尖閣諸島?仙谷由人?検察

皇紀2670年(平成22年)9月25日

 全世界の皆様、海上保安庁の巡視船に当て逃げしても、日本では罪にならないそうです。

 そのかわり、沖縄県石垣市議会議員が市の行政区域である尖閣諸島に確固たる行政調査の目的で上陸しようとすると、出航を阻まれて書類送検されてしまいます。

 これも政治的判断です! 

 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2010092400537

 ▲時事通信:中国人船長、処分保留で釈放へ=「日中関係を考慮」?尖閣沖漁船衝突・那覇地検

 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010092400669

 ▲時事通信:船長釈放は検察判断=日中関係修復に努力?官房長官

 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010092400754

 ▲時事通信:「法と証拠」に基づき判断=柳田法相がコメント

 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010092400666

 ▲時事通信:「極めて愚か」「外交的敗北」=自民など一斉批判、公明は評価?中国人船長釈放

 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010092400887

 ▲時事通信:船長釈放、「賢明な判断」=日米同盟強化で安定期待?台湾専門家

 日本の三権分立は死にました。いえ、本件でとっくに死んでいたと分かったのです。記者会見を開いた那覇地方検察庁の鈴木亨次席検事の「わが国での前科がない」「国民への影響や今後の日中関係も考慮」といった司法の判断とは思えない発言を指して、個人攻撃または検察叩きをするのは非常に分かり易いでしょう。

 しかし、これはそう単純なことで終わらせられるものではありません。恐らく柳田稔法相は事後承諾だったのでしょうが、検察庁に圧力をかけたのは仙谷由人内閣官房長官に違いありません。私は少なくともそうではないかと見ています。

 これで郵便制度悪用事件に係る村木厚子元局長の無罪判決、ならびに大阪地方検察庁特別捜査部の前田恒彦検事の逮捕に関する私の疑問は、少しずつ解明され始めました。(22日記事コメント欄) 敢えて私はこう申しておきましょう。小林敬検事正、或いは大阪地検という組織自体に重大な責任、問題があるのではない、と。

 創価学会=公明党の反応は恥ずかしいほど分かり易いものです。日本共産党でさえ尖閣諸島の日本領有を主張し、抗議の意志を示した今回の対応に、公明党だけが賛辞を贈っています。また、まったく別の視点から台湾の専門家が日本政府の対応を評価していますが、これが米国の某筋の意見を反映したものと言ってよいでしょう。火種を残して日米同盟強化万歳、と。

 よろしいですか。米国は日本がイランのアザデガン油田の採掘権を獲得したのに横槍を入れ、中共に落札されるままにした国ですよ。日米安保を振りかざして日本国民を干上がらせ、高値で原油を買い取らせようとするのが米国なのです。未だに彼らは大東亜戦争以前のようなことをしており、盲信して自立心もなくフラフラ着いていくときっと莫迦を見ます。

 これは想像の域を出ませんが、仙石長官は新たな郵政利権をまさぐっている状態に違いありません。障害者団体向け割引郵便制度を悪用した団体に創価学会が関係しているという噂を事実と仮定するならば、事実上の仙石内閣小沢一郎元幹事長を必要とせずとも民公連立、或いは連携を実現して国対を乗り切る見積もりで、何らかの弁護士としての人脈を使って検察と取引した結果が、前田検事の逮捕・中共人船長の保釈ではなかったでしょうか。

 メディア報道の攻撃的視線は検察庁にだけ向いていますが、やはりこれはおかしいのです。仙石長官の圧力に屈し、もし本当に何らかの取引をした上での判断を下したとすれば最低ですが、はっきりしていることは司法が言ってはいけないことを明言したという事実であり、その異常さからいっても何らかの政治的圧力に司法が屈したことを示唆しているのだけは間違いありません。また、これができたのは過去に遡っても仙石長官のみであるはずがないのです。

 いずれにせよこの内閣は、屈米左派の菅直人首相も、日中戦争を煽るような米国某筋とやたら懇談している前原誠司外相もいないまま、極めて重要な案件を官房長官が勝手に「了」と決断しました。

