外務省が米国に取り込まれるまま手引きしたのが「3カ国定期協議」構築の実態とも言えましょう。

 現実問題として、米国抜きに東支那海や印度洋の安全保障を議論することすら出来ません。麻生元首相が目指した「自由と繁栄の弧」は、まさに世界平和の秩序を札束と武器・弾薬で片っ端から破壊してゆく中共を牽制するための多国間連携構想でしたが、まず提唱した日本自身が一人前の国家とは言えないことが問題ではないでしょうか。

 田母神俊雄元航空幕僚長の言うように、現在の自衛隊はほぼ米軍によって操作されており、例えば海上自衛隊護衛艦に搭載されているイージス・システムを米海軍に切断されてしまえば、その機能を全く果たし得ません。私は決して心情による「反米」を申したいのではなく、これを「日米同盟」と有り難がる日本政府がどうかしていると申しているのです。

 日本は占領憲法第9条によってこのまま(似非)平和国家を演じ続けるのではなく、天皇陛下と祭祀によって真正の世界平和実現を目指すのであって、自らを律するのは勿論のことですが、他国が平和を乱すことに本気で叱りつけなくてはなりません。だからこそ自前の憲法を取り戻すことが急務なのです。

 占領憲法で、そして(自民党が散々誤摩化してきた)第9条違反の自衛隊で、果たして中共や北朝鮮を叱ることが出来ますか? 或いは叱らなくてもよいですか? 世界平和の実現など、日本は目指さなくてもよいのですか?

 いいえ、そのようなことはないはずです。民族や宗教による対立、資源の争奪、博打のような経済原理など、ただでさえ戦争の火種には事欠かない人類が真の平和を手にするには、相当の努力が必要に違いありません。占領憲法下の日本は、他国が戦渦にまみれ、核保有国が見る見る増えてゆく中、その現実からもう60年以上も逃げ続けてきたのであり、それが「9条護憲」「9条改憲を語ってみるだけの親米保守」の正体なのです。

 中共が平和国家を標榜し、実行しない限り(まずすることはありませんから)、日本は米国と連携してでも中共を包囲しなくてはなりません。麻生外交の遺産を生かすには、「米日と印」ではなく「日と米と印」という関係を構築することです。これは、韓国紙に「日韓同盟」の与太話を書かれてしまうような前原誠司外相に出来ようはずもありますまい。

世界の平安と人々の幸せを

皇紀2671年(平成23年)1月4日

 http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695……
 ▲日本經濟新聞:一般参賀に7万7000人、天皇陛下「平安と幸せを」

 天皇陛下は、常に人類の進むべき道を御示しになられるのですが、幾多の開戦時に於いて私たちは必ずしもその通りには出来ないできました。人の思いやりを信じて生きる者(国家)と、拝金の価値しか信じないで生きている者(国家)とでは、対話が成立せず、やむをえず戦争になってしまうのです。

 讀賣新聞社は3日朝刊の第一面に、ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授と外務省の薮中三十二元事務次官の対談を掲載し、沖縄県石垣市尖閣諸島沖の中共漁船当て逃げ事件に端を発して日本民族が再び日米同盟の重要性に目覚めたなどと啓発しています。ナイ教授が提唱してきた「ソフトパワー戦略」に関する解説を少しばかり歪曲してでも、氏の主張を「美しいもの」と印象づける讀賣新聞社のような日本のメディアは、あくまでも官民を挙げて日本に対米従属を続けさせたいようです。

 自立しない者(国家)は、必ず不毛な争いに巻き込まれてゆきます。1日付けの東京スポーツには、経済評論家の森永卓郎氏が「私は日本丸腰戦略というのを提唱しています。軍事力をすべて破棄して、非暴力主義を貫くんです。仮に日本が中国に侵略されて国がなくなっても、後世の教科書に『昔、日本という心の美しい民族がいました』と書かれればそれはそれでいいんじゃないか」と発言したことが掲載されていたそうです。

