日本規格にケチがつく交渉

皇紀2673年(平成25年)7月1日

 http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD2405U_U3A620……
 ▲日本經濟新聞:軽崩しのVW、2つの思惑 日欧EPA交渉で優遇撤廃を要求

 日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)締結交渉が始まりました。EUはわが国に、軽自動車の優遇措置を撤廃するよう強く要求しています。

 軽自動車とは、道路運送車両法で規定されるわが国独自規格の自動車で、俗に「軽四」とも呼ばれてきました。第二次世界大戦後、経済的困窮にあえいだ欧州各国でも「サイクルカー」などの軽車両が一時普及しましたが、わが国で今なお多く買われるのは、それが国情に合致しているからです。

 道路の狭い箇所が多いという点では決してわが国だけではなく、私たちの体格と欧米人種の体格の違いという点でも、英国BMCのミニに見られる通りその限りではないはずですが、とにかく田畑の畦(あぜ)道でも走れる軽自動車は未だに廃れることを知りません。

 極端に申せば、車体の小ささや排気量の少なさから、運転技量や経済的理由に加え、普通車を乗り回すより「他人様の邪魔にならないのでは」といった私たち日本民族の深謀遠慮が軽自動車規格そのものを守ってきたようにも思えます。

 このようなそれぞれの国家が守ってきたものを「国際化」と称する基準で爆撃し、焼け野原にしてしまおうという危険思想こそ新自由主義(ネオリベラリズム)なのです。一部の極左集団がよく用いる「地球市民」という発想も、実はこれによく似ています。

 自由貿易を否定しませんが、経済大国同士の自由貿易協定締結には、ほとんどこの副反応(副作用)が出るため、もはや「主反応(主作用)」と申して過言ではありません。

 わが国のような経済大国が締結の相手として有効なのは、利益の相互拡大が見込める発展途上国のみであり、例えば自動車分野で著しく利益を食い合うような独国や米国との締結は避けるべきです。

 私たちの中には、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を促してきた論調しかり、大国間の経済連携の輪から外れることを極度に恐れる声がありますが、それは国家が自立していない現状に対する潜在的恐怖に裏打ちされた「集団ヒステリー」のようなものに他なりません。

 大東亜戦争を経験した先人たちの教訓から私たちはまだ何も学んでいないのです。「資源や食糧の輸入が止まれば、自分たちは餓死してしまう」……このような恐怖を抱いたままでは、まともな多国間交渉など出来ません。

 日欧の外交や安全保障分野での連携は大いに進めるべきですが、経済的に連携しかねる分野で無理に交渉しようとすると、かえって関係を悪化させることがあります。日欧EPAの話が出たこと自体、間違いだったのです。

 私は、第二次安倍政権の弱点が産業競争力会議にあることを指摘してきました。この会議に集められた「民間議員」なんぞの言いなりにならないよう、議長である安倍晋三首相にその声を届けようとも皆様にお願いしてきました。

 また、クールジャパン推進会議(稲田朋美議長)に対しても、世界戦略を念頭に置くならば知的財産権などでわが国のあらゆる産業従事者に適切な助言をする仕組みを政府が作るよう話し合って決めるべきだとも提言しています。農水分野を含めた日本製を全世界へ売るのに「あれもいいよね、これもいいよね」などと無駄口を叩いている暇はないのです。

 何度でも申しますが、わが国は資源と食糧を十分に自給出来る国家だということが判明しています。占領憲法(日本国憲法)のままではこれが正しく理解されないようですが、自分たちの憲法を取り戻してからでなければ、日欧EPAが最低輸入機会(ミニマム・アクセス)という爆撃を愚かにも自ら受けにいったウルグアイ・ラウンドの二の舞にしかならないのです。

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内閣改造圧力と官邸の介入

皇紀2673年(平成25年)6月30日

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130627/plc130627……
 ▲産經新聞:自民2議員の女性問題「西村副大臣は辞任の必要ない」菅長官

 目下、安倍晋三首相には自民党内から内閣改造圧力がかかっています。辞任が決まった佐田玄一郎衆議院議院運営委員長(党内人事)に加え、西村康稔内閣府副大臣(閣僚人事)についてまで買春の疑惑が週刊誌に書かれました。

