差し止め判決乱発の司法

皇紀2674年(平成26年)5月22日

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140521/biz140521……
 ▲産經新聞:大飯原発運転差し止め、再稼働の地元同意に影響か
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140521/trl140521144……
 ▲産經新聞:自衛隊機の夜間飛行差し止め 厚木基地の第4次騒音訴訟で初判断 横浜地裁

 関西電力大飯原子力発電所三、四号機(福井県おおい町)の運転差し止めを認めた二十一日の福井地裁判決(樋口英明裁判長)は、私が十七日記事「深刻な『美味しんぼ』問題」で述べた「政府の不作為がもたらした私たち国民の漠然たる不安」が基礎となり、判決に際して原子力の専門家に意見を求めたのかどうか怪しい点はあるものの、やむをえず下されたといえます。

 これを覆し、あくまで現行軽水炉型原発に依存し続けるというのなら、よほど政府主導で危機管理を再構築し、東京電力福島第一原発の事故対応について、適切な情報公開とともに迅速に進めなければならないでしょう。安倍政権の大きな課題の一つです。

 しかし同日、米海軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(神奈川県大和、綾瀬市)の第四次騒音訴訟の横浜地裁判決(佐村浩之裁判長)は、少しばかりの「安全保障の専門家に意見を求めたのか」という疑問では済まないほど、司法による行政権の侵害以外の何ものでもありません。

 米軍機はお咎めなしで、海自機の飛行だけを差し止めるという茶番は、従前の司法判断(政府の支配が及ばない第三者の行為という認識)の枠を超えておらず、その第三者(この場合は米軍ではない)がわが国の領空・領海内を侵犯する行為に対し、国民に被害が及ばないよう情報を収集して対応しなければならないとするのが内閣の有する行政権なのです。

 海自の対潜哨戒機「P3C」や「P1」は、厚木基地が拠点であり、彼らは今まさに中共公船による侵犯がないかどうか、絶えず哨戒しています。侵犯が「ほどよい時間帯」に限られるわけなどありません。

 佐村裁判長は、差し止めの条件に「特に防衛相が必要とする場合を除き」と添えていますが、一般論としての騒音に的を絞って人格権だけを争点にしたのは、あまりにも国民全体の生命の軽視、ひいてはそれが多くの国民の人格権を侵害するという視点を欠いています。

 哨戒機などの飛行音を、個人に対する何かの嫌がらせを目的とした騒音と同列に裁こうとする司法の未整備は、実のところ占領憲法(日本国憲法)有効論という立法による最悪の不作為が原因です。私たちはもうこれ以上、憲法論議での沈黙を許されないのです。

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