 日本政府がする必要もない遺棄化学兵器処理事業の受注を目指して河北省石家荘市にいた4人のフジタ社員たちは、中共というテロ集団に人質にとられたようなものであり、政府が毅然と取り返さずテロリストと安易な妥協をした(で、帰って来られる?)という点では、くしくも屈中の権化たる福田康夫元首相の父・福田赳夫元首相と似たような対応を取ってしまったのです。これを見ていたのが北朝鮮であり、そして拉致事件が起きました。

 いや、米ゴールドマン・サックスに再建してもらったフジタ……わざわざ彼らだった理由が何かあるのかもしれません。石家荘市といえば、毒入り餃子事件を起こした天洋食品工場のあった省都ですよね。そもそも中共漁民なんぞと言っていますが、中共工作員の間違いではなかったでしょうか。これはさすがに勘ぐりすぎか、そうでもないか。

↓↓↓クリックして下さい!

人気ブログランキング

政治部門・映画部門の2カテゴリー登録になっています。ご了承の上、何卒ご協力下さい。

↓↓↓こちらもクリックして下さい!

FC2ブログランキング

映画『氷雪の門』オフィシャルサイト

スポンサードリンク

米中の顔色伺うことはない

皇紀2670年(平成22年)9月24日

 沖縄県石垣市尖閣諸島近海で、中共漁船が海上保安庁の巡視船に当て逃げした事件を巡って、まだまだ中共は好戦的な態度をとり続けています。

 先日も指摘したように、やはり場内ガラガラの状態でUN(連合国 俗称=国連)総会の演説に臨んだ菅直人首相は、尖閣諸島や島根県隠岐郡隠岐の島町竹島の国際法に則った領土確認の事実を主張し、全世界に「中共や韓国・北朝鮮のような平和を乱す国家の行ないに目を伏せないで下さい」くらいのことも言わず、勝手に医療・教育支援約7200億円を途上国にバラ撒く約束をしてしまいました。

 まず日本の医療・教育制度に多くの問題があるのです。例えばキューバのように自国で医療が完結できるようにし、余力を他国に提供するなら立派であり日本も目指すべきですが、国民の面倒もまともに見られていない政府のくせに、民主党政権は鳩山由紀夫前首相といい、勝手な約束を戦争の産物組織の総会でしてくるなと言いたい。

 この総会周辺では中共の温家宝首相が先の件で必死でした。米紙ニューヨーク・タイムズが日本向けレアアース(希土類)輸出禁止措置を講じたと報じれば、商務省の陳栄凱報道官が23日、これを否定し、米外交専門誌フォーリン・ポリシーは、日本がこれを機に軍事力を整備して中共を抑え込むよう煽っています。産經新聞社も、筋は分かるが具体性に欠く記事を配信しており、その思惑がどこにあるのか分かりにくくて仕方がありません。

 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100923/plc1009231225010-n1.htm

 ▲産經新聞:【尖閣衝突事件】東南ア、毅然対応期待 南シナ海で対峙 強い関心

 東南亜各国が中共の覇権掌握欲剥き出しの諸行為に困惑させられてきたのは事実ですが、どの政府レヴェルで菅首相に期待しているのかなど、まったく記されていません。なぜなら、菅首相の対応に期待する声などないからです。

 http://sankei.jp.msn.com/world/china/100922/chn1009220300000-n1.htm

 ▲産經新聞:【正論】評論家・鳥居民 中国の反日では権力闘争も疑え

 一方で、このような興味深い見解を掲載しています。私も随分前に胡錦濤国家主席は人民解放軍を掌握しきれていない、または上海閥を封じ込めきれていないのではないかと書いたことがありますが、中共に於ける反日行動は、確かに「指桑罵槐(しそうばかい)」の可能性があるでしょう。

 ならばなおのこと、日本は彼らの権力闘争に一切介入することなく、つまり一切遠慮なく対応すべきです。中曽根康弘元首相が胡耀邦主席を知日派の窓口として温存させようと、靖國神社参拝を取りやめるという愚にもつかない行いに及んで、実際はそれとほぼ関係なく胡主席が失脚した経験からこそ学ばねばなりません。彼らの頭の中にまで手を突っ込んでどうにかしようなどと色気づくのが大間違いなのです。

