いらない「おもてなし」

皇紀2674年(平成26年)5月10日

 http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014050690085451.html
 ▲中日新聞:多言語表示乗り遅れ? JR東海、英語のみ

 かつて私は、タイのバンコク都内で、高架鉄道(BTS)乗車中に隣席の韓国人観光客から「このホテルに帰るにはどこで降りたらよいか」と英語で尋ねられ、地下鉄への乗り換えなど、細かく案内して差し上げたことがありますが、東南亜各国の公共交通機関では、現地標準語と英語の併記のみがほとんどです。

 また、欧米各国はもっとはっきりしており、よほど世界的に有名な観光地以外は、現地標準語のみの案内板しかありません。

 観光庁のある国土交通省も、中日新聞社のこの記事も、いわゆる「おもてなし」を勘違いしています。外国人観光客がわが国に降り立ち、まず空港で困るのが、英語表記の文字が小さいことです。

 JR東海が主張しているように、複数の外国語を使うと表示の文字はさらに小さくなり、かえって不案内になりかねません。それに、例えば案内所(インフォメーション)には、多くの国で採用している「i」のマークが使われていますし、国際標準化機構(ISO)規格のピクトグラムを使って表示し、たいていの駅などで外国人にもわかりやすい案内板の作成が心掛けられています。

 中日新聞社は、一体どこの国の新聞社なのでしょうか。どの視点に立って書いているかで、それがよく分かるのですが、ことのほか中韓の北京語と韓国語を併記に加えていなければ「乗り遅れ」と書きなぐっていることから、最近来日者数が倍増しているタイやマレーシア、インドネシアなどのことはどうでもよいのでしょう。

 そもそも多言語を限りなく併記することは不可能であり、観光客が迷うのは決して悪いことばかりではありません。ザ・リッツ・カールトン大阪が開業したとき、ロビー周辺を迷路のように設計したのは、案内する作業を従業員に課し、案内される心地よさを客に提供するためだったそうです。

 最初に私の経験を申した通り、私たち一人一人が「迷える観光客」に親切に接することこそ、わが国のごく当たり前の「おもてなし」ではないでしょうか。

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『いらない「おもてなし」』に1件のコメント

  1. :

    おっしゃる通りです。
    『選りによって、なぜ反日国家の中国語と韓国語!?』という感情的な問題は措いても、やはり日本語と
    英語のみで十分だと思います。
    JR東海の主張は筋が通っていて好感が持てます。

    また、色々な国からの観光客を呼びこみたいと思うなら、特定の国だけ厚遇するようなことはするべき
    ではないと思います。