中国こそ「覇権主義」台頭
露中共に制裁を受けていますから、揃って文句をいいたいのは分かりますが、露国のウラジーミル・プーチン大統領と中共の習近平国家主席が結束を誇示した(一部報道)などとは勘違いもいいところです。この二か国ほど「同床異夢」が顕著な例もないと申せば過言でしょうか。
それでも習主席が米国のドナルド・トランプ大統領を「友人」と表現したのは、プーチン大統領と感覚を同じくしていると申すより米国防総省が対中非難を鮮明にし始めたことへの牽制の一種に違いありません。
国防総省が今月一日に発表したばかりの最新版「印太平洋戦略報告」は、自由と抑圧という対立軸で国家間の戦略的競争を捉え、明示しています。すなわち後者の「抑圧」は中共のことを指しているのです。
さらに台湾を「国」と表現したのも意図的でした。八日記事で申した台湾の惨状を覆すには、日米も腹をくくらねばなりません。太平洋防衛を共有する日米が台湾との関係を密にしなければ、台湾人が暮らしの安定を求めて共産党傘下の経済活動に甘んじるのを止めることなど(中共はお金をくれるが日米はくれないではないか、となって)できないのです。
また、六日に発表された別の戦略報告では、北極近接国家などととんでもないことをいい出した中共を「認めない」と断言しており、印太平洋地域での「抑圧」を北極圏でも繰り返そうとしている点を厳しく指摘しています。北極海航路の支配は、かねてより議論されてきたことであり、文字通り中共こそが「覇権主義」をひけらかしているのです。
沖縄県石垣市尖閣諸島の接続水域では、四月下旬から中共船籍の船が毎日航行し、そのうち四件は領海侵入だったことが明らかになっており、海上保安庁の緊張状態がもう二か月近く続いています。
このようなことは、読者諸氏ならよくご存じでしょう。私が七日記事で「日本人なら気づきましょうよ」と申したのは、気づいていれば現状のごとくに成り下がることはなかったという事例が(政治でも経済の分野でも)山のようにあり、決して「一般の国民を莫迦にしすぎている」などといわれる筋合いはありません。ここを読んでそう思う、そうののしりたくなる程度のちっぽけな感覚しか仮に私が待ち合わせていなかったとするなら、大きく国を語ることはしません。
五日記事の自衛隊員の覚悟についても、現職の隊員たちから恐らく聞いたわけでもないくせに「現場の感覚じゃないと思う」などとどの口でいっていますか? どれほど日韓関係が悪化してきてもその都度自衛隊は日米韓の安全保障連携を崩さずに堪えてきたのです。そのことを皆さんに知ってもらいたくて私が申したことを理解できない程度の頭しか実は私自身が持ち合わせていなかったなら、国防を語ることはないのです。
対日ヘイトスピーチ(日本人差別扇動)に執心する人種が嫌いなだけの、そのことに固執して思考が停止してしまうような議論をここで提示しても意味はない、と自身を戒めてきました。しかし、そうした記事が不愉快で、もっと中共人や韓国・朝鮮人の悪口雑言を吐けというなら、どうぞもう他所へ行かれてください。
私は、例えば三日記事以来断続的に取り上げている私たち日本人の暮らしの大問題をこそ議論し、実際によい方向を目指すことに最も重要な意義があると思っています。本当の「日本第一」とは、そういうことなのです。