これこそ税金のムダ遣い!

皇紀2670年(平成22年)6月27日

 私が敬愛した伊丹十三監督の第6作は、平成5年製作・公開の『大病人』です。映画監督の主人公(三國連太郎)が胃の痛みを訴え、夫婦関係のすっかり冷めきった彼の妻(宮本信子)は、かつて恋人だった医師(津川雅彦)に夫を診せたところ、末期の胃がんであることが判明します。医師は職務として延命を試みますが、いずれの療法も患者に苦痛を与えるため、主人公は安らかな死へと向かうための医学的措置を懇願し、看護士(木内みどり)の助けを得て、天寿を全うするのでした。

 公開当時のコピーは「僕ならこう死ぬ」であり、日本映画で初めて駆使されたデジタル合成によって、日本民族ならではの死生観が描かれています。本作についてはこれからも度々取り上げることになりましょうが、今回は「人と医療と行政」について或る提言をしましょう。

 それは、子宮頸癌(けいがん)ワクチンの接種を義務化しようとする動きが与党民主党を中心に起きていますが、皆様よく考えてみよう、ということです。私は早速、海外での臨床経験も豊富な親しい医師にこの件を取材しました。

 まず、予防ワクチンの接種を全国民に義務化すること自体が問題である、と彼は言います。この子宮頸癌ワクチン「サーバリックス」(英グラクソ・スミスクライン社)のみならず、100%の確立で発病を抑制できるワクチンなど存在しないのですが、同時にかえって副作用を起こし、死亡させてしまうことすらあるのです。それほど現在の予防医学はまだまだ不確定である、と。

 そこで問題視されているのは、昨年話題になった新型インフルエンザワクチンにも添加されていたアジュバントが、やはりサーバリックスにも添加されていることだと指摘する声があります。決して難しい話しはいたしませんから、どうか大切な提言のために、もう少しお読み下さい。

 アジュバントとは、不活性化抗原のワクチン効果を高めるために使われる免疫増強剤(抗原性補強剤)の一種です。つまり、わざと抗原を注射して抗体をつくるのがワクチンなのですが、その助けに必要な薬剤であり、特に前述のワクチンに含まれているのはアジュバントMF?59と呼ばれています。

 これが平成10年に製造されたペット用不妊化薬に添加されていたアジュバント?9を由来とするものであるため、ともすれば「人間用不妊化薬」ではないかというのです。しかし、先にご説明した通り、アジュバント自身は抗体産生の手助けをする物質にすぎませんから、それ自体が不妊化薬ではありません。ただ、成分の1つであるポリソルベート80アナフィラキシーショックと不妊化を引き起こす可能性を指摘する声があるのは確かで、含有量との兼ね合いから不妊化効果を発揮するかどうか、医学的検証は絶対にすべきです。訳の分からないものを身体に取り込むのは、本能的に誰もが抵抗するでしょう。

 それはさておき、税金のムダ遣いを徹底的に省くと言ってきた民主党が共産党らと一緒になって、サーバリックスの接種義務化に積極的なことが大問題ではありませんか。「女性の問題」という名の政治運動で実施が決まれば、果たしてどうなるでしょうか。

 前出の医師曰く、子宮頸癌という非常に限定的な病気を予防するために政府がワクチン接種を全国民に義務化(国費負担)するのなら、私たちは年中何らかのワクチンを注射され続けなければならず、その予算はどこから出るのか、と。

 厚生労働省は将来的な医療費の負担軽減のためだと言いますが、必ずしも全国民が発病するとは限らないものの予防ワクチンを接種させまくることは、まさに厚生行政の欺瞞以外の何ものでもありません。このような或る種の無駄な「対処していますアピール」こそが、厚労省と医師会と製薬会社の癒着をも助長させます。

 映画『大病人』でも、病気との闘い方を医師に押しつけられることを嫌った主人公が、祖先の待つと信じるあの世へと、皆に「先に行って待ってる」と言って亡くなりますが、いかなる意識で病気を予防し、発病後に向き合うかは、少なくとも政府が介入する問題ではないと思うのです。

 その前提のもとで医療行政があり、しかるにワクチンに関する正しい情報の啓発、いざというときの国民負担軽減を目指す財政の健全化が急務であり、これほど国民消費が冷え込んでいるときに増税をかたる菅直人首相にできるはずもありません。さらに税収を減らして、サーバリックス接種の助成は本当にどこから出すつもりでしょうか?

