無意味だった米韓首脳会談

皇紀2674年(平成26年)4月26日

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/140425/amr140425……
 ▲産經新聞:「慰安婦は人権侵害」 米韓首脳会談 オバマ大統領言及

 もう一度申しますが、わが国に横槍を入れて設定した今回の米韓首脳会談は、朴槿恵大統領にとって大失敗でした。起きてしまった旅客船の沈没事故に対処もできず、未来ある高校生たちを救い出せなかった韓国政府に、いわゆる「反日」に興じる暇などないはずです。

 日米首脳会談後の共同記者会見でも、再度申しますが、中共に対する認識の甘さを露呈したバラク・オバマ大統領は、朴大統領の要請に唯一応えた慰安婦問題への言及で、以下のように述べています。

 「慰安婦問題は甚だしい人権侵害だ。安倍晋三首相と日本国民も過去について、正直かつ公正に理解しなければならないと認識しているだろう」
 「(元慰安婦を名乗る女性らの)主張は聞くに値し、尊重されるべきだ」
 「未来を見ることが日本と韓国の人々の利益だ」

 この発言に対し、わが国政府内では早速、オバマ大統領への不信感をあらわにする意見が出ました。「韓国側に言わされている」というのです。

 しかし、正確には相変わらず「チャイナ・マネー」に期待した発言であり、その意味では韓国にとって一つの成果もありませんでした。さらに、彼の発言は「発生または存在した」と仮定した事件に対する一般的な心情を述べただけで、実はわが国を指して非難した文言は一つもないのです。

 また、彼が恐らく口を滑らせてしまったと思われるのは、韓国人慰安婦が「従軍性奴隷」のようなものであったか否かの検証を日本がすべきだと受け取れる「正直かつ公正に理解」、或いは「聞くに値する」の部分であり、わが国政府はこの発言をもって、検証の正当性をむしろ主張できるようになったと考えるべきでしょう。

 慰安婦問題はすでに在米韓国人を利用した中共の「米国侵略・日米離間工作」になっており、そうとは考えてもいないオバマ大統領はチャイナ・マネー欲しさに、この問題に初めて口を挟んでしまいました。

 日米安全保障問題に踏み込んだ一面と、中共経済に今なお投資の価値があるとした一面は相反していますが、米国内の本音が組み合わさったものであり、オバマ大統領はただそれを伝えに来ただけです。まして韓国には何もよいことはありませんでしたから、やはり訪韓を中止すべきだったのです。

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『無意味だった米韓首脳会談』に5件のコメント

  1. violet:

    日本には、豚肉だの自動車だの民主党の支持基盤の労組の代弁をし、韓国では、米国コリアンの票ほしさに韓国ロビーの言い分を丸呑みしたオバマ大統領は、アジア重視のアピールのために歴訪しているのではなく、中間選挙に向けて選挙の事前運動に来ただけであることを露呈した。お粗末な大統領だ。

  2. ななしのウサギ:

    米国のホワイトハウスから出たオバマと朴のプレスカンファレンス全文を読んでみましたが、オバマが中国のチャイナマネーに期待した発言とは全く思いませんでしたよ。問題となっている部分はむしろ、ホストである朴や韓国民の心情に対する社交辞令的な前置きであり、結論である「過去に何があったかを公正に正確にしなくてはならない」の前振りでしかありませんし、その前に朴が慰安婦問題についてさんざん日本と安倍の不誠実をなじる論を例によって展開し、オバマに訴えている文言を思えば、ないとおかしいリップサービスみたいなもんで、(こんなに酷いことにあった、と喚く人に大変でしたね、という社交辞令の前置きと同じ)韓国よりの発言をしたとは全く思えませんでしたね。
    かえってオバマは過去にこだわり、目の前にある脅威である北に対して利益を共にする日本と協調しない朴と韓国を諌める論を展開しているのであり、全文通して日本を批判している訳では全くなく、マスゴミの恣意的なミスリードに怒りを感じると同時にこんな近視眼的な論者ばかりでは日本の言論界は危ういな、、、と危惧してしまいました。
    遠藤先生はチャイナマネー欲しさにオバマが首をつっこんだ論を展開していますが、オバマは終始国際法に基づいて紛争は解決されるべきだとし、アメリカはどちらの立場にも与しない、中国は大国として小さい国に対する影響力を考えねばならないという原則論を展開しています。オバマを擁護する訳ではありませんが、陰謀論での解釈は真実を見誤うのではないでしょうか?

