NYタイムズは工作新聞?

皇紀2671年(平成23年)1月29日

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110128/amr11012818280042-n1.htm
 ▲産經新聞:NYタイムズ紙、またも尖閣問題は「中国の主張に理」 日本総領事館が抗議

 ザ・ニュー・ヨーク・タイムズ(以下 NYT)はいわゆる「地方紙」ですから、これが米国の世論であるとか、或いは約3億人に達した米国民の認識に大きな影響を与えるものとも言えませんが、この種の情報戦にわが国が無知・無気力であってはなりません。

 NYTの対日非難記事といえば「大西哲光(ノリミツ・オオニシ)」を名乗る記者による署名記事が有名ですが、日本の漢字・仮名文化を批判的用法としての「島国根性」に関連づけたり、北朝鮮による日本人拉致事件の解決を阻害するような珍妙なものばかりです。この際には、当時の中山恭子首相補佐官(現在 たちあがれ日本参議院幹事長代理)が反論文を同紙とほか1紙に掲載させました。

 今回の一連の沖縄県石垣市尖閣諸島に関する「中共に分がある」「中共に揺るぎない歴史的根拠がある」などの「ならばその国際法上揺るぎない歴史的根拠を法理原則に従って示しなさい」と反論されるべき記事を書いたのは、ニコラス・クリストフ氏です。

 東欧系米国人の彼は、2度に渡ってピューリッツァー賞を受賞した記者であり、米国内に於いてはそれが優れた記者であることをほぼ意味しますが、最初の受賞は、中共系米国人の投資家で彼の妻であるシェリル・ウーダンさんとともに書いた天安門事件に関する記事でした。

 彼らの生活環境と出自が、昨年9月の記事を巡って在ニュー・ヨーク日本国総領事館の反論を受け取りながらも、本年1月にまたも根拠希薄なまま同じ主張を繰り返した所以なのかどうか分かりませんが、これほど何らの説明もなしに中共の主張だけを繰り返し書く意図は一体何なのでしょうか。

 概してGHQ占領統治期以降の日本国民が米国発信の主張に弱いことを知っていて、米国内向けではなく対日情報戦として仕掛けているのか、ありもしない領土問題まで持ち出して日本を弱体化させる工作が既に米国内で進んでいることを意味しているのかもしれません。

 このような工作員は、弱々しい日本政府を頼ることが出来ずに決死の覚悟で自ら領土保全に動き出した石垣市民の選択を、取るに足らないものと考えているでしょうし、それほど血も涙もなければ工作員など務まらないものです。

 まさか私たちまでもが、平和を乱すような血も涙もない情報工作に同意することはありませんが、毅然と抗議した総領事館の仕事に礼を記しつつも、ならばこれまでの政府対応はどうであったかという問題を提起せざるをえません。わが国政府とて、国際社会の約束ごとに従って必ずしも誠実であり続けてきたわけではないのです。

 その一端が、露国による北海道の北方領土実効支配、または韓国による島根県隠岐郡隠岐の島町竹島への武力侵略を許したままにしている現状に表れており、挙げ句には、中共人の魚釣島不法侵入と公共物損壊事件、漁船による当て逃げ事件のそれぞれを、自公連立政権も民国連立政権もうやむやにしてしまったのですから、もう既に私たちの政府は或る種の情報戦に敗れています。

 NYTのこれほど莫迦げた工作活動を許しているのは、わが国が米軍による占領統治を終えてなお占領憲法をそのままにしているからであり、例えば大西氏が護憲を擁護しながらも、その実その主張は護憲の現実を利用・嘲笑する米国政府の上に成り立っていることこそ、私たち日本民族が知らねばならないことなのです。

統一地方選直前!2・13「日本よ、たちあがれ!」第二回決起集会
 http://www.shinhoshu.com/2011/01/post-173.html
▲詳細は上記リンク記事をご参照下さい。皆様のご参加をお待ちしています。

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言論統制の黒幕は安住氏

皇紀2671年(平成23年)1月28日

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110127/plc11012701310010-n1.htm
 ▲産經新聞:防衛次官通達、安住氏が主導 政務官再考促すも耳を貸さず
 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110127/stt11012723360079-n1.htm
 ▲産經新聞:安住氏、事務次官通達の関与は認める