 まして、子宮頸癌はほとんどの場合、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染によって発症するためにワクチンが開発されたのですが、これは性交渉によって感染するものです。その予防ワクチンを子供たちに接種義務化して、よもや民主党や共産党は「開かれた(=乱れた)性」を目指しているのではあるまいな、と。はっきり申せば、これはもう日本民族を莫迦にする施策と言えましょう。

 厚労省の面子を守り、製薬会社の、しかも英国系企業の利益を守るために税金を納めているのではないのですよ、私たちは! 国内の製薬会社には厳しく、海外の製薬会社に甘い日本の薬事行政は、海外から何を持ち込まれ、日本民族を莫迦にされるか分かったものではありません。サーバリックスの接種義務化に、是非とも皆様も反対の声をお上げ下さい。

「日本よ、立ち上がれ!」決起集会

と き 平成22年7月3日・土曜日

    午後13時30分より16時まで

ところ 神戸市「生田文化会館」1階第2会議室

    JR・阪神「元町」駅下車 西改札口より徒歩10分 地図

講 演 遠藤健太郎(真・保守市民の会代表)

    ほか 旧平沼グループ・たちあがれ日本 関係者 登壇予定

参加費 無料

主 催 真・保守市民の会

詳細は公式サイトをご覧下さい。

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自前の憲法が暮らしをよくする!

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大恥必至!菅首相の増税話

皇紀2670年(平成22年)6月26日

 現在、東京・新宿バルト9や大阪・梅田ブルク7などで公開中の日本映画『春との旅』は、小林政広監督が原作・脚本も手掛けた小品ですが、人と家族の本質を問うて秀逸です。

 頑固で足の不自由な老漁師の忠男(仲代達矢)が孫の春(徳永えり)とともに旅に出るというお話しであり、そのきっかけは、春の失職に伴って彼女が上京を希望し、しかし忠男1人では生活ができないため、宮城県内に散らばっている親類を頼ろうと訪ね歩くというものでした。

 実に面白いのは、忠男に手を焼いている春も、なにやら祖父の忠男に性格がよく似ているように見えることです。互いに牽制し合う忠男の兄弟たちも、負けず劣らず似たような性格を露呈し、自分の暮らしだけで精一杯の現状から忠男を受け入れないにもかかわらず、それは決して個人主義的であったり、冷淡であるためではありません

 そもそも春の家族は壊れかかっていました。彼女の母親、すなわち忠男の娘は自殺しており、父親(香川照之)は別の女性(戸田菜穂)と再婚しています。忠男の兄弟の中で長男の重男(大滝秀治)は、大きな家に住まいながらも妻(菅井きん)と身を寄せ合い、老いて息子に従うほかないような暮らしをしていました。

 また、末っ子の道男(柄本明)は不動産業に失敗し、再起を夢見てマンション暮らし。長女の茂子(淡島千景)だけが旅館経営になんとか成功していますが、春を後継者にしようとしたことからも分かるように、やはり家族としての幸せには縁がありません。

 このような人々の姿から、今日の雇用問題について私が何度も申してきたように、家族の助け合いがどれほど大切であるか明白です。また、やはり人は血脈の継承という保守主義の基本哲学にどれほど基づいて生きているか、或いはそれが満たされないと人はいかに不安・不幸になるかも分かります。本作がいわゆる右派・保守派的作風とはまったくかけ離れているだけに、人が保守主義と無縁ではありえないことが一層はっきりするのです。

 現下の日本は、完全にデフレスパイラル(消費低迷で物価が下がり、私たちの給与が上がらない・下がったことによる、さらなる消費低迷の悪循環)に陥っており、株価がどうの景況指数がどうのといっても、いわば末端の私たちが景気回復を実感するにまるで至っていません。少なくとも私は、はたらく毎日からそれを思い知らされています。

 にもかかわらず、財務官僚の言いなり、つまり官僚機構と米国に従い続けた自民党と一緒になって、民主党の菅直人首相は消費税増税・法人税減税をうたいはじめました。それを「財政再建と経済成長の両立」であると菅首相は胸を張りますが、いかがでしょう。

