深刻な「美味しんぼ」問題

皇紀2674年(平成26年)5月17日

 http://www.asahi.com/articles/ASG5H4V2KG5HUGTB00C.html
 ▲朝日新聞:美味しんぼ抗議は「表現の自由侵害」 福島の市民団体

 かつて漫画『はだしのゲン』閉架措置問題でも申しましたが、表現・言論の自由を権力が侵害することは、決してあってはなりません。例えば、内容が「左翼的」であろうが「右翼的」であろうが、それを理由に、政府や地方自治体の一体誰が何の権限でそう評価したかも不明瞭なまま、発表などの制限や禁止の判断に介入してはならないのです。

 漫画『美味しんぼ』の東京電力福島第一原子力発電所事故をめぐる描写について、目下論争が巻き起こっています。福島県の佐藤雄平知事は、その描写に対して抗議する決断をしました。

 これは県内での発行禁止や閲覧禁止といった強制措置とは違いますから、たとえ知事であっても、私たちにあるのと同じように「この内容は事実に反しています」と表現する自由があります

 それに対して、ふくしま集団疎開裁判の会など四つの団体が、いわば「黙れ!」と言っているわけで、これはむしろ表現・言論の自由をないがしろにする姿勢です。抗議に対して抗議するのも自由ですが、そもそも抗議の理由と抗議すること自体が矛盾しています。

 さて、問題となった『美味しんぼ』の表現について、私たちはどう考えればよいのでしょうか。

 私は、独立総合研究所の青山繁晴氏(内閣府原子力委員会の原子力防護専門部会専門委員)の主張に同意するもので、事故発生時の菅直人内閣から現在の安倍晋三内閣に至るまで、政府の許されざる不作為が私たちの間に拭いきれない不安をかきたてていることこそ、現状の福島県下で「放射能のせいで鼻血が出る」といった医学的にありえない表現を生み出したと考えます。

 双葉町の井戸川克隆前町長は、今や「反原発」活動家であり、私も「現行軽水炉型原子炉の脱原発」という立場をとっていますから、別にそのことは構いませんが、さまざまな理由で出る鼻血を「放射能のせい」と流布して回るのは、一種の異常行動と見られかねません。

 しかし、菅内閣が原発事故レヴェルを最も深刻なものと自ら喧伝し、安倍内閣は実態に合わせてその訂正もせず、原発から漏れたとされる「汚染水」がどの程度の汚染なのかもはっきりさせないようでは、悪い想像ばかりをかきたてるのです。

 除染の目標基準についても、国際原子力機関(IAEA)から「(自然被曝値以下の)年間一ミリシーベルトというのは厳しすぎる」との声まで上がっていることを、政府も報道各社も私たちに正しく伝えていません。これは、除染が永遠に終わらない、被災地が復興しないことを意味し、永遠に続く除染関連事業の利権化が始まっていることを隠蔽しているのです。

 私たちの政府は、一貫して原発事故に対処できていません。ならばなぜ原発を持ち、維持しようとするのか、という疑問は必ず出ます。安倍内閣が原発依存を継続するのなら、まず目の前の事故処理を政府主導に切り替えて収束させるべきです。

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