日中わずかに融和の事情

皇紀2675年(平成27年)4月29日

 四月二十九日は、先帝陛下御生誕の日にちなんだ昭和の日です。

 http://www.sankei.com/world/news/150428/wor150428……
 ▲産經新聞:習氏にクーデター危機 胡錦濤政権での軍トップ・郭伯雄氏“粛清”の身柄拘束
 http://www.sankei.com/world/news/150428/wor150428……
 ▲産經新聞:ASEAN議長声明、比・越などの異議で「大幅修正」 南シナ海岩礁埋め立てで中国非難

 日米首脳会談ばかり大きく報じられていますが、その話はまたにするとして、実は東南亜諸国連合(ASEAN)首脳会議が本年の議長国マレーシア(馬)の首都クアラ・ルンプールとランカウイ島で開かれていました。

 以前にも申しましたが、馬国のナジブ・ラザク首相は屈中政策を推し進めており、特にフィリピンとヴェト・ナム、インドネシア(比、越、尼)の強い異議がなければ、南支那海に於ける中共の海洋侵略問題は取り上げられなかったに違いありません。

 よって議長声明発表の段取りもゴタゴタし、端的に申しますとナジブ政権のせいで馬国が東南亜の中でのイニシアティヴを失いつつあることまで露呈させました。

 このようにわが国だけでなく比越尼など東南亜からも強い警戒を示された中共共産党は、党人民解放軍の暴走がこれらの原因だと思い知らねばなりません。

 しかし、習近平国家主席の「腐敗撲滅」という名の権力闘争がかえって軍の暴走をさらに煽り、体制転覆へとつながる可能性があります。

 何度も申しますが、いわゆる江沢民元主席一派との闘いで習体制を側面支援してきた胡錦濤前主席一派は(習主席から見て)あまり信用できません。この連携がいよいよ崩れれば、民主化など決してしない中共で軍主導の国家転覆が実現してしまうかもしれないのです。

 習主席は先日の日中首脳会談で、ようやく安倍晋三首相に微笑みかけましたが、日中関係を穏便にまとめておかなければ危ないのは習主席のほうでした。なぜなら、軍を掌握できていない習主席の弱点は、対日強硬という誤った外交姿勢に最も表れてしまうからです。

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ネパールが台湾を蹴る理由

皇紀2675年(平成27年)4月28日

 http://www.sankei.com/world/news/150427/wor150427……
 ▲産經新聞:【ネパール大地震】ネパール政府、台湾の救助隊「断る」 中国に配慮か

 ネパール(涅国)中部で発生した大地震で、首都カートマンドゥを中心に死者が四千人を超えました。負傷者も七千人を超え、世界最高峰のエヴェレストでは大規模な雪崩が発生し、日本人二人を含む十九人が死亡、七十人が負傷しています。亡くなられたすべての方に衷心よりお悔やみを申し上げ、被害に遭われたすべての方にお見舞いを申し上げます

 日本赤十字社:2015年ネパール地震救援金を受け付けます

 わが国の国際緊急援助隊の救助チームは本日、涅トリブヴァン国際空港の混乱が著しいため隣の印国から現地入りするそうです。涅国観光では特にカートマンドゥとポカラが有名ですが、カートマンドゥは喧騒と混沌の街であり、ゲストハウスの多いタメル地区は道幅が狭く建物が密集していたことで相当の被害が出ています。また、ダルバール広場(旧王宮広場)はほぼ壊滅してしまいました。

 【オピニオン】東宮批判に隠された陰謀(新聞『アイデンティティ』平成二十四年八月一日号掲載)でも申したように、涅国で平成二十年五月に王政が廃止された背景に涅共産党毛沢東主義派の革命活動があり、平成十三年六月の国王暗殺事件は多くの謎に包まれたまま、国民に不人気だったギャネンドラ・ビール・ビクラム・シャー・デーヴが国王の座についたときから中共による王室解体工作が仕上げの段階に入りました。その結果、涅国は王室も王宮も失ったのです。

 涅政府が台湾の救助隊を拒否したのは、中共への「配慮」などという程度ではありません。中共共産党が掲げる「一つのナントカ」と一体の方針を示しているのです。先日の日中首脳会談がなければ、わが国の救助隊にも同じ対応だったかもしれません。

中共の研究員はこの程度?

