中吊り広告の不愉快な啓蒙

皇紀2679年(令和元年)6月11日

瀬取り:日本の批判に韓国が反論「韓国軍の作戦区域内では国際協力活動中」

 日本政府が、北朝鮮による海上での違法な物資積み替え(瀬取り)を取り締まるための多国籍活動に韓国は参加していない、と明らかにした。日本の外務省は5日(現地時間)、「対北朝鮮海上監視のための多国籍活動に韓国も参加しているか」という米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の質問に、「韓国は参加していない。韓国が監視活動のため航空機や艦船を派遣した記録はない」と答えた…

(朝鮮日報日本語版)

 韓国の文在寅(北朝鮮工作員)政権による韓国資産の北朝鮮への横流しは、その額面に於いていわゆる「瀬取り」どころではありません。しかし、文政権が韓国軍を出してまで北朝鮮の瀬取り行為を支えてきたことは、明らかに韓国国民を守るとする政府の責務を逸脱どころか放棄したようなものです。

 その実態がバレたのが、海上自衛隊哨戒機P-1に対する韓国海軍駆逐艦「広開土大王」の火器管制レーダー(射撃管制用レーダー)照射事件でした。わが国の排他的経済水域(EEZ)内で、政権が変わるたびに組織改編や廃止、復活される海洋警察庁(つまり文政権の便利使い)の警備艦とともに視認された駆逐艦は、北朝鮮の船を守る不法行為を海自に発見され、慌てて攻撃態勢をとったとされています。

 日米は少なくともこの情報を共有しており、外務省の認識も日米の結論を示しています。日米英仏加豪新の七か国による作戦海域に韓国がいないのは事実であり、わずかに黄海周辺で活動しているとする韓国軍の情報にも疑いを隠していません。

 五日記事で取り上げた岩屋毅防衛相の態度は、今なお多くの批判を浴びていますが、ここ(亜州安全保障会議)での日米韓の合意を演出してこそわが国政府がこう発表してみせるところに、これまでの政権とは全く手法の違う韓国大統領への強烈な揺さぶりが垣間見えるのです。

阪急電鉄「働き方啓蒙」中づり広告「月50万円」に「不愉快だ」など批判、掲示とりやめ

 阪急電鉄の中づり広告が批判を呼んでいる。働く人への啓蒙メッセージを掲載したものだが、「時代にそぐわない」「不愉快だ」といった声が多く寄せられ、阪急電鉄は10日で広告をとりやめることを決めた…

(侮日新聞日本語版)

 さて、ここで表題の件。特に阪急電鉄を非難するつもりはありませんが、はっきり申し上げて「もうこの手の道徳の押しつけが国家の破綻をすら招くようになり始めている」ことに未だ気づかない人たちの愚かな所業といったところでしょうか。

 これまた三日記事の関連で、二日の政策研究でも出た話なのですが、自民党の現行憲法(占領憲法)改正案がなぜ支持層の保守派にすら評判が悪いかと申せば、あまりにも余計な文言が多すぎるからです。改憲案に携わった某御大や議員らの道徳観や倫理観が散りばめられ、これが占領憲法の問題以前に指摘されることで議論の膠着を生んでいます。

 「低賃金でもやりがいのある仕事」などといっていられた時代は、もう三十年も前に終わりました。そうしますとこの中吊り広告のうち、今度は「五十万円」か「三十万円」かというところまで気に障るようになり、阪急と申せば阪神間モダニズムの流れを受けた富裕な邸宅街を通る神戸本線(特に夙川駅)で知られていますから、余計に人びとの癇に障ったのです。誰が月収三十万で低賃金やねん、三十万ももろたら高収入やないかい、阪急沿線の方がたはよろしおすなぁ、と。

 わざわざ道徳を説く人びとにこそ悪意がないのが最悪であり、阪急も「社内で懸念の声は全くなかった」というから呆れたものです。その程度の人たちの月収はおいくらですか、とさらに嫌味をいわれることになるでしょう。

 最低限度の人としてあるべきこと、あってはならぬことは、例えば刑法に書かれており、もっとも教育勅語に書かれています。大日本帝國憲法はこれが前提となっており、この前提を取り払われた占領憲法を直そうとする人たちは、よって占領憲法自体に何の価値もないため、自分たちで価値を与えようと躍起になるのです。

 ところが、それはその人たちの信じる価値であって、この広告と同様に不愉快な啓蒙にしかなりません。だから自民党の改憲草案は最悪の代物なのです。

 阪急が示したがった道徳観や倫理観の根底から多くの日本人が外されていった結果、今や「8050問題産經新聞社記事参照)」といわれる現象が近づき、極端な例としてかの事件が起きました。最も人数の多かった「団塊ジュニア世代」が丸ごとここに入り、究極的且つ致命的な少子化の原因にもなりました。団塊ジュニアは自分たちのジュニアを生まなかった、いや生めなかったのです。この世代を見捨てたことが、わが国の終焉の始まりでした。

 教育勅語も取り戻せない程度の道徳観や倫理観で、私たちの働き方を啓蒙するなといいたい。

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『中吊り広告の不愉快な啓蒙』に1件のコメント

  1. 心配性@我は蛮夷なり:

    最近、新たに商売を始める人々にエールを送る広告をよく見るのですが、目下自分の代で家業を閉めるか否か悩んでいる人だらけですから、そういうのを見ると、新たに商売を始める勇気も萎えるでしょう。

    「平成」は災害も続き、経済的に困難な状況も多くありましたが、「令和」になった途端、皇室絡みの陰険で殺伐とした報道が続いているのを見ると、「令和」もよい時代じゃないかも知れないと感じます。
    既に立派な両陛下がいらっしゃるのに、敢えてマスコミが、年下の方々を貶める理由も分かりません。

    ある方向へ世の中が動こうとするとき、政府やマスコミや学者が一斉に一方向を目指して盛り上がってしまい、そして後々問題が生じてどうしようもなくなることがよくありますね。
    天安門事件後の皇室利用や「中国進出煽動」もそうかも知れませんし、理系にせよ、文系にせよ、学問の世界では「捏造事件」みたいなものもあったと思います。