財政再建より経済成長を

皇紀2673年(平成25年)7月23日

 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE96J01520130720……
 ▲ロイター:G20は財政健全化よりも成長を優先、「緩和解除は慎重に調整」

 第二十三回参議院議員選挙の投開票が終わり、結果は自由民主党と日本共産党が勝ちました。この書き方には獲得議席数などから違和感を覚える方もおられるでしょうが、簡単に申せば、自民党は与党として全ての野党に勝ち、共産党は野党として残り全ての野党に勝ったのです。

 安倍晋三首相はこれからの政権運営と国会対策に於いて、ますます大変なことになりました。公明党(創価学会)と組み続ける限り、少なくとも憲法の議論は何も進みません。しかも、既に役割を終えた旧日本社会党系の民主党と社会民主党とではなく、共産党と対決しなければならないほうへ向かっているのです。

 今後の選挙でもこの傾向は続くでしょう。自民党は他に組む相手を見つけられないまま、おもいっきり共産党と向き合っていくことになります

 ならば共産党は一層「保守」との対立を鮮明にすべきですし、自民党は生き残りをかけて「保守」の何たるかを真剣に考え、政策に磨きをかけねばなりませんいわゆる「売国議員」など一人も抱えているゆとりはないのです。

 しかし、私たち国民の投票にかけた意図、すなわち得体は知れないが「民意」と呼ばれるものは、あくまで経済政策が第一でした。実は最も重要な占領憲法(日本国憲法)問題や、原子力を含む資源エネルギー問題、或いは環太平洋経済連携協定(TPP)問題は、第四か第五の関心事でしかありません。

 選挙期間の後半、麻生太郎副首相兼財務相は露国の首都モスクワを訪れ、二十カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席しましたが、ロイターは当面「財政健全化よりも経済成長を優先する姿勢」が示されたと報じています。

 これはわが国に置き換えれば、今すぐ消費税増税をすべきではないという姿勢です。麻生財務相は増税の判断を躊躇しないとしてきましたが、わが国に増税圧力をかけてきた国際機関に対して、このような場で「もう少し放っておいて欲しい。税制改正は日本の問題。経済成長を失速させてもよいのか」と言ったのでしょうか。

 徴税の公平と公平な再分配は、全ての国家にとって悩ましい問題です。はっきり申し上げて正解がありません。全ての国民に公平な税負担をお願いするなら、やはり消費税増税しかなく、いや、富裕層から多く徴収すればよいのだとしても、例えば現状で年収六百万円の国民の手元には二百八十万円程度しか残らないのです。

 低所得者には「二百万円も手元に残るならいいじゃないか」との声もありますが、懸命にはたらいた高所得者はこれ以上の累進課税に耐えられません。株式売却益(キャピタル・ゲイン)課税の税率の引き上げも来年から始まりますが、これは賭博益のようなものだからよいにしても、そもそも年金の制度設計が私たち国民の平均寿命を六十五歳から七十歳としていたため破綻しかかっており、全ての国民が所得に関わらず受けられる行政サービスは同一、同質である以上、間接税の税率を上げるしかないように思えます。

 法人税にしても、海外に進出する企業の安全保障がなく、知的財産権などの保護や申請の手助けも一切してくれない占領憲法国家に、本来ならば全ての企業は一円たりとも収めたくないでしょう。

 自民党は既にこのような問題に直面しており、共産党は必ず攻めてきます。だからこそ、本日は敢えて容易に結論が出せない問題を列挙しました。何度でも申しますが、国会議員は「法と予算」が職務内容の全てです。

 これがまるで分かっていない人物に議員バッヂを与えても何の役にも立ちません。ですから岡崎トミ子氏のような政治家が落選したのは大変結構ですが、少なくとも共産党は「法と予算」の問題で真剣に刃向かってきます。先述の通り俗に言う「正解」などないのですから、安倍政権はどこまで私たちに説明をして政策を実行するかにかかっているのです。

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