働き方改革の目指すところ
http://www.sankei.com/affairs/news/161228/afr161228……
▲産經新聞:電通を28日にも書類送検 長時間労働、上層部関与も捜査 東京労働局
省庁や企業の多くが毎年二十八日で仕事納めとなるわけですが、今日も明日もまだ仕事をしなければならない方が多いと思います。省庁にもいますし、かく言う私も職務命令を受ける一人です。
広告代理店最大手の電通が起こした労働基準法違反事件の発覚は、先月三日記事で申したように別の筋が関係していると思いますが、歌手の浜崎あゆみさんらが所属するエイベックス・グループ・ホールディングスも、三田労働局労働基準監督署から違法な長時間労働の是正勧告を受けました。
この勧告に対する松浦勝人社長の「自分が好きで働いていても法律で決められた時間しか働けなくなる」という趣旨の反論が、大いに物議をかもしています。
私は十月十日記事で、ノーベル賞受賞者の功績について「たとえ『勤務終了です。帰ってください』と告げても帰らないほど研究に没頭したからこそ、その成果が評価されるに至ったに違いありません」と述べました。
一見するとこれは、松浦社長の言い分と同じように見えますが、私がここで安倍政権の働き方改革を「怪しげなもの」としながら研究者をこのように讃えたのは、あくまで職務命令とは違うものだったからです。
よって企業では、同じようにいきません。松浦社長は、芸術家の取り組みとエイベックス社員の労働を混同しており、それをあくまで同一視して社員を働かせるような経営者であれば、今後さらに厳しい監督が待ち受けているでしょう。
夫婦で営むお店などで、例えば「たくさんお客さんに来られても困る」というところがあります。大抵そのようなお店には名物があり、メディア取材を断わりたがるものですが、先月二十日記事で申した、身の丈に合わない営業形態を続けて外国人労働者を安く輸入しようとする目下わが国の病は、クリスマスイヴに注文が集中して従業員の労働が破綻してしまったドミノ・ピザにも表れているのです。
予約通りに商品を提供してもらえなかった複数の客が店頭で怒鳴り散らしたらしいことにも一家言ありますが、それはさておき、従業員の数に対してこなせる範囲を超えた予約注文を断われるシステムすら用意していなかった企業に問題があります。
そうして経営者と社員・従業員の間に相互の不信感が生まれ、生産性が減退するのです。
わが国は、労働時間に対する生産性が先進国中最も低いと指摘されることがあり、安倍政権の働き方改革は、ここにメスを入れようということなのでしょうが、正社員と非正規の待遇差をなくそうとする取り組みがややもすると竹中平蔵氏がかつて吐き捨てた「正社員は既得権益」というとんでもない暴論を具現化しようとしているように見えてなりません。
私たちが求めているのは、あるべき差をなくされてしまうことではなく、むろん業種にもよりますが時間をこなすことより仕事をこなすことであり、与えられたり自ら生み出した仕事が片づけば時間に関係なく帰宅できる仕組みであったり、二十四時間営業をやめることであったり、業種に合わせて可能な「人のはたらき方(周囲の人たちを楽にするやり方)」を一度見直すことでしょう。
ピザ店に押しかけてきた客に泣きながら頭を下げ続けた従業員の姿を見て、そのようなところで働きたいとは誰も思いません。そうして安い労働力を外国から輸入することになります。はたらける日本人がまだたくさんいるというのに。そしていざ働いてみる外国人は、日本が嫌いになっていくのです。
皇紀2676年(平成28年)12月29日 9:24 AM
特に戦後の日本経済は人類史上でも例のないスピードで急速に成長してきたわけですが、それ以上に人としての、あるいは企業としての「成熟」は蔑にされてきたという印象を受けます。そもそも経済活動とは、顧客が便利で豊かな生活を享受できるように身を粉にして働くことで労働者自身も精神的または経済的な充足を得るもののはずですが、労働者をモノとしか考えられないような人間にとっては、いかに自分のところにカネを集めるかで勝敗を決める「本当に人が死んでしまう殺人ゲーム」のようなものなのでしょう。「働く」の語源が「はた(周囲)を楽にする」であることは広く知られていますが、社員を奴隷のように扱って恥辱を味わわせたり自殺にまで追い込んだりすることが自分たち経営者の首をも絞めてしまうという当たり前のことが理解できていない企業など、もはや無用の長物でしかありません。
ピザ店で従業員が泣きながら頭を下げたのは知りませんでしたが、そのうちファーストフード店やコンビニなどで、仮に外国人の店員が客に土下座でも強要される様子をネット上にアップロードなどされようものなら、さすがに我が国も「人種差別国家」の謗りは免れないでしょう。そんなことになる前に、「労働とは何のためにあるのか」「どのような働き方改革を断行すべきなのか」を真剣に考える時が来たようです。
皇紀2676年(平成28年)12月30日 11:06 AM
今日の産経新聞でコンビニでの過労死問題が取り上げられていましたが、私は今日のような西洋型の競争社会の弊害だと思ってます
かつては談合や終身雇用がありましたが、それでは企業が成長しないということで競争型に変わった結果我々の生活は豊かになったのでしょうか
私は顧客の傲慢と経営者の精神崩壊を招き、末端の人間を道具にするような、殺伐としたゆとりのない生活を生み出しただけではないでしょうか
そういう状況を繰り返してくるうちに思考停止に陥り、気がついた時には体を壊して取り返しのつかない事態を招いてしまった結果が電通社員の自殺でしょう
少子化問題の一番の原因もここにあることは間違いありません
この問題は経営者がもちろん一番悪いですが、我々消費者側の責任でもありますし、あまりセッカチにならず、どうしても必要でないなら、少しぐらい納期をまってもいいぐらいのゆとりを持つべきであり、経営者側も従業員のことを考えて仕事量を調節するぐらいしないと、電通のように取り返しのつかない事態を招くことになります
そういう意味で談合は合理的であったんですよね
利益優先型の経営者はどんどん交代させるべきです