日本に「災害対策」がない

皇紀2671年(平成23年)3月30日

 http://takedanet.com/2011/03/32_f654.html
 ▲武田邦彦(中部大学):原発 緊急情報(32) プルトニウムの毒性

 中部大学の武田邦彦教授による「科学的事実には推進派も反対派もありません」「科学ではなく思想の問題に置き換えてしまう」という問題提起には、私も全く同感です。

 わが民族は、人間の行動分析に基づく手引書や方法論(マニュアル)を作るのが非常に下手で、最悪の事態を想定しろと言っても、あるところで突然「それは想定しておりません」と思考停止状態に陥ることがよくあります。特に官僚の作る手引きはほとんど使えません。

 とはいえ、災害大国であるわが国の政府に、そもそも災害対策手引きがなかったというではありませんか。

 関東大震災時のような首相不在や、阪神淡路大震災時の村山富市首相、今回の菅直人首相と、言葉は悪いですが「どんな莫迦が首相でも、たとえ首相が死去していても」国民の身体・安全・生命・財産を守ろうとしなければ、政府など存在に意味がないのです。

 そのために叩き台が必要なのであって、いざ発生してしまってから慌てふためいているのが現下の状況ということになります。一体私たちは今まで何をしてきたのでしょうか。私自身も、この指摘を聞いて大いに反省しました。

 ・大津波警報が発令された時点で「すぐに高台に逃げて下さい」と官民を挙げて警告する。
 ・政府は自国船籍の客船を大至急チャーターし、津波がおさまったのを確認して、生存している国民を自衛隊のタグボートなどを駆使しながら客船に避難させる。
 ・原子力発電所が事故を起こし、最悪の事態が想定される場合、ただちに周辺100キロ圏内の国民を圏外に退避させる。
 ・これらは有無を言わさずやること。退避を拒否する人には、以後救助困難であることを説明すること。
 ・事故を起こした原発の炉心を制御出来ない場合、破壊して炉心を海に捨てるか、コンクリートで固めてしまう。

 これらが、私が尋ねた或る学者の「あるべきだった」とした災害対策手引きの骨子だそうです。私の親しい独国人が「なぜ日本人は被災地の体育館のようなところに今でも避難しているのか。仏国人なら保養地にでも避難しているだろう」と指摘しましたが、菅内閣の対応は、避難民を「モンスター被災者」に仕立て上げてしまうでしょう。

 彼らは今でも十分な情報がなく、物資もなく、将来の見通しも立たず、早くも「助けて」ではなく「助けろ」という感覚にすり替わりつつあります。これはどうしても仕方のないことなのです。

 政府が打つべき手を先に大きく打って、そして「ここは安全でした」「もう安全になりました」と言われなければ、国民はどんどん疑心暗鬼になっています。情報と行動の小出しは、政府の対応として最低・最悪と言わざるをえません。

 被災された方々には、いつか故郷に帰れると信じて、今はどんなに遠くにでも集団退避してほしいのです。

<一例>
 http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/011400/kikikanri/touhokuzisin/
 ▲和歌山県:東北地方太平洋沖地震被災地支援対策本部 被災者への住宅提供

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『日本に「災害対策」がない』に4件のコメント

  1. 心神:

    『災害対策マニュアル』が無い?
    何なんですかね‥本当ですか?
    思考停止ではなく、要するにこの国は国家安全保障というものを、考えてはいけないのでしょ?
    何故そうなってるのか、我々国民が目を醒まさないと、この国は亡くなってしまいますね!

  2. 普通の日本人:

    日本人の本質的欠点は思考停止してしまう事。ヒステリー状態に陥る事です。大東亜戦争の敗戦を再び見る思いがいたします。

    菅内閣は害以外の何者でも無い!菅直人は権力欲だけで総理にしがみつくだけの最も愚かな存在です。

    どうせ廃棄するんだからコンクリ処理した方がいい!(厚いコンクリなら中性子も遮断するから)

    日本国憲法を遵守する限り、日本人は滅ぶのみ。自民党が一番悪い改憲政党!民主党以下は勿論論外だけど。

    あと自主憲法は帝国憲法がちゃんと有りますから
    いちいち作る事は無いですよ!

  3. ひなげし:

    >・事故を起こした原発の炉心を制御出来ない場合、破壊して炉心を海に捨てるか、すぐにでもコンクリートで固めてしまう

    冷えていない原子炉をコンクリートで固めるのは物理的に無理だし、爆発の危険もあります。

    なぜ原子炉をコンクリート詰めにしないのですか?
    http://okwave.jp/qa/q6611043.html

    チェルノブイリでは実験中に出力が急激に下がり、あわてて制御棒を引き抜いたために、制御できなくなり核暴走が起きて6秒後に爆発したそうです。
    チェルノブイリではコンクリートで固めても核分裂は今も続いているそうです。

    ですから、これを主張している人は本当の専門家ではないのだと思います。

  4. 遠藤 健太郎:

     軽水炉用の燃料棒がむきだしになって、いわゆる「発熱」の状態にある現下の場合、ひなげし様ご指摘のことは、真保研内でも専門家の意見としてすでに出ています。確かにおっしゃる通りのようです。

     現下の状態は、冷却のための電力供給に失敗した結果であり、根本的な問題と言えます。よろしければ、また何かお知恵をお貸し下さいませ。