タイ政変でどうなる?

皇紀2674年(平成26年)5月24日

 現地からの情報をまとめます。

・タイ国軍は、インラック・チンナワット前首相の失職以降、現暫定内閣に対して総辞職を求め、政体の刷新を願いましたが聞き入れられず、プラユット・チャンオチャ陸軍司令官は二十二日午後四時三十分、クーデターを宣言しました。ただちに国家治安維持評議会を発足、議長のプラユット司令官が首相代行を務めることになります。全土戒厳令を発令した後の政変でした。

プラユット司令官は、王妃の警護に当たる第二歩兵師団チョンブリー第二十一歩兵連隊の出身で、いわゆる「王妃の虎」組です。よって今回は、国王の近衛師団である第一歩兵師団によるクーデターではありません。

・プーミポン・アドゥンラヤデート国王陛下は、今回のクーデターに関し、表にはお出にならない予定です。

・評議会は、インラック前首相をはじめ、チンナワット家一族や関係者(タクシン元首相派)の身柄を拘束しました。また、「反タクシン」で民主党のステープ・トゥアクスパン元副首相だけでなく、アピシット・ウェーチャチーワ元首相の身柄も一旦拘束した模様です。

紅いタクシン派(中共共産党との関係が濃厚)と黄色の反タクシン派(いわゆる「国王色」の国体護持派)の国民的対立が繰り返される中、まずは夜間外出禁止令を伴う戒厳令で治安維持を図り、一気に政体へ切り込むという手法はあざやかであり、評議会の体裁としては政治的中立を強調しています。

・プラユット司令官に対し、インラック前首相は融和的態度をとろうと努めていましたが、彼はそもそも「汎タイ」の基礎である全国民による王室への尊敬をないがしろにしたタクシン元首相の一派を認めておらず、タクシン政権下のバラマキによって「紅」に堕ちた農民ら比較的貧困層に向かっても、彼らの中に間違いなく残っている国体護持の精神に訴え、このクーデターを成功させようという考えがあります。

・国際社会における一般論としての「軍によるクーデター」ではありません。プラユット司令官は、事態の長期化を覚悟しながら、ほとぼりをおさめるようにして、国体護持の内閣を発足させるよう選挙ができる状態へ持ち込みたい考えです。

・バンコク都内は目下、二十四時間営業の商店などが夜間の営業を中止しており、屋台も夜には店主によってかたづけられます。日本人学校を含むすべての学校が昨日から休校です。しかし、昼間は会社も商店もまったく平常どおりであり、何の混乱もありません。

 http://www.chula.ac.th/
 ▲จุฬาลงกรณ์มหาวิทยาลัย(チュラーロンコーン大学)
 http://www.tu.ac.th/
 ▲มหาวิทยาลัยธรรมศาสตร์(タンマサート大学)

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