生活保護の外国籍支給問題

皇紀2674年(平成26年)4月28日

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140425/trl140425……
 ▲産經新聞:「永住者も対象」見直しも 外国人生活保護法訴訟

 私はこれまで、真正保守政策研究所の公式ウェブサイトに「【オピニオン】生活保護の外国籍支給問題」とあるように、これを何度も取り上げてきました。

 占領憲法ではありますが、政府が有効論を唱えるところの日本国憲法の第二十五条を守るのか、それともこれに違反する形で発せられた昭和二十九年の旧厚生省社会局長通達を優先させてしまうのか、それが問題だと指摘してきたのです。

 大分市の処分をめぐる在日中共人特別永住者に対する生活保護の是非を裁定した一審と二審も、まさにこの争点に関して見解を二分したのであり、大分地方裁判所は法を優先し、福岡高等裁判所はただの局長通達を優先しました。

 しかし、最高裁判所第二小法廷(千葉勝美裁判長)が二十五日、上告審弁論を六月二十七日に開くことを決めたということは、二審の高裁判決を間違いとする可能性が高まったのです。

 憲法さえ法の支配に基づかないまま「解釈」だけで六十年以上も放ったらかしてきたというのに、その自称「憲法」にさえ違反している局長通達を有効とするのであれば、わが国も中共と同様の「人治国家」と指弾されても反論できません。

 英文を訳しただけの占領憲法が私たちに示す「すべて国民」とは一体何者なのか、仮にも局長通達が憲法違反ではないというのであれば、改めてそこから問い直されることになり、たとえ国家主権を失った占領統治期の法とはいえ、日本国籍を有するものが保護を受けられる「国民」であって、そもそも「特別永住者」という制度そのものが特定人種だけを優遇する人種差別制度にほかならないことを、ただちに司法は確認すべきです。

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明治から昭和のモダニズム

皇紀2674年(平成26年)4月27日


『細雪』 谷崎潤一郎原作 市川崑監督作品


『帝都物語』 荒俣宏原作 実相寺昭雄監督作品

 英国から始まった産業革命は、或る意味で時代の必然でしたが、現代の新自由主義経済を見る限り、不幸の始まりだったともいえます。わが国が世界をリードした絹産業の発展は、明治五年に官営で設立された富岡製糸場に始まり、ついに今月二十六日には世界文化遺産への登録を勧告されました。

 とりあえずこれを素直に喜んでみるとして、安倍政権が進める「女性の社会進出政策」などチャンチャラ可笑しいほど、製糸場を支えたのは旧士族や農民出身の女工(当時は工女)でした。

 大東亜戦争以前のわが国について、「女性は家庭に押し込められていた」とか「国民に自由がなかった」といった話は大嘘で、戦時に入ると婦人会が率先して「贅沢は敵だ」「パーマネントはやめませう」などと発言して回ったのだから凄いものです。

 映画における描写の例としては、山田洋次監督の『おとうと』で、貴金属などの贅沢品を身に纏わないよう呼びかける婦人会の街頭活動が、表題になった風来坊の弟(笑福亭鶴瓶)を取り囲む場面があります。彼は「身につけとっても、かめへんやないか」と怒鳴って女性たちに叱られるのですが、昭和十六年から二十年までのたった四年間で、確かに国民がこう叫ぶことも許されなくなっていくのです。

 多くの国民が興じた昭和モダニズムの終焉を思わせる、そのはかない美しさを描いた傑作が、谷崎潤一郎の『細雪』でした。これは舞台が関西でしたから、特に阪神間モダニズムの描写が見事で、三度も映画化されました。

 轟夕起子や高峰秀子らが出演した新東宝の阿部豊監督作品、轟に加えて京マチ子や山本富士子の競演が見られる大映の島耕二監督作品、そして岸惠子、佐久間良子、吉永小百合、古手川祐子が蒔岡四姉妹を演じた東宝の市川崑監督作品がそうです。市川監督について申せば、宮川一夫撮影監督の銀残しが光る『おとうと』もさることながら、彼の作品群では『犬神家の一族』に並ぶ最高傑作でしょう。