 このお二人を擁護しなければならない義理など私には一切ありませんが、特に西村副大臣は越国(ヴェト・ナム)訪問時の買春疑惑が指摘されており、情報源は現地の外務官僚でしょうか。

 いずれにせよ、週刊誌に記事を書かせたのは自民党のどなたかに違いありません。西村副大臣は森善朗元首相に拾われて清和会に入った代議士ですが、同じ派閥の人間を「犯人候補」から除外しないほうがよいと思いますよ。

 一方、各省事務次官人事が固まりました。私が郵便不正事件発覚当初に「知らなかったとすれば単なる無能官僚」と斬った厚生労働省の村木厚子新次官は、旧労働省出身者初の登用となりますが、極めて「政治的な臭い」がします。

 先日、復興庁の水野靖久参事官(現総務省官房付)が今年三月に衆院議員会館で市民団体が開いた集会に参加後、ツイッターに「左翼のクソどもから、ひたすら罵声を浴びせられる集会に出席」などと書き込んだことが問われて解任されたばかりですが、それこそ厚労省に「左翼」が群がらないよう、これから注意すべきでしょう。

 なお、外務省の斎木昭隆新次官は大いに歓迎しますが、経済産業省の立岡恒良新次官という人事はいかがなものでしょうか。元はと言えば公務員制度改正に積極的だった高原一郎資源エネルギー庁長官が昇格するはずでしたし、茂木敏充経産相も了承していました。

 ところが、この人事案は首相官邸から「ケチ」がついたというので、第二次安倍内閣発足直後にここで指摘した或る現象が影響したと推察します。それは、首相秘書官(六人)に二人もの経産省出向者がいることです。

 つまり、経産枠の柳瀬唯夫秘書官(元経産政策局審議官)ではなく、首席と呼ばれる政務担当の今井尚哉秘書官(元資源エネルギー庁次長)が自身の影響力を行使して経産人事に介入したはずであり、私はこの秘書官人事をわが国の新たな資源採掘政策の促進と関連づけて歓迎していましたが、悪い方向にしか反映されないのであれば前言を撤回します。

 なお、茂木経産相は次の内閣改造で「外される」第一候補です。自民党内からそのような声が上がっています。しかし、発足からまだ半年をやっと越えたばかりの安倍内閣に改造の必要があるのでしょうか

 自分が大臣になりたいからと言って、与党の議員が内閣そのものに嫌がらせのようなことばかりしていては、大臣が頻繁に交代して国際的信用を失います。本来ならば、特に首相と財務相、外相は少なくとも四年以上務めていただかなければなりません。

 なにより、頻繁に大臣が交代する政権は悪い官僚たちの大好物です。いえ、そのような政治とこれを許す国民によって、官庁の中に悪いものが醸成されていきます。好き嫌いはさておき、安倍政権をよい方向に導くのは私たち国民だということを忘れないでおきましょう。

重要法案を廃案にした野党

皇紀2673年(平成25年)6月29日

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130627/stt130627……
 ▲産經新聞:首相問責可決 国民生活より党利党略か

 第百八十三通常国会は二十六日、百五十日間の会期を延長しないまま終え、閉会してしまいました。この顛末を創り出したのは、生活、社民、みどりの風三党が参議院に共同提出した安倍晋三首相に対する問責決議を可決させた民主党など野党にあります。

 そのせいで生活保護法改正案と生活困窮者自立支援法案、日本船警備特別措置法案、電気事業法改正案、水循環基本法案、雨水利用推進法案の実に六法案が廃案になってしまいました。

 破壊活動(テロリズム)資金提供処罰法改正案などは継続審議になりましたが、常に天皇陛下の招集を賜って開かれる国会の、今国会に於ける議論は著しく空転したまま終わってしまったのです。その責任は全て国会議員にあり、彼らを選んだ私たちの自業自得と申せましょう。

 そもそもなぜ安倍首相に対して問責決議案が出されたのかまるで理解出来ません。事の発端はむしろ、参院第一党である民主党出身の平田健二議長に対して与党から不信任決議案が出されていたことにあったはずです。

 衆議院議員総選挙の区割り改正案を巡っておかしな采配をした平田議長にまず不信任の声が上がり、それを無視して開いた予算委員会も委員長は民主党の石井一議員ですから、閣僚が委員会に出席出来ない状態へ民主党が主導した挙げ句、「論戦から逃げた」と言って安倍首相の責任を問うという卑怯極まりないものでした。

