太平洋艦隊司令官に日系人

皇紀2673年(平成25年)10月17日

 http://www.xinhua.jp/socioeconomy/photonews/362448/
 ▲新華社:日系人が米海軍太平洋艦隊の新司令官に、米国の「日米同盟重視」のあらわれか―中国紙

 中共の新華社が国務院の機関ならば、環球時報は共産党中央委員会の機関紙『人民日報』の国際版なのですが、彼らはわが国で全くと申してよいほど話題にも上がらなかった米海軍の太平洋艦隊司令官人事に言及しています。

 それは、司令官がセシル・ヘイニー大将からハリー・ハリス中将へ交代したというもので、よってハリス中将はこれで大将になったわけですが、彼は神奈川県横須賀市の出身で、母親が日本人であることから、環球時報は「米国はこれを機に日米同盟関係を強化したい考え」との論評を掲載しました。

 本来であればわが国の新聞社が第一面で報じるべきだったかもしれませんが、中共がこのようなことに過敏に反応するのは、まず自分たちであれば他国の政府機関に勤める者を出来るだけ中共系で占めるよう工作し、徹底して篭絡しにかかるからであり、彼らの次の標的は米軍幹部です。

 以前、米連邦議会の故ダニエル・イノウエ前上院議員のことについてふれた際、いわゆる「日米貿易摩擦」の発生で、彼が先陣を切って対日批判をした過去を取り上げましたが、これはわが国政府が彼を通して米国政治を操ろうと発想もしていなかったことや、彼が忠誠を誓った米国に背を向けるような政治家ではなかったこともありますが、実のところ経済だけで申せば日米は互いに仮想敵国に他なりません。

 だからこそイノウエ議員は祖国と知りながらも貿易問題で日本を非難したのであって、近年になって中韓が突如として騒ぎ始めた歴史認識問題では、連邦議会が対日非難を決議しようとしたことに反対しました。

 この厳然たる事実を正しく認識出来ている日本人はあまりいません。そもそも日米同盟が占領憲法(日本国憲法)の有効状態の放置というわが国政府の間違いによって、実は成立しているようで成立していない現実も受け入れなくてはならないのです。

 太平洋という巨大な海洋覇権を極東(日本)と極西(米国)で守り抜かなければ、中共のような新興国が経済力と軍事力を背景に侵入してくるのであって、阻止するためには米軍片務の現状をわが国が法的に改善しなければなりません。

 まして米国は近い将来、目下の債務不履行(デフォルト)危機よりも金融緩和解除の衝撃に必ず耐えねばならず、経済力の低下が軍事力の低下に直結します。

 それは中共も同じことであり、当然わが国も強い経済力を背景にしなければ、他国を圧倒して私たちの主張を通すこともままなりません。安倍晋三首相が最初に経済を立て直そうとしたのは正しい判断なのです。

 しかし、かつての勢いで取り返せたはずの領土・領海すら取り返せなかったのは、私たちの意識の低さと占領憲法政府特有の症状、すなわち情報を収集・発信する能力を持たず、外交・安全保障を米国に依存して米国の顔色を見るのが習慣になってしまったことなどが挙げられます。

 ついに太平洋艦隊の司令官が日系人になりました。バラク・オバマ大統領が何もしない中、緊縮財政でも国防総省は兵站を整えようとしており、中共が「日本はどうせこれに応えられないだろう」と余裕で報じているのをひっくり返すためにも、まず私たちが政府に向かって、経済を立て直すのと同時に、その経済力を今度こそ外交・安保などにも生かせるよう、憲法問題を突きつけ続けることです。

【11.4 第9回憲法問題決起集会のお知らせ】
 詳しくは真正保守政策研究所 公式ウェブサイトをご覧ください。

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