 民間団体「入間航友会」の荻野光男会長の発言を端緒に、自衛隊行事での民間人による政権批判を封じる事務次官通達が出された問題は、昨年11月17日記事の最後でも触れていますが、公務員の発言なら職務上の立場を考えて当然にせよ、民間人の発言を操作しようとするのは、まるで中共か北朝鮮でのことのようです。

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110119/stt11011919430071-n1.htm
 ▲産經新聞:「菅政権つぶして自民党政権に」入間航友会会長の発言要旨

 荻野会長の発言には、単なる「自民党政権への復帰」の旨が含まれており、私はそれが会長の指摘する沖縄県石垣市尖閣諸島への政府対応に於ける問題解決とはならないと思うのであまり賛同出来ませんが、もう一度断わっておきますように、これを防衛省職員や自衛隊員が言ったなら問題ですが、このように思っている民間人の発言までもを政府が、しかも安住淳副防衛相(当時 現在は民主党国対委員長)が封じようとしたのは、極めて恐ろしいことです。

 確かに、荻野会長は非礼だった、或いはまるで自衛隊に反政府の決起を促すような物騒なものだった、との批判を免れないかもしれません。しかし、発言の主旨は「わが国土を守ってもらえないのか」という政府に対する国民の不安が表出したものであり、むしろ政治家は真摯に受け止めるべきでした。

 そもそも私は安住氏の尊大な態度を以前から嫌っていましたので、言論統制の首謀者として彼の名前が出ても驚くことはなかったのです。NHKの政治部記者だったことを鼻にかけているのか、私にはその経歴こそが問題だと思えてなりません。

 まさに妙な「統制」は、それをしてはならないはずのメディア報道に多く見られてきました。FIFA(国際蹴球連盟)亜州杯の準決勝で、日本代表に敗れた韓国代表の奇誠庸選手の「猿真似」行為を巡る日韓両報道に、とんでもない「統制」が姿を現したのです。

 http://www.sanspo.com/soccer/news/110127/scd1101270503001-n1.htm
 ▲サンスポ:サルのまね韓国選手処分も/アジア杯

 私はここで、欧州での被差別体験が動機だったなどと語り始めた彼の行為を「韓国人による反日」に結びつけ、日韓対立を扇動するように抗したいわけではありません。日章旗ではさすがに国旗ですから言い訳にならないと思ったのか、旭日旗を持ち出して「日本は猿真似行為で侮辱されて当然」という世論誘導の結果としての或る種の思想・言論統制を、韓国の中央日報のみならず日本のテレビ朝日でもやっていたことが問題だと言うのです。

 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=137006……
 ▲中央日報:<アジア杯>韓日戦、「キム・ヨナ悪魔仮面」「旭日旗」に非難集中

 画像まで掲載されている「金姸兒選手の角つきお面」は、韓国国内で販売されているものであり、当日掲げられていたとされる旭日旗はなかった(別の大会でのもの)との証言もあります。それをテレビ朝日の報道番組『ワイド・スクランブル』27日放送分では、あたかも旭日旗が軍国主義の象徴であり悪いものであるかのように取り上げられていたと言うのですから、全く呆れたものです。

 旭日旗は、正式には軍旗ですがそれが何だと言うのでしょうか? 日章と旭光の意匠は、祝辞や運動試合の応援、大漁祈願などに広く用いられてきました。他民族に侮辱される、はたまた互いに侮辱し合ういわれのものではありません。

 ただ、軍旗として批判されるのは、占領憲法を無効にしていないからなのですが、どうか皆様に於かれましては誘導、統制されてしまうことのありませんように。私たちは、堂々とこの旗を自前の憲法とともに取り戻すのです。

統一地方選直前!2・13「日本よ、たちあがれ!」第二回決起集会
 http://www.shinhoshu.com/2011/01/post-173.html
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日教組とんでも教育の報告

皇紀2671年(平成23年)1月26日

 http://sankei.jp.msn.com/life/news/110125/edc11012501060002-n1.htm
 ▲産經新聞:「桃太郎の鬼の立場で」「北方領土はどこの国?」日教組教研集会、とんでも教育の報告相次ぐ

