繰り返す混乱、王室崩壊へ

皇紀2674年(平成26年)1月26日

 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJEA0K00320140……
 ▲ロイター:タイ政府がバンコクに非常事態宣言を発令、22日から60日間

 泰王国(タイ)政府は二十一日、首都バンコクとその近郊に非常事態宣言(適用は翌日から六十日間)を発令しました。今回は繁華街の焼き討ちや大量の死者を出したタクシン・チンナワット元首相派の過激な反政府(当時のアピシット・ウェーチャチーワ政権)行動に対してではなく、インラック・チンナワット政権に対する反政府行動に対して発令されています。

 インラック首相は、治安維持に軍隊ではなく警察を動員するとしていますが、それは(一概には言えなくなり始めていますが)国王陛下をいただく国体の護持派が多い軍隊より、タクシン元首相(元警察官僚)の息がかかった警察のほうが動かしやすいからです。決して対外印象を気にした結果の指示ではありません。

 泰国の混乱は、政権が変わるたびに反政府側が入れ替わり、私たちの目には「いつ終わるの? きりがないのでは」と写りますが、これは泰王室崩壊への通過儀礼のようなものです。

 タクシン元首相派は今なお巨大な利権を抱えています。その背後には、私が「【オピニオン】東宮批判に隠された陰謀」(新聞『アイデンティティ』平成二十四年八月一日号(第五十七号)掲載)などで申してまいりましたように、中共共産党とタクシン元首相と旧泰共産党の存在があり、泰王室は緩やかで確実な破壊工作に晒されているのです。

 現在の反政府派(反タクシン派)の中には、私の知る限りそれを理解して抗議行動に参加しない人もいますが、しかしながらタクシン派の利権で国が占拠されてしまうと困る人たちは黙っていられません。

 非常事態を繰り返すことが王室崩壊に拍車をかけるにもかかわらず、「反タクシン」の行動も収まることがないのです。何とかしてこれを止めなければならず、反タクシン側は「味方につくと得になること」を示さなければならないでしょう。汚い手法ですが、中共が投入した資金を無力化するには莫大なカネがかかるのです。

——————————

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140122/biz140122……
 ▲産經新聞:「JR大阪三越伊勢丹」再建策 売り場面積4割に縮小

 三越伊勢丹ホールディングスは二十一日、JR西日本に押し切られる形で、不振が続く大阪駅北側の百貨店「JR大阪三越伊勢丹」(大阪市北区・平成二十三年五月開業)の売り場面積を約四割にまで縮小し、隣接する専門店街「ルクア」との一体運営に堕ちることを発表しました。もう「三越伊勢丹」の名称すら残らないかもしれません。

 私は既に平成二十四年十二月十九日記事で、三越伊勢丹には伊勢丹側に致命的問題があり、現在は伊勢丹出身の大西洋氏が社長であるため、改善は難しいでしょうと申しました。

 流通・百貨店業界はまさに内需依存ですから、伊勢丹の売場や外商にどのような問題が潜んでいるのかを調べることで、消費動向が見えてくることもありますが、あれほど「センスがないから、やめたほうがよい」と申した「伊勢丹バイヤー押し」をやめられないようでは、JR西日本との喧嘩にすら勝てないのも無理はありません。

 阪急百貨店梅田本店とは程遠い業績に沈んだ大阪三越伊勢丹は、やはり敗れました。

スポンサードリンク

中共は対中包囲網を警戒

皇紀2674年(平成26年)1月25日

 http://www.xinhua.jp/socioeconomy/photonews/371842/
 ▲新華社通信:村山元首相が安倍首相を批判、「靖国参拝は間違い、日本全体を犠牲にした」―中国メディア
 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140118/plc140118……
 ▲産經新聞:【産経抄】 過去への反省なし、元気な元首相たち

 中共国営新華社は二十二日、東京都内で開かれた日中友好協会の座談会で、村山富市元首相が「対中包囲網」の構築について「小さな日本がなぜ広い中国(※注=中華人民共和国)を包囲しようとするのか? その必要があるのか? 日本にとって最も重要なのは中国、韓国や亜州諸国と信頼・友好関係を築くこと。これこそが日本の首相の職責だ」と発言したことを報じました。