 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010062500798

 ▲時事通信:菅首相、存在感発揮に意欲=外交デビューも足元に不安?サミット

 デフレだけでなくデフレスパイラルで増税する莫迦のヨタ話でしかないものを「(日本の方針を)他の国が参考にしてほしい」とは、菅首相は各国首脳たちの失笑をかうに違いありません。

 たちあがれ日本も消費税増税に賛成の政党であると分類するメディア報道がありますが、平沼赳夫代表の発言を正しく報じると「まずは景気対策」としており、デフレスパイラル脱却ののち将来の増税(現行5%から8%へ)を否定しないという立場です。目下、たちあがれ日本へのイヤガラセかと思うほど、不正確な報じ方ではありませんか。

 このまま無策、または余計な政策のみ実現のうちに増税して、仮にも財政が再建できるほど税収が増えると思っている民主党と自民党は救いようがありません。自民党の分派(セクト)が民主党です。

 『春との旅』の結末、その忠男の姿に、孫の暮らしがよくなるよう祈った結果でさえあると感じた私は、日本が今日の経済問題を抱えた諸悪の根源を見ました。それは「反保守」の毒がまわったために、自前の憲法を忘れ、ご皇室をないがしろにして平然とし、家族よりも個人としての尊重をうたった、戦後民主主義ではなく「戦後かくれ共産主義」なのです。

「日本よ、立ち上がれ!」決起集会

と き 平成22年7月3日・土曜日

    午後13時30分より16時まで

ところ 神戸市「生田文化会館」1階第2会議室

    JR・阪神「元町」駅下車 西改札口より徒歩10分 地図

講 演 遠藤健太郎(真・保守市民の会代表)

    ほか 旧平沼グループ・たちあがれ日本 関係者 登壇予定

参加費 無料

主 催 真・保守市民の会

詳細は公式サイトをご覧下さい。

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第三国人の蛮行に喝!!

皇紀2670年(平成22年)6月25日

 蹴球FIFA世界杯大会第14日の24日、1次リーグE組の日本代表は丁抹(デンマーク)代表に3?1で勝利しました。国外開催では記念すべき初の決勝進出という快挙を成し遂げたのです。本当におめでとうございます。

 さて、皆様は昭和48年製作・公開の日本映画『山口組三代目』、49年の『三代目襲名』をご存じでしょうか。残念ながらDVD化されていませんが、以前にご紹介した『アナザーウェイ?D機関情報』の山下耕作監督、2作目は小沢茂弘監督で、高倉健主演の、いわゆる実録ヤクザ映画です。

 よって、健さんは山口組三代目の田岡一雄組長を実名で演じており、大東亜戦争直後の神戸を舞台に、特に2作目では第三国人(朝鮮人)による強姦・略奪・暴行に対して怒りの自警団を編成したことが描かれています。

 田岡組長は自伝に、昭和20年8月15日以降、朝鮮人が「おれたちは戦勝国民だ。敗戦国の日本人が何を言うか」などと一種錯乱したようなことを言っていたと書き遺していますが、ほかにも中沢啓治氏の被爆体験に基づく漫画『はだしのゲン』にも似たような描写がありました。

 http://www.youtube.com/watch?v=gxaxPmBpaIE

 ▲YOUTUBE:日本人必見 ?【実話】戦後の朝鮮人との戦い1/4(計4本)

 ついに参議院議員選挙戦の火ぶたが斬って落とされた24日午前11時すぎ、東京都内の新宿駅西口の小田急百貨店前で、たちあがれ日本の街頭演説が始まったところ、100メートルも離れていない京王百貨店前に民主党比例代表の白真勲(はくしんくん)候補の街宣車が止まり、いきなり街頭演説をはじめたのです。

 彼らは「公道でやるのだから自由だ」などと強弁しましたが、当日ここでは日本共産党、たちあがれ日本、創価学会=公明党の順で街頭演説をすることになっていました。たちあがれ日本の応援団長でもある東京都の石原慎太郎知事は「日本人ならルールを守れ!!」と激怒し、与謝野馨共同代表は「政治生活でこんな選挙妨害をされたのは初めてだ。これこそ民主党の姿だ」と述べています。

 http://sankei.jp.msn.com/politics/election/100624/elc1006241438032-n1.htm

 ▲産經新聞:【参院選公示】石原都知事が激怒、演説中の「白真勲コール」に「日本人ならルールを守れ!!」

 白議員は、在日韓国人時代を経て日本国籍を取得しています。ゆえに石原都知事は「日本人ならルールを守れ!!」と怒ったわけで、しかしながらやはり出自がかつて「第三国人」と呼称された民族であるために蛮行も辞さぬのか、と問えば必ず「差別発言だ」と叩かれてしまうでしょう。