 茨城県内で3日間続いた日本教職員組合(日教組)の第60次教育研究全国集会(教研集会)は24日、閉幕しました。記事中で八木秀次氏が指摘するように、政権交代後の日教組は民主党の集票装置として増長しているとも言えますが、別段彼らの所業が急に悪質化しているとは思えません。

 私は広島市で第58次教研集会が行なわれた際、地元の市議会議員らとともに街頭演説に立ちましたが、自民党、或いは自公連立政権時代でも、日教組は与野党相乗りで当選した都道府県知事らの集票装置となり、道理を外して無理を通し、それが許されてきたのです。

 治安を守る警察官ら公務員に組合がないのは、仮にも彼らが労働争議を起こして職場を放棄すれば、公につくす者が誰もいなくなり、私たちの暮らしの安全が脅かされるからなのです(いわば警察官や自衛官らの職が最も国を守っている)が、職業選択の自由をもってその覚悟をしたはずの公務員がかくも組合活動に執心するのは、もはや「公務員の政治活動」の場だからでしかありません。

 全日本教職員組合(全教)や全日本自治団体労働組合(自治労)、日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)らも含め、罰則がないのをいいことに公務員が法の規定をこれほど無視し、特定の政治活動を組織的に行なうことは許されていいのでしょうか。あなたは、そのようなものを税によって支える必要があると思われますか?

 彼らのやっていることがどれほど醜いことか、敢えて彼らとは全く逆の政治活動を想定し、例示して差し上げましょう。

 沖縄県の中学校教師
 自衛隊の国際貢献を否定的に考えさせようとした。
         ↓
 自衛隊の国際貢献を肯定的に考えさせようとした。

 占領憲法第9条違反の自衛隊に、さらなる違反行為であるはずの「武力による威嚇」に当たる海外への派遣を命じた小泉内閣の政治を絶賛し、自衛隊は軍隊であると教え、そのくせ第9条には違反していないと強弁することが、教師の行ないとして許されるでしょうか。

 条約やその締結日時と手順などの法理原則を知り、考える力のない者が教育公務員となっている典型例と言えますが、いわゆる「左翼」に振れても「右翼」に振れても、日本の場合に於いては極めておかしな主張を展開することになります。言うならば、占領憲法が無効のものと知らない者は、日教組教員ばかりを批判出来ません。

 そのもう一つの典型例は、北海道根室市の中学教師「北方領土がどこの国の領土か分からなくなった」なのですが、旧ソ連が桑港(サン・フランシスコ)講和条約に調印していない今日までの意味を理解していないから分からなくなるのです。この教師は、昭和20年8月15日以降も南樺太で対ソ地上戦があった史実を子供たちに教えたでしょうか。

 国歌や『仰げば尊し』の斉唱を「強制」と言いながら別の歌を唱うことを「強制」しようとしたり、人々を苦しめる『鬼』の立場に立つことが「人権」教育だと思っている危うさ、或いは自衛隊の占領憲法違反を自衛官のせいにするような『平和教育』は、決して今に始まったことではありません。

 何度でも申しますが、日本に限らず国旗の掲揚と国歌の斉唱は特定の政治活動ではなく正常な行為であり、わざわざこれを否定することは特定の政治活動(反国家ゲリラやテロリズム)であり異常な行為です。「正常」の対義語が「正常」ではないことくらい、国語の教師でなくても知っておいて下さい。

統一地方選直前!2・13「日本よ、たちあがれ!」第二回決起集会
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田母神氏・防諜・空き巣

皇紀2671年(平成23年)1月25日

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110125/plc11012502510026-n1.htm
 ▲産經新聞:自衛隊員監視 恣意的運用ではないのか

 昨年12月21日記事で取り上げた「第2回日台関係講演会」で、田母神俊雄元航空幕僚長は、自身の講演会に防衛省が監視目的で職員を潜入させているだろう、と語っていました。他にも田母神氏の講演を聞きにいかれたことのある方なら、この種の指摘を耳にされた方もおられるかと思います。

 それが氏独特のご冗談なのか、判断つきかねるところで会場は笑いに包まれるわけですが、防衛省の防諜部隊「自衛隊情報保全隊」が田母神氏や自民党の佐藤正久参議院議員の講演に対して本当にやっていたのです。しかし前述の通り、田母神氏はとっくに気づいていました。

