子供産め?休め?働け?

皇紀2674年(平成26年)7月30日

 http://www.yomiuri.co.jp/job/women/topic/20140624-OYT……
 ▲讀賣新聞:男性育休取得、会社が勧める時代へ

 最近では七月十七日記事で、少子化対策といいながら女性の社会進出を促進する策が先の目標を打ち消し、デフレーション(給与下落)対策といいながら外国人労働者(事実上の移民)を大量輸入して給与水準を下落させるという安倍内閣の成長戦略はひどいものだ、と申しました。

 以前、この有り様を「まるで八岐大蛇が前に進もうとすると、それぞれの首がまったく違うほうを向き、八つ裂きになるようなものだ」と表現しましたが、女性に向かって「子供を産め、しかしもっと働け」という安倍内閣の、この暴言を和らげるいわば「穴埋め」は、男性の育児休暇取得促進策です。

 成長戦略には、男性の育休取得率を現状の約二%から、六年後には十三%に引き上げるという目標が明記されています。女性を働かせるには、男性を休ませるというわけです。

 私たち日本民族のはたらき方は、そもそも「日曜日だから休む」とか「月曜日だからはたらく」というものではありませんでした。よって、はたらき方を復原することになるかもしれない案ならば、必ずしも革新的で危険な発想とは申せません。

 しかし、ここにも安倍内閣の「八岐大蛇」が潜んでいます。

 と申しますのも、男性が育休を取るには、会社の理解と家族の理解が必要です。ところが、成長戦略の草案者の一人である竹中平蔵氏は、「正社員こそ最大の既得権益(悪)」などと言い放ち、一億総国民を使い捨ての労働者に仕立て上げようとしています。

 これでどうやって育休が取れますか? そもそもその権利を有する国民の絶対数を減らしておいて、そのわずかな中で「みんな育休を取ってくれ! 政府目標があるから頼んだぞ」というわけでしょう。そりゃあ、十三%も夢ではないわな。或いは、北欧並みに八十%という数字だけ出して自画自賛でもしますか。

 目下、量的金融緩和の効果と一般消費の著しい低迷が殴り合っているような状態で、企業は給与を引き上げられません。

 今年度最低賃金の目安を十六円引き上げることに決めた厚生労働省は、これでようやくすべての都道府県で生活保護費の水準を超えるようになりましたが、わが国の物価水準に照らし合わせて、この時給水準も低すぎるのです。

 独国は本年、初めて法定最低賃金を決めることにし、全国統一約千二百円(八.五ユーロ)としました。それがなぜわが国では、平均たったの七百八十円なのでしょう。

 これで「子供を産め」「休め」「もっと働け」と言われても、それのどこが成長戦略なのかすら分からないのです。

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