あとがない国どうしの対話

皇紀2673年(平成25年)7月20日

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/130719/chn130719……
 ▲産經新聞:【田村秀男の国際政治経済学入門】 米中戦略対話で見えた中国の“危機”
 http://sankei.jp.msn.com/world/news/130719/amr130719……
 ▲産經新聞:【デトロイト破産】 「偉大な都市が…」企業も人も去り ゴーストタウン化
 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130718-OYT……
 ▲讀賣新聞:日本に「再交渉、蒸し返し認めぬ」…TPPで米

 自動車産業を象徴する大都市として知られてきた米中西部ミシガン州のデトロイト市が十八日、連邦破産法第九条の適用を申請し、財政破綻しました。負債総額は百八十億ドル(約一兆八千億円)で、史上最大規模です。

 こう聞きますと、私なんぞはつい映画『ロボコップ』を思い出してしまいますが、破綻した自治体を巨大企業体「オムニ社」が事実上乗っ取ってしまうというのが物語の基本でした。

 もう何年も前から申してまいりましたように、製造業でわが国に勝てなくなった米国がこれを諦め、金融賭博で経済をまわし始めた結果、これも破綻して(いわゆる「リーマン・ショック」)、雇用を守るためにやはり製造業への回帰を宣言したオバマ政権でしたが、慢性化した産業都市の荒廃はもはや致命的だったのです。

 これに先立って首都ワシントンD.C.で開かれた米中戦略・経済対話は、究極的に伸びしろを失った中共が米国に尊大な態度をとり、ゆとりのない米国は必死にこれを突っぱねて終わりました。産經新聞社が指摘するほど、危機的なのは中共だけではありません。

 とはいえ、中共が或る案件を巡って尊大な態度をとる時は必ず彼らにとって「あとがない」せいであり、田村秀男氏の解説を要約しますと、米連邦準備制度理事会(FRB)に量的緩和を縮小されれば実のところドル依存の人民元札が刷れなくなって、市中の銀行による融資が止まり、国策経済の一切が機能停止します。

 わが国に対し、沖縄県石垣市尖閣諸島の問題で異常な態度をとり続けるのも、資源の確保に於いて「あとがない」中共の焦燥感が露わになっているだけであり、米国はこれらを知っていますから、中共が米国債を大量に引き受けていても、いえ、そうだからこそ彼らの脅迫には屈しません。

 しかし、米国にもゆとりがありませんから、自国や欧州もやり続けてきた金融緩和策を安倍政権になってやっと日本がやり始めた途端、これをやらせないよう、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の中でわが国に突きつけようという稚拙な思惑が連邦議会内に発生しています。

 これはデトロイト市の財政破綻と無関係ではありません。わが国政府は、このような各国経済の情勢と思惑をよく読み取って、TPPへの参加の判断を慎重にすべきです。それは私が反対派だから申すのではなく、中共を意識してTPPに参加すればかえって守るべき日米関係が悪化していく可能性にまで考えが至っているか否か、ということに尽きます。

 小泉政権下でわが国の地方都市もかなり疲弊してしまいましたが、それでもわが国ほど資源、食糧、製造業のいずれに於いても多くの伸びしろを未だ有している国家は他にありません。少なくとも欧米諸国はそうと知っているのに、知らずに怯えるがごとく暮らしている私たちは、安倍晋三首相が取り戻そうとしている日本の姿を(ともすれば首相自身も)全く想像出来ていないのです。

 占領憲法(日本国憲法)こそが自分たちの「憲法」だと思い込んできたのですから無理もありませんが、そのような偽りの保守体制からの脱却こそ、安倍首相が目指す「戦後レジームからの脱却」である、と私たちが容易に想像出来て初めて政治が変わるのです。

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『あとがない国どうしの対話』に1件のコメント

  1. やましろや:

    中国は資源確保に狂奔しているというより、むしろ資源を爆食できなくなって来ているのではありませんか?