 本来防諜部隊の職務は、それが防衛省・自衛隊に対する破壊活動の可能性を示唆する行為に対して監視するもののはずであり、それがなぜ最大の社会福祉である国防の重要性を日頃から説いている元自衛官たちに対して行なわれるのでしょうか。

 これも田母神氏の講演等を実際に聞かれたことのある方なら既によくご存知でしょうが、氏のいわゆる「更迭事件」が防衛省の増田好平事務次官(当時、現在顧問)主導で、なかば嫌がらせのように行なわれたことは、そもそも氏が当時統合幕僚本部議長に就任しているはずだったところを航空幕僚長のまま留保になっていた人事が恐らく増田次官による指示だったことをしても、俗に言う「背広組」から田母神氏が事件以前より疎まれていたことで分かります。

 今さらですが、田母神氏は航空自衛隊幹部学校の機関紙『鵬友』に「日本は素晴らしい国だ」という旨を書き続けていましたから、例の「アパ論文」で突如このような主張を展開したわけではありません。つまり、防衛省自体が「日本は素晴らしい国と信じ、生命を賭して職務に当たろう」という「制服組」の主張を封じようとしていたのです。

 産經新聞社は、今回判明した防衛省の言論監視行為について、特に北沢俊美防衛相の関与を明確にしたがっていますが、恐らく本当に彼らの知らないことだったに違いありません。これは、更迭事件が麻生太郎首相(当時)らの知らないところで進んだように、省内の「黒い意図」によって動かされてきたように思います。

 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110124k0000e040062000c.html
 ▲毎日新聞:空き巣 田母神・元航空幕僚長の自宅で 300万円被害(画像引用先)

 そして、あまりにも奇妙なタイミングで田母神氏のご自宅に空き巣が入りました。報道の限りでは単なる金品目的の犯行に思えますが、ともすれば「何か」を押収するために入られたのかもしれません。

 占領憲法によって「日米同盟」が一方的な米軍による進駐で成立しているようなわが国政府の中にあって、やはり田母神氏のような人物は、まさしく氏が冗談めかして自らを断わるように「危険人物」だったのです。

統一地方選直前!2・13「日本よ、たちあがれ!」第二回決起集会
 http://www.shinhoshu.com/2011/01/post-173.html
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【明解】TPP阻止せよ!

皇紀2671年(平成23年)1月24日

 いよいよ第177通常国会が24日に召集されます。菅改造内閣人事の大きな特徴は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加に向けた強い意志を感じるものでした。菅直人首相は、これを「平成の開国」とうたっていますが、果たしてそうでしょうか。

 この問題については、昨年11月8日記事で明確に「不参加でよろしい」と申しましたが、国内では、TPPに参加しなければ「経済発展の一層の立ち後れを招く」と政治家や一部の文化人がメディア報道に乗せて発言しており、特にこれらへの批判は農業界からのみという現状にあって、時には彼らが「競争から逃げる既得権者たち」と揶揄されるほどです。

 では、本当にTPP参加は日本の得にならないのか、或いは農業だけが不利であり製造業は大躍進の機となりうるのでしょうか? この疑問に、京都大学大学院工学研究科の中野剛志助教に伺ったお話などを元にして明解にお答えし、提言することにしましょう。

 昨年記事でも申したように、TPPはいわゆる「経済小国」4カ国間の締結に始まり、その後に越国(ヴェト・ナム)や馬国(マレーシア)、秘国(ペルー)、米国、豪州が交渉に加わりました(未だ参加ではない)が、最も大きな国内総生産の値(67%)と内需の値(73%)を誇るのは当然米国であり、これに次ぐ豪州でさえ、それぞれ5%と3.7%の規模に過ぎません。残る7カ国を合わせても、たったの4%と内需に至っては0.1%です。

 これに日本が参加して、豪州と外需依存の7小国を合わせたわずか3.8%の内需に向かって、一体何を輸出拡大出来るというのでしょうか。製造業にとっても、何の旨味もない話であることがこれで分かります。