皇紀2675年(平成27年)4月27日

 http://www.sankei.com/economy/news/150424/ecn150424……
 ▲産經新聞:中国レアアース“完敗” 来月から輸出税も撤廃
 http://www.recordchina.co.jp/a107115.html
 ▲Record China:麻生財務相が香港記者を嘲笑する「失態」、日本が中国の経済発展・影響力拡大に焦り感じる表れ―中国人研究者

 四月二十五日記事で取り上げた麻生太郎副首相兼財務相の発言。中共の上海国際問題研究院の廉徳瑰・亜太平洋研究センター副主任が環球時報に寄稿し、「亜インフラ投資銀行(AIIB)についての質問に答えづらかったのであれば、答えなければよいだけのことだ。話題を変えて中国(※注)の政治制度を攻撃し、さらには記者をルール違反だと非難するのはいかがなものか。記者会見での追加質問では挙手は必要ない。ルールを知らないのは麻生氏の方ではないか」「日本が中国(※注)の経済発展や世界に対する影響力の拡大に焦りを感じている表れではないか」などと主張したことが分かりました。(※=中共のこと)

 この原文翻訳は「中国網」日本版の該当記事で読めますが、過去のいわゆる「麻生発言」を並べながら間違った解釈をそのまま引用しており、大した研究員ではないことを露呈させています。

 希土類(レアアース)を巡る日欧米との対立に敗れ、共産党内の権力闘争の影響もあってかいよいよ国営企業をデフォルト(債務不履行)させてしまった中共の、何の発展の何の影響力に麻生副首相が財務相として焦っているとでも言うのでしょうか。

 さらに何度も申しますが、麻生副首相はAIIBについて内外に何度もあらゆることを説明しています。そのようなことも知らないで「答えづらかったのであれば」などと失態を煽るのは、もはや事実上国家認定シンクタンクの研究員として失格です。

 二度と目にしたくありません。

麻生叩きの「中朝連携」

皇紀2675年(平成27年)4月25日

 http://dot.asahi.com/aera/2015041900003.html
 ▲dot.(朝日新聞社):麻生氏、会見で海外メディア嘲り「爆笑」 世界に恥さらす

 麻生太郎副首相兼財務相が中共香港のフェニックステレビ記者の質問に嘲笑で答えたという問題。一番最初にこれを大きく取り上げたのが朝日新聞社のアエラであり、他社が後追いで問題視し始めました。相変わらず「麻生氏がまた……」という具合です。

 まず四月十日記事で申したように、麻生副首相は中共主導の亜インフラ投資銀行(AIIB)にわが国が参加しない理由を、内外に何度も何度も「飽きるほど」説明してきました。

 しつこいようですが私は目下著しく体調を崩していますので、確認できたことだけを申しますと、麻生副首相の認識は「わが国の情報もきちんと伝えている香港フェニックスの記者が挙手もせずしゃべり出した」ということだけです。

 つまり、何度聞かれても同じことをすでに知っている、よりによって香港フェニックスの記者が、香港の民主化問題にも触れてきたフェニックスの記者が、一体どうしたのか、ということでした。麻生副首相はすべて知っているようです。

 その上で、麻生副首相は日中の決定的な差に関する当たり前のことしか述べていません。間違った発言ではないのです。私に麻生副首相をかばう意図はありませんが、毎度中朝(この場合は中共側と朝日のこと)の感情的連携がとてつもないではありませんか。

 今なら「エモーショナル」と申すべきでしょうか。

TBS山口支局長、処分へ

皇紀2675年(平成27年)4月24日

 http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150331/frn150331……
 ▲zakzak(産經新聞社):朴政権に衝撃「ベトナムに韓国軍慰安所」 TBS支局長『文春』でスクープ執筆

 三月三十日記事で取り扱った越戦争に於ける「韓国従軍慰安婦」の発覚。ご存知の方も多いと思いますが、最初に報じたのはTBS(東京放送)の山口敬之ワシントン支局長です。

 しかも山口支局長は、TBS本局に何度も報道の打診をしたにもかかわらず無視され、挙げ句に「報道しない」との回答だったため、発表の場は週刊文春(三月二十六日発売号)でした。

 昨年十二月二十七日記事で申した「以前にも指摘した社内の『左右の対立』」の指摘がいつだったか(目下体調を崩しているせいか)思い出せないのですが、朝日新聞社内でさえ存在する左右対立について特にTBSのゴタゴタは伝わっており、これで闘いの先頭にいたのが山口支局長だったと分かります。

 山口支局長は、かつてTBS報道番組を持っていた筑紫哲也氏に何度も反抗し、嫌がられて米国に飛ばされたそうですが、現在帰国して処分待ちだそうです。恐らく左遷されるだろうと言われています。

 私たちが一社内人事に口出しはできませんが、山口氏が約一年を費やした調査報道を私たちが正しく評価することはできます。それが歴史の評価となるのです。