岸田政権のデフレマインド
十二日記事で申した岸田政権の迷走と申せば、武漢ウイルス(新型コロナウイルス)対策として十八歳以下に行なう十万円相当の給付をめぐる「クーポンか現金か」の朝令暮改がありました。
結局五万円のクーポン配布を決めたのは、全国でたったの七自治体に留まり、山際大志郎経済再生担当相が「少なくとも選択肢としてあったことは悪くなかった」などと発言しましたが、岸田政権は立法(国会)の予算編成を何だと思っているのでしょうか。
「成長と分配」を掲げて当選した岸田文雄首相は、言行不一致も甚だしく、十四日記事で申したことなどと併せますと、間違いなく財務省にも既になめられています。
与党・自民党の高市早苗政務調査会長による私たち国民への大型財政投資などの政策提言を無視し、財政再建という出鱈目に自ら堕ちていくのは必至で、国民経済は惨めなほど置き去りにされていくでしょう。
そのような中、東洋経済新報社が上記のような記事を配信しているわけですが、これは一体誰に向けて何のために書かれているのでしょうか。
概して「家計簿」感覚で経済を語る萩原某女史にしろこの手の経済ジャーナリスト?は、わが国がいつまでも「安くてよいもの」で勝負しなければならないデフレマインド(給与・物価下落の長期定着思考)をなぜか喚起し続け、それが実態であると胸を張ります。
その時、彼らは必ず持続可能な開発目標(SDGs)を棚に上げていることにすら気づいていません。本当に持続可能(サスティナブル)であるのは、長距離海上輸送などに頼らず可能な限り自国民の分を自国で生産・製造することでしょう。
しかし、何度も申しますがわが国の物価は、実のところあまり下落していません。給与だけが下落し続けてきました。
しかもわが国だけが世界の経済成長(十%以上)から取り残され、安物を求めて食糧から資源から何もかも自給を諦めて輸入してきたばかりに、各国で買い負けを起こし、ありとあらゆるものの価格が上昇し続け、給与は下がったままです。
わが国は、もうデフレーションではなく、経済現象として最低最悪最凶といわれるスタグフレーション(不景気下の物価上昇)を引き起こしています。
私たち国民は、買いたいものがなくなったのではありません。買いたいのに買えなくなったのです。
皆が自身や世帯の収入に合わせて消費せざるをえなくなり、本当は服も鞄も時計も買いたいし、牛肉も買って食べたいし、テーマパークの高い入場券を買って楽しみたいのですが、それができない経済状況で「欲しいものは?」と聞かれても「別に」というほかありません。
よい意味での見栄も張らなくなった日本人からその「見栄」がなくなったと勘違いしているなら、もう二度と国民経済について語らないほうがよいでしょう。
今、私たちは思い知ったはずです。良質な国産は「高くて売れない」と私の自給自足論を否定してきた方は、現在の高くて低質な外国産を買い続けるのですか?
武漢ウイルス禍で輸送されない品不足でさらに高値になり、気候が変わったなどと噓八百を並べて買い負けの惨めを隠し続けながら、良質な国産の自給自足にこそわが国の経済成長の活路があったはずだと悔やんではいないのですか?
くだらない見栄は張らないことです。
岸田政権が掲げるべきは、成長戦略と安全保障を両立させる、可能な限りの食糧・資材の「自給率アップ大計画」以外にないのです。