ウクライナは明日の日本か

皇紀2682年(令和4年)2月25日

 ついに露国のウラジーミル・プーチン大統領は、これまで否定してきたウクライナへの侵略戦争に手を染めました。北大西洋条約機構(NATO)対応でフラつき続けた米民主党のジョー・バイデン大統領の思う壺にはまったのか、それとも彼はこれまでの彼の望みを果たしうるのか、まさに見ものです。

 その彼の望みとは、昨日記事冒頭で注意深く「吸収」という言葉を用いたように、ウクライナを「併合」ではなくベラルーシのように傀儡化することでしょう。その足掛かりとして、東部に二つのいわゆる「共和国」の独立を承認しました。

 その意味では、プーチン大統領の歩みは一貫しています。むしろ液化天然瓦斯(LNG)利権をチラチラ睨みながらのせいなのか、まるで一貫していないのは米国のほうです。

 アフガニスタンからの米軍撤退で失点したバイデン大統領は、同じ「腰抜け」ぶりを披露したかと思えば、単なる露国軍例年の軍事演習を「侵攻だ」とさんざん煽るに転じました。

 プーチン大統領にとっては、彼の望みを果たすのに好都合だったかもしれません。最初からその気があったかなかったかはともかく、現状はその一撃を米国が露国にまんまと出させたのです。

 しかも腹立たしいことに、平成六年十二月のブタペスト覚書で、ウクライナが当時世界第三位の規模で保有していた核兵器の全面放棄と引き換えに露英米らがウクライナの国家主権と安全を保障したことを、侵略の一歩を踏み出した露国はもちろんのこと、米国も反故にしています。

 バイデン大統領は、在留米国民退避のためにすらウクライナに米軍を出さないと断言しました。これがその「約束破り」です。

 ということは、ウクライナはNATOに加盟できません。NATO第五条に、締約国への攻撃を全締約国への攻撃とみなして支援する旨の記載があり、ウクライナに対するこの米軍の方針は、第五条の拒否です。

 プーチン大統領の望みは、またも叶えられます。バイデン大統領は、侵攻を非難しウクライナを守りたいのか、ウクライナを見捨てて露国の思うようにやらせたいのか、まるで方針が定まっていません。

 核兵器を放棄して露英米の安全保障上庇護下にあったウクライナに対し、プーチン大統領は核兵器の使用をも示唆しました。こう申しますと、全く別の視点として、核を捨てて守ってもらっていたくせに露国に刃向かったウォロディミル・ゼレンスキー大統領ら現政権が悪いようにしか見えません。

 プーチン大統領は彼らを斬首し、新傀儡政権の誕生を模索、世界各国にそれを承認、或いは黙認させたいでしょう。停戦の落としどころはそこに違いありません。

 ならばそれでよいのでしょう。しかし、わが国はこれを到底見逃すことができないのです。

 核兵器を持たず、米政府の提示した条件(日米原子力協定)に従って原子力発電のみ許され、現行憲法(占領憲法)を未だ「憲法」と崇め奉り、米軍に基地を提供し続けてきたわが国は、ともすれば「明日のウクライナ」でしかないと思い知らされたからです。

 岸田文雄首相に、私が十六日記事で提案したようなことを実行に移すのは期待できません。それでも私たち国民が現状から学ぶことはあります。

 持たざる弱い国は攻められるということです。

 この現状認識を得なければ、ウクライナの犠牲は「犬死」にしかなりません。真に世界平和を希求する強い国を目指さなければ、ウクライナ国民の死を、そしていずれ私たち国民が味わう戦死の恐怖を止められないのです。

 占領憲法第九条というのは、周知の何の役にも立たないどころか、もはや害悪でしかありません。あれば安全だと思わせておいて人を戦死に追いやるのですから。

 冬季五輪北京大会(北京五輪)パラリンピックの開会式までに停戦できるか否か、米民主党の大統領ではあまりにもその希望は薄いと申さざるをえないのです。

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『ウクライナは明日の日本か』に1件のコメント

  1. ナポレオン・ソロ:

    220225-3
    ソロです。
    >>米国とウクライナの迷走が招いた結果
    私はプーチンが、自由諸国の経済制裁の激化を敢えて承知で、ウクライナ本格侵攻を決行する理由はないと読んでいたのですが、見事に外れましたね。然し、ロシアの内情の読み違いではなく、原因は遠藤さんの指摘通りで、米国のNATO軍の規約で米軍もNATO軍も動けない事をプーチンに見透かされた事が最大の原因ですね。

    是は、明らかに混乱した米国のバイデン大統領のミスであって、プーチンとしては、2州の独立は「制裁を科す」時点で、事実上認めているのですから、当初の目的は達成されているわけで、是以上事を荒立てる必要はないでしょう。

    然しNATO軍が自縄自縛で動けないのなら、このチャンスを見逃す手はありませんからね、この際、ウクライナを一気に占領してしまえと言う決断になったのでしょうね。

    間違い無く、米国ではNSCが此のミスを犯した責任問題が浮上するでしょうね、近々のバイデンの病気引退も有り得ますね、結果から言えば、ロシアにガス依存率が40%もあった事を最大限に上手く使われたわけで、こんな弱みを放置できませんから、シェールガスの増産が待ったなしになるし、ドイツの原発停止も中止か先送りでしょうね。