 これなどは、一端の文化人が私たちに向かって「死ね」と言っているのに等しく、仮にも森永氏は反戦・非核の平和主義を標榜しているにも拘らず、他国による武力侵略を受け入れてしまっている(自国による武力の行使を否定しているのみ)ではありませんか。軍事力を戦争回避の道具に使う知恵も持たず、どの口が平和主義を語るのでしょうか。そして、一体どの国の教科書が、愚かにも滅びた民族をわざわざ讃えたりするものでしょう。

 私は旧年来「無戦・無核の平和主義は、天皇陛下と祭祀によって培われる」と申してまいりました。何らの精神的支柱もなく掲げる平和主義は、どれも森永氏のようなものばかりであり、残念ながらこのようなお歴々が北朝鮮による日本人拉致被害者の救出にも何ら関心を示さずにきたのです。

 国家の基軸を語るということは、右派・左派や保守派・革新派の対立などでは決してなく、地球とその生命の本能を守るのか否かしかありえません。皆が生き残るために自らが死ぬことはあっても、皆が滅びるために皆ただ死ぬことが、今上陛下の言われた「世界の平安と人々の幸せ」であろうはずなどないのです。

 例えば、改憲・護憲の対立ではなく、日本国憲法という名の占領憲法を無効にし、ただちに自前の憲法を復原しましょう。

北方領土関連情報

皇紀2670年(平成22年)12月29日

 http://mainichi.jp/select/world/news/20101229ddm007030067000c.html
 ▲毎日新聞:ロシア 閣僚一行、北方領土訪問へ--来年初め

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101228/crm1012282221040-n1.htm
 ▲産經新聞:“漁獲枠破り”汚職に発展の可能性も、漁業4社、露側への5億円提供

 日本の漁業会社による露国政府関係者への賄賂の疑いを、日本政府自身が急に問題視し始めた背景には、ドミートリー・メドヴェージェフ大統領の北海道国後島上陸に対する報復との見方があります。

 いずれにせよ何度でも申しますが、北方領土は桑港(サン・フランシスコ)講和条約に調印しなかった旧ソ連の問題があり、日ソ不可侵条約を一方的に破棄したソ連が千島列島と南樺太を「戦利品」と主張する不法を断罪するには、日本政府自身も法理原則を無視していてはいけません。

 講和発効で占領憲法を無効にもせず、対米従属に甘んじ続ける日本に露国は「自分たちだけが筋を通せと言われるのは納得出来ない」「日本が弱った時こそ北方領土のいただき時だ」と考えるのは、悔しいが当然とも言えるのです。

 島根県隠岐郡隠岐の島町竹島も取り返せず、領土問題など存在しなかったはずの沖縄県石垣市尖閣諸島までも中共に強奪されかかっている今、露国が絶好の機会と定めて行動するのを、私たちはただ黙って眺めてはいられません。現状ではただただ後ろめたい日本政府に、筋を通させるしかないのです。

 占領憲法を改正してでも護憲しようとすれば、もはや北方領土は取り返せないと思って下さい。「改憲」と「北方領土返還」を同時に唱える矛盾にすら気づかず、国際法を無視してでも過去をさかのぼる「固有の領土」議論の土俵に乗っかる従前の安全保障論議こそが、日本を弱くしているのです。

中共「対日」関連情報

皇紀2670年(平成22年)12月28日

 http://www.sankeibiz.jp/business/news/101227/bse1012270131000-n1.htm
 ▲産經新聞:中国系2ファンド、東証1部85社で10位内大株主 半年で1兆円投資

 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101224ddm003030074000c.html
 ▲毎日新聞:転換期の安保2010 サイバー攻撃、中国の影 武力しのぐ脅威に

 博打金融とサイバー攻撃、中共国内では叶わない不動産取得、水資源荒らし、中共人たちの言い分はそれぞれにあり、やられっぱなしの日本人が「これも日中交流」ではお人好しにもほどがあります。

 まさか「毛嫌い」の類いで申しているのではなく、彼らには「収奪」の意識しかなく、たとえ日本人が「共有」などを提案しても決して実現しません。日本政府が騙された東支那海のガス田開発や沖縄県石垣市尖閣諸島に係る中共政府の態度を見ても、それは明らかです。

 つまり、中共は日本にあるものが欲しいのでしょう。次に欲しがるものは、中共の様相をよく観察していれば見えてくるはずです。