「抗日」は必ず避けられる

皇紀2674年(平成26年)5月31日

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/140528/chn140528……
 ▲産經新聞:中国、負の歴史封印 「抗日」世界遺産登録で愛国心鼓舞狙う
 http://sankei.jp.msn.com/world/news/140530/amr140530……
 ▲産經新聞:「劉暁波通りに改名を」中国大使館前、米議員要請

 中共外交部の秦剛報道局長が、米連邦議会下院の超党派議員によって出された要請に対し、「劉暁波は司法機関により刑罰を下された人間だ」と述べた言葉を、そっくりそのまま、中韓連携演出のために(実は簡素な)安重根記念館を設置した中共にお返ししたいと思います。

 連合国(俗称=国際連合)教育科学文化機関(ユネスコ)が採択する「世界遺産」には、いくつもの厳格な登録基準があり、特定国間の政治的対立を煽るようなものは選考の対象になりません

 ポーランドのアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所跡と、わが国の広島県産業奨励館跡(原爆ドーム)が登録されたのは、それらに「反独」「反米」の政治利用がなかったからでした。これは欧州の委員の方に聞いたことです。

 そして、その方が初めて広島平和記念公園を訪れた時の感想を伺って、私は愕然としました。私たちが「主語がない」と問題視してきた原爆死没者慰霊碑の、あの「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」という言葉を読んで、震え上がったというのです。

 凄惨に失われた命を惜しむあまり、まるで原子爆弾を投下したのが米軍であることすらも、もうそれどころではないかのような、あの碑文の威力が、戦争以外の犯罪(市民の大虐殺)の存在はさておき、さらに申せばいわゆる「日教組教育」が生み出してきた歴史認識はともかく、世界遺産として原爆ドームを保存すべきだという結果に至らせました。

 確かに、私たちは原爆ドームを「反米」の砦になどしていません。そもそもわが国には「反米」「抗米」の国是などないのです。

 ところが、中共の国是は、すなわち共産党の党是である「抗日」にほかならず、習近平指導部が世界遺産登録を目指しているものは、すべて歴史的に確かな検証もされておらず、共産党が政治的に喧伝しているものでしかありません。そのようなものは、選考の対象外なのです。

 大躍進政策や文化大革命、天安門事件などを隠すのに必死で、劉暁波氏の名前など聞きたくもない中共共産党に、ユネスコからよい知らせが届くことはないでしょう。今ごろ、委員の買収工作に手を染めているのでしょうが。

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『「抗日」は必ず避けられる』に4件のコメント

  1. matu:

    >「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」という言葉を読んで、震え上がったというのです

    その方はどうして震え上がったのでしょうか。

  2. 遠藤 健太郎:

     ご質問を賜り、ありがとうございます。

     その次の段落に記した言葉の多くは、私のものではなく、この欧州委員によるものです。碑文を読んで涙したとも言っていました。

     あのような主語のないあいまいな文に接し、よもや欧州人が震え上がるとは、私は想像だにしませんでしたから、世界遺産の登録対象基準がよく分かりました。たとえ米国人委員から反対されても、原爆ドームを登録対象とすることで多く(全員と言っていたかも)の欧州人委員が一致していたそうです。

  3. :

    原爆ドームの世界遺産登録にそんなエピソードがあったとは知りませんでした。

    原爆投下は米国による無差別大量虐殺なので、日本から見れば例え戦時中のことであっても到底
    許せないのが本当です。
    しかし、碑文には一言も米国を非難する言葉が無いどころか、戦争になった原因を自らの内に探し
    二度と悲惨な戦争を起こさないという決意だけがあります。
    委員の方は、これほど酷い目に遭っても相手を責めないで、ただ亡くなった犠牲者の魂を悼むという
    日本人の超越した想いに、心を打たれたのではないでしょうか。

    しかし、そう思うと複雑ですね。
    もし、自虐史が定着していなかったら、あの碑文にはなんと刻まれていたのでしょうか。
    米国の蛮行を責める内容になっていたのでしょうか。
    個人的にはそうは思いませんが。
    何か問題が起きた時、相手のミスを責めるだけでなく、自分にも落ち度があったのではないかと
    自問するのが日本人の感性だと思うからです。

    米国が自虐史を押し付けて、現在もそれに便乗して日本の発言を許さない態度には腹が立ちますが
    それとは別に、原爆記念日や終戦記念日はこれからも、亡くなった先人を純粋に悼む日であることは
    変わらないと思います。

  4. ゆき:

    原爆は大量殺戮兵器であるため、その使用はもちろん国際法違反である。それにしてもなぜ二発目が落ちるまでに、日本は降伏しなかったのか。下々の人の命より、国体が重要であったから、動かなかったのではないか。昭和天皇が自分はどうなってもいいから、国民を助けてやってほしいとマッカッサーに言ったというのも、そういうことなのでは。戦勝国は正しかった、何一つ悪くないとしている国々がいる中で今でも何も言えない敗戦国。当時は主語を抜いて書くのが戦勝国の管理下における敗戦国民の精いっぱいの抗議であったと思う。