 この「女の恐ろしいほどのしたたかさ」に注目した市川監督の演出は、のちの『映画女優』の田中絹代(吉永小百合)と『竹取物語』のかぐや姫(沢口靖子)へと繋がります。

 そしてもう一つ、全く異質な作品ながら紹介したいのは、荒俣宏の怪奇小説が原作の映画『帝都物語』です。これはもう小説を読んでおかないと何が起きているのかも分からない内容ですが、実相寺昭雄監督の幻想的な演出がファンにはたまらず、モダン・ダンスの先駆者として有名だった石井漠の息子である石井眞木が音楽を担当し、ことのほか昭和二年の銀座四丁目をほぼ再現したオープンセットを舞台に描かれる当時の自由で享楽的な国民生活は、一見の価値があります。

 谷崎の『細雪』でもウィンナ・シュニッツレル(シュニッツェル)やクラブハウスサンドイッチを食すというモダンな生活描写がありますが、『帝都物語』にはビリヤードを楽しむ物理学者と東京地下鉄道の創始者が現れ、皆でビヤホールに行くのです。

 これらは全くの創作ではなく、史実に基づいた創作であり、荒俣の『帝都物語』は空想小説にせよ、印象的なのは目下話題の理研創設者でもある渋沢栄一(勝新太郎)と作家の幸田露伴(高橋幸治)が銀座の町を見下ろしながら、幸田が「日本はこれから、どこへ行くんでしょうか」とつぶやく場面でした。

 「ゴールデンウィーク」は、映画興行界が名づけた大型連休です。私はここ数年、まるでカレンダー通りに休めないので、公開中の映画を観に行けないのですが、皆さんには今すぐにでも観られる作品をいくつかお勧めしたいと思います。

無意味だった米韓首脳会談

皇紀2674年(平成26年)4月26日

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/140425/amr140425……
 ▲産經新聞:「慰安婦は人権侵害」 米韓首脳会談 オバマ大統領言及

 もう一度申しますが、わが国に横槍を入れて設定した今回の米韓首脳会談は、朴槿恵大統領にとって大失敗でした。起きてしまった旅客船の沈没事故に対処もできず、未来ある高校生たちを救い出せなかった韓国政府に、いわゆる「反日」に興じる暇などないはずです。

 日米首脳会談後の共同記者会見でも、再度申しますが、中共に対する認識の甘さを露呈したバラク・オバマ大統領は、朴大統領の要請に唯一応えた慰安婦問題への言及で、以下のように述べています。

 「慰安婦問題は甚だしい人権侵害だ。安倍晋三首相と日本国民も過去について、正直かつ公正に理解しなければならないと認識しているだろう」
 「(元慰安婦を名乗る女性らの)主張は聞くに値し、尊重されるべきだ」
 「未来を見ることが日本と韓国の人々の利益だ」

 この発言に対し、わが国政府内では早速、オバマ大統領への不信感をあらわにする意見が出ました。「韓国側に言わされている」というのです。

 しかし、正確には相変わらず「チャイナ・マネー」に期待した発言であり、その意味では韓国にとって一つの成果もありませんでした。さらに、彼の発言は「発生または存在した」と仮定した事件に対する一般的な心情を述べただけで、実はわが国を指して非難した文言は一つもないのです。

 また、彼が恐らく口を滑らせてしまったと思われるのは、韓国人慰安婦が「従軍性奴隷」のようなものであったか否かの検証を日本がすべきだと受け取れる「正直かつ公正に理解」、或いは「聞くに値する」の部分であり、わが国政府はこの発言をもって、検証の正当性をむしろ主張できるようになったと考えるべきでしょう。

 慰安婦問題はすでに在米韓国人を利用した中共の「米国侵略・日米離間工作」になっており、そうとは考えてもいないオバマ大統領はチャイナ・マネー欲しさに、この問題に初めて口を挟んでしまいました。

 日米安全保障問題に踏み込んだ一面と、中共経済に今なお投資の価値があるとした一面は相反していますが、米国内の本音が組み合わさったものであり、オバマ大統領はただそれを伝えに来ただけです。まして韓国には何もよいことはありませんでしたから、やはり訪韓を中止すべきだったのです。

中共が「法に基づいて」?