 それでも、白議員たちのやったことを皆様はどう思われますか? 私もこれほどのルール違反を見たことも聞いたこともありません。選挙街宣車がすれ違えば、互いの健闘を称え合うのが礼儀であり、選挙を手伝ったことのある方ならどなたでもご経験がおありでしょう。他候補の街頭演説に横槍を入れるなど言語道断です。

 私は、このような民主党が吐く甘い美辞麗句に耳を傾ける気はありません!

「日本よ、立ち上がれ!」決起集会

と き 平成22年7月3日・土曜日

    午後13時30分より16時まで

ところ 神戸市「生田文化会館」1階第2会議室

    JR・阪神「元町」駅下車 西改札口より徒歩10分 地図

講 演 遠藤健太郎(真・保守市民の会代表)

    ほか 旧平沼グループ・たちあがれ日本 関係者 登壇予定

参加費 無料

主 催 真・保守市民の会

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人権委員会って何だろう?

皇紀2670年(平成22年)6月24日

 平成16年製作・公開の日本映画『笑の大学』(星護監督)は、三谷幸喜脚本による元はラジオドラマでした。舞台化もされましたが、本作は大東亜戦争へと突き進む昭和15年に、笑いを知らず「このご時世に低俗な喜劇など不謹慎」と主張する警視庁保安課検閲係(役所広司)と喜劇作家(稲垣吾郎)による劇用台本の検閲をめぐる攻防が描かれています。

 非常に印象的だったのは、次第に笑いの世界へと引き込まれていく検閲係が、作家の手元にも赤紙(戦地への召集令状)が届いたことを知り、彼の才能を心から認めた上で「生きて帰ってきて欲しい」と言ってしまう場面です。私はここで思わず(単純なのでしょうか?)涙ぐんでしまいました。

 このような検閲は、決して大日本帝國憲法によって行なわれたのではありません。むしろ、大日本帝國憲法第26条には「日本臣民は法律に定めたる場合を除く外信書の祕密を侵さるることなし」と、通信の自由や秘密がきちんと保障されていました。

 ところが、内務省(当時)は次々と検閲を可能にする法律を作っていったのです。そのうちの1つが治安維持法でした。

 国民の自由をうたったとされてきた日本国憲法の第21条にも「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」とありますが、これを制定した占領統治期のGHQこそが検閲をやりまくり、少しでも反米・反占領統治的な記述はただちに処分されています。民間検閲支隊なる6000人規模の機関が存在していたことも、特に文学評論家の江藤淳氏(『閉された言語空間?占領軍の検閲と戦後日本』文藝春秋刊)の研究資料によって明らかになっているのです。

 これでも占領憲法を放置しておく「護憲」、或いはこのような占領憲法の系譜によってしか日本を統治できないとだけ証明するような「改憲」が必要か、と疑問を呈さざるをえません。日本国憲法は、そもそも検閲の嵐の下で施行されたものであり、以下のようなことが起きるのを止めることもできないのです。

 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010062200360

 ▲時事通信:人権委員会、内閣府に設置=報道機関の取材規制せず?法相方針

 その運用の危険性が指摘されることから、決して国会で可決されない人権擁護法案について、故・中川昭一元財務・金融担当相は「人権擁護法案に反対している自分に対して『3日か1週間で政治生命を終わらせられる』と言っている人がいる」と語り、前述の治安維持法に喩えたことがよく知られています。

 旧日本社会党系の千葉景子法相の頭の中には、例えば北朝鮮に対する政治的批判を加えただけで「君、それ差別だよ」と私たちを弾圧し、沈黙させるの図がすでに浮かんでいるかもしれません。現下の法務省は、まさにかつての内務省です。

 そのくせ、仮にも中韓朝3国による「反日」運動で「日本人は殺されて当然」などと吐かれても(過去に何度も吐かれているが)、決して人権委員会の議事対象にもされないでしょう。また、利権団体である部落解放同盟の利権を守る悪の装置であるとの指摘もあります。