 私たち国民は、野党のせいで重要な政策決定の行方を見守る機会を不当に奪われたわけです。これは安倍首相が好きか嫌いかという問題ですらありません。安倍首相がどうこうではなく、明確な問責の理由が私たちにとって不明なまま、気づけば国会が閉会していたという話なのです。

 日本共産党は、生活保護法改正案を廃案にした「成果」を誇示していますが、党利党略で強引に国会を閉じさせただけであり、論戦から逃げたのは野党のほうではないでしょうか。

 本来であれば、今国会は会期を延長してでも衆参同日選挙に持ち込むための法整備をし、私たちに対する周知期間を設けるはずでした。また、生活保護の不正支給と不正受給をなくし、本当に困窮している同胞の暮らしを皆で支える「(家族と家族の共助と協和の)大和の国、日本」を取り戻すはずだったのです。

 自民党の言う「自立支援」には怪しい法案が多く、野党は徹底した議論に臨むべきでしたが、わずかでも稼げばどんどん膨らむ市民税等の納税のために借金までしなければならないような低所得者が出ることと、はたらかずに生活保護を受給したほうが年金生活より何より「丸儲け」になってしまうという現行制度は、今すぐ是正しなければならない喫緊の課題でした。

 そして、占領憲法(日本国憲法)をどうするのかという議論もされないまま終わってしまったのです。一度の国会でいくつもの課題を処理することは難しいですが、重要度という点から憲法論議が避けられたのは痛恨の極みでした。

 来月は参議院議員選挙のみとなりましたが、私たちはもう本気で投票行動のあり方を見直さなければなりません。若い世代にとって切実な政策課題がほとんど議論されないのも、この世代の多くが投票に行かないせいです。本当にそれでもよいのですか? 私たちの力で政治を動かそうではありませんか。

「大阪は寝ぼけている」

皇紀2673年(平成25年)6月28日

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130626/stt130626……
 ▲産經新聞:「大阪は寝ぼけている」 石原氏、改憲で橋下氏を批判

 旧太陽の党(日本維新の会)の石原慎太郎共同代表は二十六日、党代議士会で「大阪の本家は憲法について寝ぼけたことを言っている。これでは話にならない」と述べ、大阪市長の橋下徹共同代表ら在阪幹部を批判しました。

 六月二十一日記事「石原氏が橋下氏に三行半か」
 六月二十四日記事「維新幹事長の無知がヒドい」

 この件で産経新聞社や讀賣新聞社(報知新聞社)が配信した記事は、私が既に申したことの「後追い」でしかありません。石原代表の発言が二十六日ですから仕方がないのですが、最初から分かっていたことです。

 大阪維新の会は本来、大阪府の松井一郎知事と浅田均府議会議員が結党を画策した地域政党であることを繰り返し申すまでもありませんが、彼らが目指したのは「自民党府議団から分裂し、彼らなりの保守色を少し強めた利益集団」でした。

 ですから、大阪維新の公約はほとんど「自民党の焼き直し」のようなもので、選挙で彼らを支持したのもほぼもともと自民党の支持者や、西村眞悟衆議院議員らを支持してきた保守層です。

 昨冬の衆議院議員選挙で、大阪府下に維新の票の躍進が見られたのも、他の都道府県と同様、つまり民主党の自滅で自民党が勝ったように見えたのと大して変わらない現象でした。

 松井知事と浅田議員唯一の誤算は、担いだ橋下市長という御輿が思いのほか「革新」思想の持ち主だったことでしょう。橋下市長がみんなの党と連携したがり、当時のたちあがれ日本を「老害」とののしったのに対し、松井知事は平沼赳夫衆議院議員のことを「真の国士」と正しく評価出来ています。

 その松井知事が大日本帝國憲法も読んだことのない政治家だと判明したのは、それが「保守っぽいだけの大阪維新」を目指した彼ゆえのことであり、六十年以上「反共国」に過ぎないわが国を覆ってきた「占領統治体制保守」と決別した石原代表の主張する占領憲法(日本国憲法)新無効論が全く理解出来ないのです。ということは、橋下市長などもっと理解出来ていません。

