次期首相睨み露が領空侵犯
いきなりですが、ところで独国のヤン・ヘッカー駐中共大使の死因は判明したのでしょうか。アンゲラ・メルケル首相の外交顧問だったヘッカー大使は六日、先月二十四日に中共へ着任したばかりでしたが、突然亡くなったのです。五十四歳でした。お悔やみを申し上げます。
どうも三日に開催された大使公邸の催しに出席した辺りが怪しいのですが、総選挙目前にして大混戦中のまもなく終わる「メルケル十六年」ですっかり旧東独化(左傾化、或いはグローバリズム化)した独国が中共に対する態度をわずかに転換し、海軍フリゲート艦「バイエルン」を南支那海へ派遣したことなどと何か関係があるのでしょうか。
疑いすぎだと思われるでしょうが、疑われるようなことしかしない中共にものをいうことを忘れた日本人は、疑うこと、すなわち自ら考えることを放棄したままだから呑気でいられるのです。
相手の暴挙にも「日本が悪かったからだ」などとわめいていれば今そこにある危機から目を背けていられるのは、確かに楽でしょう。そうやって子孫の代へ東亜の遺恨を遺し続けるのです。
それは露国に対しても同様で、自民党総裁選挙(事実上の次期首相選挙)大混戦の只中に露航空機An26が二度にわたって領空侵犯しました。昨日午前、北海道知床半島沖でのことでした。
かつて北海道歯舞群島貝柄島近海で、第三十一吉進丸が露国境警備隊に蜂の巣にされ、乗組員一名の尊い命が奪われました。類似する事件は何度も起きており、極端な話、ならば昨日のこの航空機もわが国側が撃墜してしまえばよかったことになります。
しかし、そのようなことを口にしただけで「過激だ」といわれますし、現行法制下では許されません。極端な話だと私自身も断りましたが、私たち国民の多くが発想にもないことを露国も中共も平然と私たちに対してしでかすのです。彼らの「国家防衛」に対し、わが国にはその意識がないからです。
また、島根県隠岐郡隠岐の島町竹島近海では、かつて韓国が日本人漁師約四千人もを不法に拘束し、計八名を殺害しています。このようなとんでもない暴力に沈黙してはいけません。
菅義偉首相が退陣前に訪米するのも、日米豪印戦略対話(クアッド)の初会合を実現したい米政府の強い要請を受けたもので、わが国では「卒業旅行か」などと呑気に揶揄する声を散見しますが、先月六日記事で申したようなIRをめぐる日米の事情(裏の話)もあり、菅首相は最後に今後のわが国の方針まで「確認される」べくどうしても説明しにいかねばならないのです。
露国の凶行もこうした事情を睨み、米国に負けじとわが国の政情に影響を与えようとしているのでしょう。皮肉なことに、それは高市早苗次期首相の必要性を証明することにしかならないのですが、そうした反応を私たち国民がするかどうかも、露国は探りたいに違いありません。
現行憲法(占領憲法)すら「憲法」だと思い込むことにした私たちは、迷惑極まりない国ぐにに囲まれて太平洋防衛の相手国からも要求されることばかりであり、情けなくも試されています。いつまでも自分で何の判断もしないようだからこそ、先進各国の経済成長からもわが国だけが取り残されているのです。