 これを止めるには、検閲の嵐の下で制定された占領憲法ではなく、大日本帝國憲法の精神に基づき、それが自前の憲法であるがゆえに戦前の間違いを決して繰り返さないという臣民一丸の明確な決意がなくてはなりません。極めて個人的な検閲係→人権委員の感覚で、あなたの表現行為が犯罪であると認定されてしまう恐怖を、民主党政権は私たちに与えようとしています。鳩山失脚内閣の残党・千葉法相を許してはならないのです。

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民主党の「脱官僚」はウソ

皇紀2670年(平成22年)6月23日

 全体主義による官僚主導型社会システムが人間を疎外するというテーマは、これまでも文学や映画に於いて数多く描かれてきましたが、昭和60年製作・61年日本公開の英国映画『未来世紀プラジル』は実に秀逸です。英コメディ集団「モンティ・パイソン」でアニメーションを担当していたテリー・ギリアム監督が、前作『バンデットQ』以上に強烈な視覚イメージを炸裂させています。

 建物を張り巡らせるダクト(管)のメーカーCFが流れるテレビモニターを大写しにし、それらが爆発するという場面から始まる本作は、情報省職員の叩き殺したハエの死骸が混入するせいでテロ容疑者の名をタイプミスしたことに起因する不当逮捕をきっかけに、或る男(『エビータ』『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジョナサン・プライス)の人生と夢(妄想)が動き出すさまを描いています。

 パイソンズのマイケル・ペイリンが出演しているほか、映画版スーパーマリオを演じた経歴を持つボブ・ホスキンスや『ロード・オブ・ザ・リング』のイアン・ホルム、そしてロバート・デ・ニーロが驚くべき役で出演しており、いわゆる大作映画とは違う趣ながら豪華キャストです。

 本作(の監督オリジナル版=米ユニヴァーサルスタジオによる不当な編集版ではない方)は、はっきり申し上げてその終わり方にまったくの救いがありません。どうも私は『ダンサー・イン・ザ・ダーク』や『マッチ工場の少女』など、この手の終わり方をする欧州映画に好きな作品が多いのですが、単なる偶然です。

 ギリアム監督が本作の由来と認めたジョージ・オーウェルの小説『1984年』では、平和省が戦争を継続させており、豊富省が食料自給を抑えて配給を統制し、真理省はプロパガンダを、愛情省は尋問と拷問を担当しています。こうした官僚機構による統制国家は、決して旧ソ連や現在の中共、北朝鮮のみならず、日本や米国にも部分的にそうと言える性質が見られると皆様は思われませんか?

 民主党は、昨夏の衆議院議員総選挙で「脱官僚依存」「脱官僚主導」を掲げて政権を奪取しました。公務員改革を約束し、行政のムダを徹底的に削除して社会福祉財源に充てると胸を張ったのが彼らでした。

 しかし、いざ政権交代が実現すると、民主党は公務員系労組を支持母体とする政党の間違いを露呈させます。事業仕分けは見せかけの政治主導に始まって財務官僚主導に終わり、官僚機構の集金・蓄財システムにほぼメスを入れないまま自民党とともに消費税率の引き上げを口にしてしまいました。

 その挙げ句、22日に菅内閣が閣議決定した「国家公務員退職管理基本方針」は、独立行政法人などに公務員が出向する「現役の天下り」を容認するものだったのです。

 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100622ddm001010002000c.html

 ▲毎日新聞:国家公務員 再就職指針、現役の天下り容認 改革に逆行 近く閣議決定

 私は、すべての「天下り」を「悪」とは申しません。懸命に公に尽くした者が定年退職時に退職金を受け取るのも当然だと思います。ところが、これらを全否定しているのが民主党であり、そのくせ「天下り」だけは、むしろその枠を拡大させました。

 このような方針を決定しておいて、デフレスパイラル(消費低迷で物価が下がり、私たちの給与が上がらない・下がったことによる、さらなる消費低迷の悪循環)にもかかわらず増税するという理由を菅直人首相は明解に説明してみなさい、と指弾せざるをえません。その指弾は闘いの夢(妄想)ではなく、官と民・中央と地方を対立させ続けて日本を分国化するような政治との現実の闘いなのです。

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