産經が露外務省に脅される

皇紀2676年(平成28年)6月4日

 http://www.sankei.com/column/news/160602/clm160602……
 ▲産經新聞:露外務省報道官様 「産経のインタビューに応じるな」 公式文書をあろうことか産経に発送 「たるんでませんか?」

 これは、産經新聞社の遠藤良介モスクワ支局長の記事ですが、私と同じ「団塊ジュニア世代」ながら既に鋭い分析記事の多い方です。しかし、以前にも申しましたが、産經自体が未だ「親米反露」の「旧冷戦時代」を引きずっているような傾向があり、私が盛んに「安倍晋三首相とウラジーミル・プーチン大統領の手で年内に日露講和(日露平和条約締結)を」と提言してきたのに対して露国関連記事の多くが反比例します。

 そのことがよほど露政府の目についたのでしょう。遠藤支局長は、わざと「公式文書を誤って発送するという初歩的ミスを犯した」と指摘していますが、敢えて露外務省が産經の支局に送ってきた警告文書、或いは脅迫文書の類いだと彼は分かっているはずです。

 一方、最近の露国の官庁が「本質的なところで劣化している」という指摘は、遠藤支局長ならではの鋭い分析と申せましょう。その理由を「大統領閣下の追従に熱心なあまり」としていますが、露外務省の北方領土(日本帰属は千島列島全島と南樺太)に関連する姿勢もそのせいで行き過ぎたり誤ったりしています。

 露国内の報道姿勢を見ると、特に南部ソチで開かれた冬季五輪開会式に安倍首相が先進国首脳で唯一人出席して以来、極めて親日的であり、いわゆる「反日」情報には報道価値がないという態度を取り続けてきました。これは、日本国民の多くがあまり知らない事実です。

 よって平成二十六年二月の開会式直後の露中首脳会談で、プーチン大統領が中共共産党の習近平国家主席に対日歴史観の歩調を合わせるような一言を述べても露報道各社は全く伝えませんでした。

 露政府としては、単に日米主導の「中共包囲網」に露国が利用されるのを嫌っているという合図だったのですが、国民感情を気にする報道各社は、反日的とみなされることのほうを嫌ったのです。これに露政府も「指導」を差し挟むことは当然しませんでした。

 プーチン大統領は、このようなことから日露講和を急いでも大丈夫だと判断しているはずです。問題なのは、産經以上に煮え切らない外務省の仕事ぶりであり、ここに連合国(主として米国)による日本国憲法(占領憲法)に忠誠を誓わされる現官僚たちの限界が顔を出します。

 そして、これを官邸主導で乗り越えようとする安倍首相が対露経済支援を先行させてしまう危険性を生んでおり、むしろ大きくバランスを崩して劣化しているのは、わが国の官庁のほうでもあるのです。

 占領憲法を捨てる覚悟をしないような首相にプーチン大統領が信頼を寄せることはないでしょう。それがわが国のためにならない「対露売国」なら私も拒否しますが、中共を睨む日米だけで太平洋防衛を担いきれない状況下で、東南亜各国や印国、豪州、露国の極東地域とも連携して事に当たる必要があり、一刻も早く日露が大東亜戦争を国際法上終戦しなければなりません。

 その覚悟が問われているのは、わが国のほうです。日本の対米依存に風穴をあけるドナルド・トランプ氏が大統領になり、米国のプレゼンスを低落させてくれることに最も期待しているのは、恐らくプーチン大統領でしょう。

 私たちが目を覚ますか米国と共に沈むか、ここで対露外交を誤ると悔やんでも悔やみきれないことになるのです。

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『産經が露外務省に脅される』に1件のコメント

  1. やす:

    昨日の記事とも被りますが、韓国ほどではないにしろ本当の意味で日本も独立できていないことが根本的な問題であり、それには遠藤さんも再三指摘している通り占領憲法を破棄する以外ないことは間違いありません
    そういう意味でトランプ大統領候補が出てきたことは日本にとって大きなチャンスとも言え、もし大統領になれればいい意味で日本を引き離してくれるのではないかと指摘している人もいますが、私もそう思います
    素人考えですが、占領憲法があることがアメリカにとっても本当の意味で独立させていないとさえ言えるのではないでしょうか
    どこかで日本に甘えている所もあるでしょうし、独立とは100㌫自国のために尽くすことで、極端な言い方をすれば他国のことはどうでもいいという考えに行き着くと思います
    独立のためにはこうした左翼的な思想も必要であり、今左翼と言われている人達は、単なる国賊や売国の類であり、左翼でも何でもないと私は考えます
    まずは憲法改正から急いでほしいですね