 安倍晋三首相が靖國神社を参拝したことや、私たちが「沖縄県石垣市尖閣諸島がわが国の領土である」と言い続けることにも、村山元首相は批判を加えています。

 そして、安倍首相が日中の対話の扉は「常に開いている」と述べてきたことにも、靖國参拝や領土主張が原因で「対話の扉は閉じられた」と吐き捨てました。

 はっきり申します。村山元首相は中共が用意した台本を読んだだけでしょう。目下、中共が安倍政権に対して気になっていることを、気になっている通りに発言出来ています。これはあまりにも出来過ぎました。

 最も重要なのは、靖國や尖閣に言及した部分ではありません。対中包囲網に言及した部分こそ最重要であり、その表現がいかにも「中華的」なのです。「小さな日本が」という表現をよく覚えておいてください。

 私は前日に執筆した二十二日記事で、中共がわが国主導の「対中包囲網」の構築に本気で警戒し始め、各国首脳がソチ冬季五輪大会の開会式出席を見送る中、安倍首相が訪露を決めたからこそ、実は出席する気がなかった習主席も急いで訪露を発表したということにも、それは表れている、と申しました。

 中共の情報当局は、安倍首相の訪露は国会の日程などから「無理だろう」と考えていたらしく、開会式出席の報に驚いたようです。中共は、安倍首相がそうまでしてウラジーミル・プーチン大統領を味方につけようとしている現実を知り、日本と利益を共有した露国ならば対中包囲に手を貸す可能性があるため、日露首脳が会うのなら、と露中首脳が接触する機会を設けたくなったに違いありません。

 二十二日記事に対して読者の方が指摘された通り、実は日中首脳会談の開催日は近づいています。中共は、いよいよ安倍首相と話をしなければならなくなっていることに気づいているのです。

 ただ問題なのが、「その前に日韓首脳会談を開いておくべきではないのか」という意見への対処であり、私は安倍首相がこれを跳ね除けてもよいと考えています。日中が話し合ってしまえば、韓国政府は焦って寄ってくるでしょう。話はそれからでも全く遅くありません。

 それに韓国のことを考えてくれるほど、中共は「反日スピーカー」に過ぎない韓国に優しくなどなく、わが国と話したくなれば韓国を無視して我先に、と会談日程を組むでしょう。村山元首相も「中共共産党スピーカー」に過ぎませんが……。

日本海という海域の意味

皇紀2674年(平成26年)1月24日

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/140123/amr140123……
 ▲産經新聞:米政府は「日本海」呼称支持 「東海」併記、バージニア州で採択へ

 米国務省のマリー・ハーフ副報道官は二十二日の記者会見で、ヴァージニア州内の公立学校の教科書に、「日本海」に加え「(突如韓国が主張し始めた)東海」を併記しようとする動きに対し、米国地名委員会が決定した「日本海」が唯一の呼称であると強調し、「一つの呼称だけを使用することが政府の方針であり、これは長年にわたり全世界(の地名)に適用している」と述べました。

 安倍晋三首相は、瑞国(スイス)で開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の最も重要な基調講演を依頼され、その中で今日の日中関係を第一次世界大戦直前の英独関係に喩えましたが、中韓の無知な靖國神社批判にも敢然と反論しています。

 米政府にとっての日本海呼称問題は、決して歴史問題ではなく、主として外交・安全保障上の実務問題ですから、特に韓国側の主張をわざわざ汲み取って、海図を利用する軍などの活動を混乱させるつもりは毛頭ありません。

 ただ、産經新聞社の青木伸行記者が冷静に分析している通り、政府と州の方針が異なる場合は多くあり、中共主導・韓国隷属の「反日」喧伝は、何度も申しますが、意のままに操りたいカリフォルニア州などから時間をかけて浸透させればよいと考えられており、なお予断を許さないのも事実です。