 では、日本は米国に売りつけることが出来ないでしょうか? バラク・オバマ大統領はTPPを自身の輸出拡大政策に利用すると明言しており、米国が物を買わせたい国は、萎んだと言っても国内総生産24%と内需23%を誇る日本に他なりません。残る参加国はまるでお話しにならないのです。

 講和発効と同時に無効のはずの占領憲法を放置して対米従属に甘んじているようなわが国政府が、この米国政府の猛烈な方針に対抗し、私たちの経済活動の防波堤を築いてくれると思いますか? その防波堤(関税)を産品の例外なく壊すのがTPPであり、昨年記事に並べた過去の所業を見直しても、日本政府を信用出来る要素などありません。

 わが国の関税は俗に高いと言われてきましたが、欧州連合(EU)各国のそれに比べて実は産品平均値で既に低く、関税撤廃効果などほとんどないのです。

 それでもTPP参加を目指す政府と、TPP参加の世論形成を目指すメディアがなぜわが国にあるのか、という占領統治体制の維持に端緒がある問題に、一切の疑問を呈さない「騙される」体質こそ、私たちの身体を蝕んでいます。

 対外不平等と戦って関税自主権を獲得した明治の開国以来先人たちの努力と、関税自主権を手放そうとする菅内閣の言う「平成の開国」は、呆れるほど異質であることを、お願いですから皆様、自覚して下さい。

——————————以下、10月24日追記記事より抜粋

 http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20101201_1.pdf
 ▲日本医師会:日本政府のTPP参加検討に対する問題提起(PDF)

 日本医師会と私の間にまさか何の利害関係もないことを前提としてお断わりしておきますが、このような角度から環太平洋経済連携協定(TPP)に反対する声は必要です。民主党の前原誠司政調会長が煽り続けているような農業問題だけが、決してTPPの障害ではありません。

 米国にはこの国民皆保険制度がなく、よって保険と金融が密接に結びついてきたことは、皆様もご承知の通りです。医療や保険の分野で、一方的にわが国政府の福祉政策がTPP参加国企業の不利益をもたらすと判断される場合、その防護壁は簡単に取り払われてしまいます。

 そうすれば、参加国企業の個人保険(プライヴェート・インシュアランス)加入が促進され、国民皆保険制度は解体、所得どころか生命の「格差」がわが国でも生じるでしょう。

 民主党野田内閣が参加を表明しようとしているTPPには、当初4カ国によって作成・発効した全20章から成る参加国合意文書(アグリーメント)が既にあり、章ごとに複数条文が存在しています。

 しかし、政府はこの英文原文を国語訳して公開もせず、私たちに何の情報も与えないまま、メディアもただ漠然と報じているような状態です。この現状に風穴を開けられたのが、分析家の青木文鷹氏でした。

 http://www.amazon.co.jp/dp/4594063683?tag=23ha……
 ▲Amazon.co.jp:TPPが日本を壊す(扶桑社新書)廣宮孝信、青木文鷹

 また、氏は「米国の思惑」だけに反対することは危険であり、米国政府が参加見送りを表明すればあたかも「日本の一人勝ち協定」であるかのように演出され、参加議論の障壁は取り除かれるが、日本参加の後に何食わぬ顔で米国に参加されればおしまいだとも警告しています。

 全くその通りでしょう。経済・金融に関する協定に於いて、多国籍企業群の動かす米国政府が「使える手は全部使う」ことは、北米自由貿易協定(NAFTA)の例を見ても全世界の知るところです。米国はそう出来るだけの基軸通貨を持ち、よって軍事力を有しているのですから仕方がありません。一方わが国には、円はあっても日本国憲法(占領憲法)によって軍はおろか交戦権すらないのです。

 それでいて経済規模の大きなわが国は、TPP合意にある市場開放を強制され、地方公共事業も日本人の雇用さえもその対象となり、ほとんど根こそぎ外国企業と外国人に持っていかれるでしょう。

 農家の皆様のみならず、会社勤めのそこのあなた、絶対にTPP参加には反対して下さい。もはや1億の国民が反対の声を上げるほか、参加を止めることは出来ない状態に突入しているのです。

 なお、TPP参加阻止が実現したあと、今度は日中・日韓の自由貿易協定(FTA)締結に血道を上げ始めるであろう「元TPP反対派」に誘導されないよう、気をつけましょう。