 最も困ってしまうのは、日中関係の悪化を大企業が嫌い、日本政府のほうに「折れてくれ」と頼み始めることでしょう。国民にご飯を食べさせられない政府は存在価値が皆無ですが、政府自ら売国奴に墜ちて守銭奴の言いなりと化すのはさらに最低・最悪と言わねばなりません。長い目で見て、国民を飢えさせることになるのは明らかです。それに、企業倫理の致命的問題や賃金の上昇で中共経済の時代はとっくに終わっています。

 日本は、米国の一部に煽られるまま日中戦争への道を決して歩んではなりません。また、中共に脅されるまま絶対に屈してはなりません

 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100923/plc1009232313021-n1.htm

 ▲産經新聞:「尖閣は日米安保適用対象」クリントン長官、明言 日米外相会談で

 このような報道に触れて意気揚々とするのは間違いです。占領憲法体制では確かに日米安全保障条約が助けになるでしょうが、尖閣諸島は日本の領土であり、私たち日本民族の問題ではありませんか。実は国際社会に於いてはむしろ左翼的な主張ということになるかもしれませんが、日本保守派たる者、日本は日本民族の手で守り、日本をまず日本民族が老後まで安心して暮らせる国にしよう、と政府に向かって声に出して言いましょうよ。

↓↓↓クリックして下さい!

人気ブログランキング

政治部門・映画部門の2カテゴリー登録になっています。ご了承の上、何卒ご協力下さい。

↓↓↓こちらもクリックして下さい!

FC2ブログランキング

映画『氷雪の門』オフィシャルサイト

「正義はどこへ」の寝ぼけ

皇紀2670年(平成22年)9月22日

 障害者団体向け割引郵便制度悪用事件に絡んで21日、捜査主任だった大阪地方検察庁特別捜査部の前田恒彦検事が逮捕されました。概して関連報道は「正義はどこへ」などとうたっていますが、本気で警察や検察の取り調べに於いて日常的に誘導や恫喝がないと皆が思っているなら、あまりにもおめでたいと言わざるをえません。また、取り調べ官に悪態をつき続ける容疑者がいることも事実でしょう。

 そもそも関連報道の中には検察関係者からもたらされたと明記してある情報もあり、それ自体の信憑性こそ日常的に疑わしいと言いたいのです。前田検事が事件証拠のデータ改竄に関し、本年2月ごろから同僚とトラブルになっていたという情報もその一つであり、大阪地検検事正や次席検事が改竄を容認していたという情報に至っては事実に反しているだろうと私は思っています。

 最も私が疑問を抱くのは、すでに「地検の特捜は東京だけで十分。大阪・名古屋は組織解体だ」という論調が形成され始めていることです。

 よくあることですが、前田検事は大阪地検特捜部から東京地検特捜部に移り、そこで極めて大きな疑問(政治的な狙い撃ち疑惑)を残した佐藤栄佐久前福島県知事汚職事件や守屋武昌防衛事務次官汚職収賄事件を担当して名を上げ、再び大阪に戻っています。今回の事件で特捜の在り方を論じるならば、すべてが解体的出直しの対象でなければおかしいではありませんか。

 誰が、というより何が前田検事のような捜査手法を可能にさせたかといえば、警察・検察の持っている「吐かせてなんぼ」という組織の性質(平成19年公開の日本映画『それでもボクはやってない』での警察・検察の取り調べ、裁判官の奇妙な交代劇は事実の一例)もありましょうが、むしろ約2年間の東京赴任が強く影響したように思えてならないのです。

 一刻も早く「吐かせてなんぼ」から「容疑をもって逮捕し、裁判にかけることが職務である」という原則に戻って、意識をこそ改めてもらいたい。「割り屋」という隠語の存在自体が、他の省庁に置き換えればお気づきになるでしょうが、いかにも官僚主導の発想からきていて放置できません。