皇紀2674年(平成26年)4月25日

 http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ240DW_U4A420……
 ▲日本經濟新聞:中国「戦後賠償の請求権放棄、民間は含まず」 新華社が論評
 http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140424/frn……
 ▲zakzak(産經新聞社):天津でも戦争賠償訴訟 反日団体準備 最高額400億円か

 日米首脳会談が終わりました。連日申したとおり最大の焦点は、環太平洋経済連携協定(TPP)ではなく日米の太平洋防衛でしたから、沖縄県石垣市尖閣諸島が「日本の施政下にある領土」であり、「日米安全保障条約の適用範囲」と両首脳が確認しあったのは、一定の成果です。

 しかし、バラク・オバマ大統領は本当に「ただのメッセンジャー・ボーイ」に過ぎません。また、占領憲法(日本国憲法)有効論をとっている安倍晋三首相も、TPPについて、わが国の市場が「閉鎖的だった」などと横で吐かれて、まさか尖閣で米国に「譲歩」させた見返りに、経済で国を売ろうとしているのではあるまいか、と勘ぐりたくなるような仕上がりでした。

 オバマ大統領が尖閣の件を明言したのは、あくまで日米の太平洋防衛連携を確認したのであって、米国の譲歩などではなく、逆に明言できないままであれば米国が太平洋の権益から手を引くことにもなりかねません。

 私が彼を「メッセンジャー・ボーイ」と申したのは、事前に現場から上がっていた太平洋防衛に関する指針を、大統領がそのまま口にしただけだったからです。また、共同声明を出せなかったのは、(安倍首相のほうではなく)オバマ大統領の無能さを表しています。

 そこで両首脳ともに認識の甘さを露呈させたのは、対中外交でした。

 二十二日記事で申したように、三権分立を否定した中共の口から「裁判所は法に基づいて裁決」などという言葉が出るのはありえず、わが国も企業から法人税を徴収した政府が商船三井の支払いを黙って眺めているのは大間違いです。これだから多くの企業は法人税を納めたくないのでしょう。

 商船三井の行為は、「歴史で日本を追い詰め、日本人からカネをむしりとる」という前例を作ってしまいました。政府は「取り返してやる」か、そもそも「払うな。政府が何とかしてやる」というのが筋でしょう。

 オバマ大統領はこの顛末をご存じないのでしょうか。安倍首相が会談で取り上げなかったのでしょう。中共は、こんな日米首脳会談でも恐くて、商船三井に手荒な真似をしてみせたのです。日米の連携には、まだそれだけの価値があるのです。

中共経済は失速している

皇紀2674年(平成26年)4月24日

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140416/fnc140416……
 ▲産經新聞:中国GDP鈍化、市場は冷静…構造改革の進展見極め

 中共国家統計局による実質国内総生産(GDP、速報値)の発表がいつもより遅かったのですが、四半期ベースの成長率を「前年同期比七.四%増」としたのは、或る意味絶妙な数字です。

 つまり、経済成長の鈍化を指摘されるような発表でも、既に北京政府によって「作られた数字」にほかなりません。だからこそいつもはあまりにも簡単に、該当する月の一日に発表してきましたが、今回ばかりは十六日までずれ込んだのでしょう。それほど中共経済は確実に失速しているのです。

 米国のバラク・オバマ大統領が来日しているうちに私たちが改めて考えるべきは、何度も申しますが、人民元の切り下げと異常な円高への誘導は、米中が話し合ってやってきたことであり、米国の対中貿易赤字が膨れ上がれる中、かつて同じ様相を呈したわが国を徹底的に攻撃したのとは大違いで、人民元切り上げ要求が極めて弱弱しいのはなぜか、ということではないでしょうか。

 日米の太平洋防衛ラインを脅かし始めた現在の中共を生み出したのは、間違いなく米国です。いわゆる「チャイナ・マネー」を連邦政府機関にまで浸透させてしまった米国も、中共にほぼ無償支援をばらまいたわが国も、まさに自業自得ですが、日米関係を信じた日本を、中共と組んで裏切った米国は、あまりにもその罪が重いといわざるをえません。

 昨日記事でも申しましたが、今回の日米首脳会談は、環太平洋経済連携協定(TPP)のゆくえに焦点が集まるのではなく、日米が太平洋防衛を諦めるのか否かという瀬戸際まできていることを確認できるのかどうかなのです。諦めれば日米ともに中共に喰われて終わります。それでよいのか、と。

 中共の住宅販売額は、本年第一四半期の前年同期比がなんと七.七%マイナスでした。前年まで通年で二十五%程度のプラスだったにもかかわらず、いきなりマイナスなのです。

 中共共産党は、この問題にも「作られた数字」で対処してしまいますから、予測に対してただちに経済が崩壊しにくいのですが、もはや中共は世界中の企業が投資すべき対象国ではありません

 安倍晋三首相は、オバマ大統領らにこれを分からせなければならないのです。