 国内でも米国でも占領憲法が「憲法」ではないことを明言してきた石原代表は、古巣の自民党に対しても「寝ぼけている」と言うべきかもしれませんが、西田昌司参議院議員らを擁したことで自民党も覚醒しつつあります

 もちろん党内にはまだ眠っている、或いはわざと起きない議員もたくさんおり、何度も申しますが、安倍晋三首相の足を最も引っ張ってきたのは自民党内の「決して起きない」親韓・親中議員たちです。

 彼らは、安倍内閣のたびに韓国や中共に首相周辺の情報を垂れ流し、政権運営をわざと難しくさせています。それでも国家機密情報漏洩工作を禁じる法律(俗に「スパイ防止法」と言われるもの)がないため、目下のわが国では国会議員が国民を裏切っても罪に問われません。

 安倍首相が何度「日本を取り戻そう」と試みようとも、占領憲法の有効状態が必ずそれを阻み、日米が占領・被占領の関係からまるで脱却出来ないため、河野談話の見直しにすら注文がついて進まなくなるということを説き、正しい道を示せるのは、石原代表や西村代議士、西田議員らしかいないのです。

 寝ぼけた政治家たちの発言に、何ら実行性や政策的価値はありません。

ソフトバンク買収確実でも

皇紀2673年(平成25年)6月27日

 http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0F137Y20130625
 ▲ロイター:米スプリント 株主、ソフトバンク による買収案承認

 米通信業界三位のスプリント・ネクステルの株主は二十六日(現地二十五日)、カンザス州オーバーランドパークで開催した臨時株主総会で、ソフトバンクが米衛星放送会社ディッシュ・ネットワークに対抗して新たに示していた二百十六億ドルの買収案を賛成多数で承認しました。

 この背景には、ディッシュを支持していたはずの米投資会社ポールソンによる「寝返り」があったと見られています。また、米高速無線通信会社クリアワイヤの買収合戦でも、ほぼディッシュはスプリントに跳ね除けられつつあるようです。

 米連邦通信委員会(FCC)が承認すれば、買収は七月一日までにも成立してしまいます。スプリントを買収してソフトバンクが得るのは、米大手ベライゾンやAT&Tをも超える膨大な周波数帯域容量です。これを得るには、たとえ赤字続きの会社でもクリアワイヤは必要不可欠でした。

 ソフトバンクとクリアワイヤは、実は七億人もの加入者数を誇る中共国営傘下のチャイナ・モバイルと共に「グローバル TD-LTE イニシアティヴ(GTI)」を立ち上げています。ちなみに「TD-LTE」とは、いわゆる「第三世代」の携帯電話と「第四世代」携帯電話の中間にある通信技術です。

 ところが、中共ではこの技術の普及がほとんど進んでいません。ソフトバンクの狙いは、スプリントと一体化してクリアワイヤを手中に収め、中共でこれから粗利を稼ぐことにあるでしょう。そのために人民解放軍系の会社と次次に連携していったのです。

 それでもディッシュがクリアワイヤの株を少数でも持ち続けることで、ソフトバンクの経営計画に誤算が生じてくる可能性はあります。米国では少数株主も決して軽視されません。

 とはいえ、ソフトバンクの米投資家たちに対する喧伝活動(ロビー活動)は激烈でした。司法省と国家安全保障省が提示した中共製機材の採用に関する強い懸念を払拭すべく、カネをばら撒いて回ったようです。

 それらの資金をわが国の金融機関が出していますが、いよいよソフトバンクは「潰したくても潰せない会社」になってしまいました。孫正義社長が買収を繰り返すことで資金を調達してきたのは、この「おぞましい地位」を目指してきたものと思われます。

 しかし、中共企業との連携戦略は恐らくうまくいきません。ソフトバンク主導でスプリントを引き上げるにしても、クリアワイヤを完全子会社化出来なければ先行きは極めて不透明なものとなり、全てが大きく倒れることもありうるのです。

 米投資系にすれば、日本の金融機関が倒れたソフトバンクをどうにか清算し、負債が片づけられたあとでこれを買収してしまえばよいという考えもあるでしょう。そのようにしてわが国の資産がまた持っていかれるのです。ソフトバンクはその駒として米国に受け入れられ始めただけかもしれません。