ゲーツ元国防長官の爆弾

皇紀2674年(平成26年)1月13日

 http://jp.wsj.com/article/SB1000142405270230438740……
 ▲ザ・ウォール・ストリート・ジャーナル:「オバマ大統領は指揮官を信頼せず」―ゲーツ元国防長官が回顧録で批判

 米国のロバート・ゲーツ元国防長官は、十四日に発売される回顧録『任務:戦時下の国防長官の回顧録(仮訳)』の中で、バラク・オバマ大統領を鋭く批判しています。

 その内容は、数人の側近しか信用しないためにアフガニスタン紛争に於いて軍幹部と対立し、最初から(撤退ありきで)失敗すると目論んだ作戦で無用の死傷者を出したことや、その側近たちでさえ大統領にうんざりしていたこと、ジョー・バイデン副大統領もとんでもなく無能であることなどです。

 私は以前からオバマ大統領のことを「外交・安全保障で何もしない人」と評し続けてきましたが、これは私個人による評価と申すより、そのような評判が日米両政府の関係者や取材してきた数人の記者から聞こえてきたために他なりません。そう、わが政府関係者からもです。

 米政府は、約一年ごとに交代した三代のわが国の民主党政権に随分と振り回され、嫌気が差していたようですが、中東からの撤退という持論の達成に拘って現実的判断を拒否したオバマ大統領の姿は、殆ど鳩山由紀夫、菅直人両元首相がとった態度と変わりません

 安倍晋三首相は民主党を退治出来てもオバマ民主党政権ともう暫く対峙しなければならず、旧年十二月二十七日記事で「ジョー・バイデン副大統領の来日時によほど米国側の対中姿勢に不満を抱き……」と申したように、彼の無能ぶりにも直面しています。そもそもバイデン副大統領には論文などの盗作疑惑がつきまとってきたほど、ワシントンD.C.でも政治家として不評でした。

 旧年十二月四日付けで突然辞任したアシュトン・カーター前国防副長官も、同月九日記事で指摘した通り、オバマ大統領の無能ぶりに嫌気が差したから辞めたのです。

 もう一度申しますが、安倍首相はオバマ政権が頼りにならないことを見越して動いています。ならばなおさら「占領憲法(日本国憲法)は有効だと考えている」などと国会答弁してしまったことは間違いであり、主権を回復しても無効確認をしない立法の不作為が呪縛となって安倍首相自身を追い込んでいくでしょうが、わが国の置かれた状況に気づいて閣僚や官僚が動こうとすればするほど、酷い副反応(主作用)が政府と私たち国民を襲うのです。

 米中の「G2(新大国関係)」が米政府自身によって検討されてきたことと、スーザン・ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)がその推進を容認するかのような発言に及んだこと、またジョン・ケリー国務長官がただ中共側の話を聞くだけの人でしかないことなどもあって、オバマ大統領は、既に南支那海で米海軍巡洋艦が中共共産党人民解放軍海軍艦に航路を阻まれるに堕ちた現実を自ら招いている自覚すらないのかもしれません。

 継続した国家としての米国は、オバマ大統領によって確実に衰退させられており、太平洋防衛を共有するわが国は、もはや米軍がいなくなった後も想定しなければならないでしょう。

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『ゲーツ元国防長官の爆弾』に1件のコメント

  1. きよしこ:

    初めてコメントさせていただきます。毎日ブログを拝見しております。他のいわゆる保守派のブログには安易な排外主義や民族差別に陥っているブログも数多く存在し、先生のブログは決してそのようなことはなく、あらゆる政治ブログの中で最も優れたものと確信しております。以下のコメントのつたない文法や表現はどうかお許しください。

    遠藤先生の仰るとおり、安倍首相が「占領憲法は有効」と答弁されたことは歴史的事実に鑑みても間違いであるとは思いますが、国内のあらゆるところに跋扈する左翼勢力や、それらと間違いなく裏で結託している日本マスコミの現状を考えれば、一介の国会議員ならともかく首相という立場で「占領憲法は無効」とは、例え本心ではそう思っていても公言できないのが実情ではないかと思います。

    先生がご指摘のとおり占領憲法の無効確認を蔑ろ(先送り)にすることが後々安倍政権を追い詰めていくことになるのは目に見えていますが、そうなってしまったのも戦後約70年、自国の憲法を奪還する気概と信念が国会議員にも国民にも無く、急速な経済成長と引き換えに国家の根本を形成する憲法を放棄してしまったが故であります。これは今を生きる我々にも大きな責任があると思います。

    ほぼ繰り返しになってしまいますが、先に触れた「占領憲法は有効である」との答弁は旧年1月30日に行われた衆院本会議における平沼赳夫議員の代表質問に対する答弁だったと思いますが、その時点では第2次安倍内閣も発足まもない頃であり、たとえ占領憲法が無効であると安倍氏が承知であったとしもそこで「無効と考えている」と答弁すれば左派勢力やマスコミはもとよりいわゆる「改憲派」からも袋叩きに遭い「再降板」の憂き目に遭ったはずです。そして自民党の中にも現職元職問わず媚中媚韓で自虐史観にまみれ「安倍降ろし」を画策している者が未だ数多く存在しているわけですから、私は安倍首相は「占領憲法は無効であることは承知であるが現状を鑑みればやむを得ず『有効である』と答弁せざるを得ない。まずは経済・外交を立て直し国民の信頼を得て再来年の衆参ダブル選挙で大勝し、その後改めて占領憲法の無効確認を行いたい。」と考えていると期待するより他ありません。

    安倍首相は対中韓政策をはじめほぼ完璧と言える外交を行っていますし、靖国への参拝も行ってくれました。私は今回の内閣には期間の短長はともかく、第1次政権の時の如く「崩壊」は何としても避けて欲しいです。もしそのようなことがあれば戦後占領体制の完成という悪夢が現実のものとなるのは間違いありません。私も遠藤先生と同じく、占領憲法の無効確認なしに本来の国體を完全に奪還することは不可能だと強く信じております。ご覧下さりありがとうございました。