日銀アクセル財務ブレーキ
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTJE98H03220130918
▲ロイター:米FOMC声明全文
米連邦準備制度理事会(FRB)は十八日、米連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表した声明で、月額八百五十億ドル(米国債四百五十億ドル、モーゲージ担保証券四百億ドル)の資産買い入れを当面継続する方針を表明しました。
つまり、米国は金融緩和を続けるということです。ベンジャミン・バーナンキ議長はこの数ヶ月に及んで「緩和縮小(テーパリング)」を口にしてきただけに、意外な決断でした。
わが国も第二次安倍政権になってようやく政府と日本銀行が共闘して給与・物価下落の悪循環(デフレーション・スパイラル)に対処すべく、何しろ十五年以上も続いた内需萎縮(不景気)から国民経済を開放しようと、大胆な金融緩和に挑んだところです。
目下、日米共にゼロ金利政策が続いていますから、金利ではなく量的な緩和で、すなわち通貨をばら撒くことで調整するしかありません。私たちの暮らしにそのよい成果をもたらすまでは少なくとも数年かかり、今回FRBが「まだまだ不十分」と判断したように、日銀も緩和策を当面続けることになるでしょう。
しかし、九月十七日記事でも申した通り、来月には安倍晋三首相が消費税率の引き上げ判断を行ないますが、もし引き上げてしまえば、いわば金融緩和で加速した車を増税で急減速させ、ひっくり返らせてしまいかねないのです。
緩和策は延長よりも中止を決める時が難しいのですが、拡大や縮小は内需(景気)の状態によって言い易くもなり言い難くもなります。要は政府与党が「低所得者に給付金を」などと言わなくても済むと目されるほど内需が回復すれば、緩やかに緩和縮小を始めるだけです。
そのためには、日銀が国債を直接引き受けても(財政法第五条が求める議決をしても)よいはずであり、そうして実質金利の壁さえ取り払われれば市中にお金が回り始めます。そこで打つべき手が増税のはずなどありません。逆に一時減税でお金を回し、給与・物価下落から脱却してしまえば、日銀が内需の動向を見ながら「売りオペレーション」に転じられるのであって、緩和縮小の市場への衝撃は最小限度にとどめられるでしょう。
わが国では間違いなく消費増税が金融の引き締めに相当してしまいます。珍しく日銀が前へ進んだのに、それを財務省がおもいっきり後ろへ引っ張って、安倍首相もろとも一億の国民を大怪我させるに違いありません。
バーナンキ議長が言及した米政府・連邦議会の政策的混乱は、私たちに置き換えますと安倍政権に於ける「成長戦略の不発」に当たります。最も重要なのは、流動性が高まったところへ国民経済活性化の起爆剤を投与することであり、忘れないよう何度でも申しますが、占領憲法(日本国憲法)体制から脱却して自立した資源・食糧政策を打ち出すことです。