 郵便制度悪用事件について言えば、確かに村木厚子元厚生労働省雇用均等・児童家庭局長は無罪を勝ち取りました。幸運だったと言えるほど名誉を回復し、厚生労働省大臣官房付として復職できましたが、ならばそれでも局内の虚偽公文書作成・行使に気づかなかった無能な官僚であることに変わりはありません。復職を適当とした長妻昭前厚労相の判断は決して見過ごせないのです。

 <長妻前厚労相で思い出しましたが、この人が引きずり下ろされ、部下のいない首相補佐官に(なぜか未だ国民人気の高い長妻氏に限って申せば)左遷が決まったのは、渡辺芳樹元社会保険庁長官が駐瑞国(スウェーデン)大使に充てられた時だったのでしょう。だから菅内閣は仙谷由人内閣なのですよ。>

 本件で特捜は確かに下手を打ちましたが、ここまでいかずとも大なり小なり誘導・恫喝をやられて検察と対峙することすらできないで終わる人はいます。村木元局長はうまくやれたということであって、係る「民主党潰し」疑惑とその目論み失敗疑惑はまた別に論じねばならないでしょう。今回の党代表選挙で、石井一衆議院議員が小沢一郎元幹事長を応援しなかった理由は、このあたりに絡んでくるのでしょうか。

 いずれにせよ、本当に組織として一旦解体すべきは東京地検特捜部のほうです。東京と大阪・名古屋では組織としての出自が違いますが、人事でともに水が濁り始めています。もうほとんど消費期限を過ぎて腐っているはずのGHQの置き土産といえば、日本国憲法という名の占領憲法も東京地検特捜部も日教組も皆同じなのです。

 だからと言って、大日本帝國憲法を復原すれば即問題解決などとは申しませんし、現に帝國憲法下でも妙な法律がまかり通ったこともありましたが、少なくとも私たちの国家・社会の大前提が狂いっぱなしなのは論外でしょう。占領憲法下でこそますます珍妙な法案を次から次へ可決させている、または可決させようとしていることから、ほんの小さな要因が時とともに膨れ上がり、人間の尊厳や国家の存在自体を脅かしかねません私たちも意識を改めねばならないのです。

↓↓↓クリックして下さい!

人気ブログランキング

政治部門・映画部門の2カテゴリー登録になっています。ご了承の上、何卒ご協力下さい。

↓↓↓こちらもクリックして下さい!

FC2ブログランキング

映画『氷雪の門』オフィシャルサイト

石垣市尖閣諸島という基本

皇紀2670年(平成22年)9月21日

 沖縄県石垣市尖閣諸島近海での中共漁船による海上保安庁巡視船への当て逃げ事故問題ですが、改めて基本を確認しておきましょう。

 http://www.shinhoshu.com/2009/12/post-119.html

 ▲真・保守市民の会:「領土と憲法」大阪決起集会 3「尖閣諸島」外交文書が語る日本領

 ここで仲間均石垣市議会議員が提示された資料こそ、大正9年に当時の中華民国が、福建省の遭難漁民を救った当時の沖縄県八重山郡石垣村へ宛てた感謝状です。ここに「沖縄県八重山郡尖閣諸島」という記述があり、その領有が日本にあることを彼ら自身が認めています

 

 もし仮にも「中華民国は台湾に移った」と中共が言うなら、UN(連合国 俗称=国連)の安全保障理事会常任理事国に中共が入っていることも、或いは大東亜戦争に対する謝罪を中共が日本に求めることも、はたまた台湾を「一つの中国」と主張してはばからないことも、すべてまったくおかしな話ということになりましょう。

 尖閣諸島が「日本固有の領土」だから昭和46年(海底資源の存在確認)以降の突然の中共による領有権主張に怒っているのではなく、無理が通れば道理が引っ込むとでも思っているような国際法無視の態度に、平和を求める私たちは怒っているのです。前原誠司外相は何をどう理解して発言しているのでしょうか。