  3. 遠藤 健太郎:

     貴重なご意見を賜り、ありがとうございます。

     ななしのウサギ様の書き込みについて、まず私の文章力の稚拙さをお詫びすると同時に、他の読者からメールなどいただいた中には見当たらなかった誤解があるようですので、おことわりします。

     まず、記事で取り上げたオバマ大統領の発言は、韓国人記者による質問に促された答えであり、その内容がなぜこうなったのか、よく考える必要があります。

     記事中でも申したように、オバマ大統領は一度もわが国を指して非難などしていません。これは貴殿もお書きの通り、メディア報道の恣意的な編集と指弾すべきでしょう。繰り返しますが、菅官房長官が言及していた「河野談話の検証」を後押ししたと解釈される発言まであるにもかかわらず、それは全く報じられていません。

     しかし、彼が韓国でもフィリピンでも中共を意識したとしか思えないのは、韓国人慰安婦の存在について、記事でも申した一般的な心情(貴殿のおっしゃる「社交辞令の前置き」)を語った上で、それが人権問題に抵触するようなわが国側の間違いがあったか否かの議論があることを述べなかった点と、フィリピン軍との再協調を提案しながら「中共を包囲するものではない」などと述べてしまった点です。

     一方に加担することが米国の利益にならない場合があるのは前提としても、彼がことのほかこのような態度をとるのは、既に米政府関連機関や大学などの教育・研究機関にまでチャイナマネーが入り込んでいるからであり、その利益を守るために中共を刺激してはならないという声を反映しています。大統領としては、或る意味当然の行いをしているとも言え、これは陰謀論などではありません。

     或る方はオバマ大統領のことを「ただの八方美人」と評論していますが、彼なりの現実的な感覚で物事に対処しようという時に、これが彼のとる態度の基本なのでしょう。私が申しているのは「首を突っ込んだ論」などではなく、中共にもよい顔をしなければならない国内事情に無批判な大統領が、中途半端な発言をあちこちでしたというだけのことです。

     過去に指摘したことを踏まえて申しているため、この記事だけをお読みになると分かりにくい点がありましたことを、最後にもう一度お詫び申し上げ、今後も何かございましたらご指摘ください。今回は貴殿のおかげをもちまして、対米現行政策の序を確認できました。ありがとうございました。

  4. まいこ:

    遠藤先生がこれを書かれた4日後の関テレスーパーニュースアンカーで
    青山繁晴さんがほとんど同じことを言ってます。

    http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid1554.html

    チャイナマネーが入り込んでるのも陰謀論じゃなく事実として過去に報じられてます。
    アメリカがチャイナマネーにとらわれはじめたのは日本の出遅れでしょう。
    慰安婦問題なのにチャイナ・・オバマも情報当局から聞いて知ってるんでしょうね。

  5. ななしのウサギ:

    遠藤先生、まいこ様、ご意見ありがとうございます。
    青山繁晴氏の論説によると、どこにでもいい顔をするのはオバマの個性らしいので、そこに付け込まれてしまう隙があり、マスゴミなどの恣意的な報道のネタになってしまうようですね。
    フィリピンとの軍事協調にしても、オバマの中国をターゲットにしたものではない、との発言は、八方美人というよりは当たり前の外交的慣用句にしか私には思えませんが、、、。彼らしい気の使い方なのでしょう。
    心理学では、人の本心を知りたければ、その人の言説ではなく、取った行動を見ろというのが定石らしいですが、外交にも当てはまるようで面白いと思います。
    オバマの今回のアジア歴訪により取った行動が彼の言葉より、彼と米国の取っている立場を如実に物語っているでしょう。オバマは実に気の小さな、気遣いのマメな男なのですね。