 また米政府は、実務に差し障りがない歴史問題にあまり関心がなく、占領憲法(日本国憲法)下のわが国が「米国の頭越え」をしないよう、極東国際軍事裁判(東京裁判)以来の見解を変えるつもりがありません。だからいわゆる「河野談話」や靖國神社参拝で、安倍首相に注文をつけてくるのです。

 それにしましても、韓国による「東海」呼称への改竄主張は酷いものです。朝鮮半島から見て「東の海」ということなのでしょうが、日本海の起源は太平洋を隔てる日本列島にあり、もし仮にもわが国がなければ、そこはいわば「海続き」の太平洋に過ぎません。朝鮮半島があってもなくても呼称の変わらない海域なのです。

 さらに、韓国政府は「『東海』は国際的に認められた呼称」などと言っていますが、ならばなぜ今頃になって必死に喧伝しているのでしょうか。認められているのなら、世界各国の海図に遥か昔から単独呼称が明記されているはずであり、日本海こそがその唯一の呼称であることは、米政府内の見解のみならず国際水路機関(IHO)の認めるところです。

 消費税率の引き上げが少し気になり始め、空気清浄機なんかを今のうちに買っておこうかどうかにしか関心のない多くの私たち国民にとって、日本海呼称問題は本当にどちらでもよいことかもしれません。

 しかし、それが私たちの安寧な暮らしを脅かす政治工作の第一歩だとしたら、あなたは今のうちに日本海の意味を知るべきです。ここには、私たちの暮らしを豊かにしてくれる沢山の資源が眠っています。呼称を「東海」に改竄させるだけで、韓国などはこれを私たちから強奪してしまおうと考えているのです。

イルカ漁批判に反論すべき

皇紀2674年(平成26年)1月23日

 https://twitter.com/CarolineKennedy/status/42440514973……
 ▲Twitter:キャロライン・ケネディ駐日米国大使 @CarolineKennedy 20:57 – 2014年1月17日
 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140120/plc140120……
 ▲産經新聞:ケネディ米大使に反論 追い込み漁で菅長官
 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140121/lcl140121……
 ▲産經新聞:「イルカだけが残虐なのか」和歌山知事、追い込み漁批判の米大使に反論

 米国のキャロライン・ケネディ駐日大使が十七日夜、短文投稿サイト「ツイッター」で、海豚(イルカ)の追い込み漁を批判したことに対し、菅義偉内閣官房長官が二十日、和歌山県の仁坂吉伸知事が二十一日、それぞれ記者会見で反論しました。

 また、この投稿を目にした多くの人人が同サイト内で反論しており、安倍晋三首相が靖國神社を参拝したことで対中韓外交を占領憲法(日本国憲法)下の日本単独で動かしたことに「失望した」と投稿して以来、またもケネディ大使の発言が批判の対象になっています。

 これも何もかも、ケネディ大使がいかに多くの人人の興味を強くひく存在かが分かり、米政府はそれだけの存在をわが国に向けて駐在大使に起用したということの結果とも言えましょう。韓国政府はこの人事に相当嫉妬し、それが対日非難にも繋がっている、と一部で言われているほどです。

 いずれの場合でも、国務省が見解を述べています。要は米政府の見解をケネディ大使が書き込むと、何やら大声で言われたように聞こえるわけです。ただ彼女は、反捕鯨などを掲げた破壊活動(テロリズム)集団側に組みやすい環境にいるのかもしれません。

 しかし、それでもわが国は米政府の見解の間違いを正さなくてはならず、それは仁坂知事の言う通り「相手の立場を認め合うのが文明の知恵」なのです。既に和歌山県は米映画『ザ・コーヴ』の公開を機に、この件の正しい説明を公開しています。

 イルカ漁等に対する和歌山県の見解
 Wakayama Prefecture’s Views on Dolphin Fishery

 わが国は国際捕鯨委員会(IWC)の決定に従って商業捕鯨を停止し、国際捕鯨取締条約第八条に基づく調査捕鯨で個体数などを確認、国際的な資源管理に主導的立場で協力していることや、海豚はこの対象外であり、それでも科学的調査を実施して捕獲数を管理していることなどが、誰が読んでもわかるように説明されています。