映画『氷雪の門』オフィシャルサイト

日本民族を演じ続けた役者

皇紀2670年(平成22年)9月18日

 俳優の小林桂樹さんが16日午後4時25分、東京都港区の病院で心不全のため亡くなられていたことが分かりました。86歳でした。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 http://sankei.jp.msn.com/

 entertainments/entertainers/100918/

 tnr1009181746011-n1.htm

 ▲産經新聞:小林桂樹さん死去 映画「社長」シリーズ、テレビでも渋い演技

 トロンボーン奏者であり喜劇俳優でもあった谷啓さんも11日に亡くなられたばかりですが、実は伊丹十三監督作品の常連だった俳優の矢野宣さんも17日午前10時10分、東京都文京区の病院で食道癌のため亡くなられました。82歳でした。本当に心からご冥福をお祈り申し上げます。

 http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/100918/tnr1009181553009-n1.htm

 ▲産經新聞:矢野宣氏死去 伊丹十三監督映画の常連

 矢野さんといえば、配役にうるさい伊丹監督に重宝された役者さんですが、特に大きな役を演じられたのは『スーパーの女』で、津川雅彦さん扮する五郎が経営しているダメスーパー「正直屋」の店長役でした。これがとんでもない奴という役で、精肉部と鮮魚部の職人たちを引き連れて商売敵の悪徳スーパー「安売り大魔王」(社長役は伊東四朗さん)に寝返る工作を仕掛けるのです。しかも、彼は精肉部の食肉偽装を知っていました。

 このようないわゆる悪役から、例えば『ミンボーの女』での地方裁判所執行官役のように、一目で頼れる人物と観客に分からせてしまう役までを幅広く演じられた矢野さんですが、先に触れた小林桂樹さんも『マルサの女』で東京国税局査察部の管理課長を演じています。

 脱税摘発の対象が政界にも及ぶほどの強烈なカルト教団や暴力団ということになる『マルサの女2』では、同じ役を丹波哲郎さんが演じたことと対比しても分かるように、小林さんはあくまで日本の庶民像を体現した役者さんでした。社長秘書を演じられても、上役を演じられても。

 私が小林さんの印象を強く残しているのは、森谷司郎監督による昭和48年製作の『日本沈没』(東宝)で演じられた田所博士役です。これは小林さんがTBS製作のドラマ版でも同じ役を演じられたのみならず、地球物理学者から考古学者への設定変更があるとはいえ、役名も役の持つ(俗に言う偏屈な)性格も同じ田所博士を『男はつらいよ 葛飾立志篇』(松竹)でも演じられました。

 『日本沈没』の田所博士は、日本列島の大異変を最初に発見した人物であり、彼は或る種自己破滅的なまでに国民への警告を試み、山本首相(丹波哲郎)を動かして1億の民族を日本から退避させる計画を進めさせますが、日本最期の時、田所は首相にこう言うのです。「わしは日本が好きだった」「総理、日本人を頼みましたぞ!」と。そして彼は沈みゆく日本との心中を選択するのです。

 私たちに非常に近いところにおられるような印象を与える小林さんが、このような役を演じられたことに大きな意味があり、他にも『日本のいちばん長い日』(岡本喜八監督)で玉音放送を護り抜いた徳川義寛侍従役や、『連合艦隊』(松林宗恵監督)での山本五十六司令長官役、或いは昭和59年製作版『ゴジラ』(橋本幸治監督)での三田村首相役と、皆すべてが非常に真面目な人物であり、社会的地位を問わず日本民族のいわゆる庶民像を下敷きにせねばありえない、小林さんにしか出せない妙味がありました。

 ですから、松竹の小津安二郎監督が東宝に招聘されて製作した『小早川家の秋』での入り婿役も、はたまた黒澤明監督の『椿三十郎』に於ける滑稽なまでに愚直な見張り侍役も、皆まさに「小林桂樹」であり「いかにも日本民族」だったのです。私は小さい頃から、日本の俳優では小林さんがとても好きでした。

 ところで、この「いかにも日本民族」というのが一体何なのか、伊丹監督も思い入れを込めて取り上げ続けられた主題でしたが、これについては別の機会に論じるとしましょう。

映画『氷雪の門』オフィシャルサイト