 和歌山県民の私は、実は海豚肉を食べたことがありませんが、鯨肉は小学校の給食(昭和五十年代)でもよく扱われたほど食べており、良質な蛋白質と豊富に鉄分とビタミンAを含む食材でした。

 あれから私なんぞの口には入らない高価な食材に化けてしまったのは残念ですが、食資源管理のためにわが国が大きな役割を果たしている証左でもあります。この食文化は決して死んでいません。

 むしろ日本以外の国でとんでもない(いわば違法な)捕鯨をやっているところがあるはずで、資源管理を妨害しています。米政府はそこにこそ目をつけるべきです。

安重根記念館は、実は…

皇紀2674年(平成26年)1月22日

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140120/plc140120……
 ▲産經新聞:【安重根記念館】 「けしからん話だ」外務省、中韓両国に抗議

 初代大韓帝國統監の伊藤博文初代首相を第三国で暗殺した安重根を讃える「安重根義士記念館」が十九日、中共黒竜江省のハルビン駅に開館しました。

 安重根については何度も同じことを申しませんが、中共側が用意した記念館は決して独立した建物ではありません。あくまで駅構内の貴賓室の一部(約二百平方メートル)を改造して設置したものです。喩えて申すなら、公共施設の一部を展示室に仕立てたようなものです。

 どうやら実はこの開館の報には韓国政府も驚かされたらしく、朴槿恵大統領が昨年六月の訪中時、習近平国家主席に記念碑設置の協力を要請していたものの、中共側はそれほど乗り気ではありませんでした。

 それが突然、記念展示になって化けたのです。外務省の伊原純一亜大洋州局長が中韓の両駐日公使にそれぞれ電話で厳しく抗議し、菅義偉内閣官房長官も二十日午前の記者会見で両国を強く批判しています。

 わが国政府の対応が後手に回ったように見えるため、外務省などを批判する声も上がっているようですが、世界一の超高層建築物をたった二、三ヶ月で完成させようとするのが中共ですから、急転直下の記念展示設置にわが国政府も驚いたでしょう。

 よって中共側は韓国政府関係者を招く予定もなく、ごくひっそりと開館を報じて終えました。外交部の会見では、記念展示を設置した理由について、安倍晋三首相の靖國神社参拝への対抗措置であることを示唆しましたが、本当はそれほど幼稚な理由ではないでしょう。

 何度も申しますが、中共は俗に「靖國カード」と呼ばれる対日外交上の駆け引き材料を既に失っており、もう一つ「中韓共闘カード」或いは「対日包囲網カード」で揺さぶりをかけるしかなくなっているのです。

 しかし、この「カード」は日米関係に影響を与えます。中共はそうとよく知っていて、自分たちが太平洋の覇権を掌握するべく、在米韓国人を従えて米西海岸から抑えていこうという謀略を粛粛と実行しているに過ぎません。韓国人および韓国政府の要求に応えることは、そのための道具なのです。不要になったら平然と捨てるでしょう。

 彼らが真にわが国に対抗したとするなら、それは「対中包囲網」が日本主導で構築されようとしていることに対してです。各国首脳がソチ冬季五輪大会の開会式出席を見送る中、安倍首相が当日「北方領土の日」にも拘わらず訪露を決め、次いで実は出席する気がなかった習主席も訪露の意向を発表しました。これなどは、露国が対中包囲網に組することを牽制したい中共の思惑が明け透けです。

 中共人民に広く知られているわけでもなく、作る気もなかった安重根の記念碑は間に合わなくても、資料展示など彼らには簡単なことでした。恐らく誤植の類いが多いはずです。

 十六、七日には、北京などに駐在する外国の報道記者を対象に、遼寧省の抗日戦争記念館など計五カ所を案内する「プレスツアー」を主催したばかりの中共は、それが多くの記者たちに「この件で共産党がどのような『プロパガンダ』に及んでいるのか」と探られたに過ぎなかったことを、本気で理解出来ているのでしょうか。

 各国の在外大使に抗日論を吐いて回らせている件でも、殆どの欧米人の興味をひいていません。それでも外務省は徹底的に反論し、説明して回らなくてはならないのです。