安倍首相の敵は財務省だった

皇紀2683年(令和5年)2月16日

 昨日記事で中央公論新社刊『安倍晋三回顧録』に触れましたが、安倍晋三元首相は、財務省について「安倍政権批判を展開し、私を引きずり下ろそうと画策した。彼らは省益のためなら政権を倒すことも辞さない」と述べていたことが本書で明かされています。

 消費税率の引き上げを二度にわたって延期した安倍首相(当時)を、財務省が潰そうとしていたのは間違いなく、そのために捏造されたのが森友問題であることも確かなのです。

 安倍首相の発言で一つ不正確なのは、財務省の「省益」とした部分で、財務省を動かしているのは、正確に申しますと「局益」であり、主計局と主税局が理財局から佐川宣寿国税庁長官(当時、元理財局長)が次期事務次官候補に駆け上がってくるのをも潰せる「一石二鳥」の案として、学校法人森友学園をめぐる「安倍首相夫妻関与のシナリオ」を創作しました。

 まんまと佐川元局長は退官に追い込まれ、私たち国民が見てきた通り安倍首相は、消費税を十%まで引き上げさせられたのです。その間、予算編成も人質にとった主計局は、安倍首相のいわゆる「アベノミクス」を緊縮財政で潰そうともしました。

 よってアベノミクスは失敗したのです。日本銀行による量的金融緩和が先行し、最も重要な成長戦略と財政出動もなく終わったため、結局給与・物価下落(デフレーション)から脱却できないまま、いよいよ最悪のスタグフレーションを起こしたのが現時点ということになります。

 何としても政権を維持するために財務省の脅迫と暴力を甘受した安倍首相を、私はたびたび批判しました。早早に「アベノミクスは失敗」と警告したことで、安倍首相側の機嫌を損ねてしまった私は、以来接触がなくなったのも事実です。

 「今にして思えば」ということもありますが、わが国の政治家には、まともな回顧録がほぼないため、本書が貴重な一冊となるでしょう。岸田文雄首相が「財務省のための緊縮財政政権」「ザ・宏池会」であることは、安倍元首相の回顧録が生かされないのであり、極めて残念と申すよりもはや許せません。

 財務省と闘って勝つ政治家が次期首相になるべきなのです。

成田空港、やぐら撤去や土地の明け渡しを強制執行…県警機動隊と反対派の小競り合いも

【読売新聞】 千葉地裁は15日夜、千葉県成田市の成田空港用地内で、空港反対派が設置したやぐらや立て看板などの撤去と土地の明け渡しについて強制執行に着手した。反対派の抵抗に対する強制執行は2017年5月の団結小屋の撤去以来ほぼ6年ぶり…

(讀賣新聞社)

 さて、無駄な闘いと申せば、世に「成田闘争」とも称された三里塚闘争です。新東京国際空港(当時)の建設をめぐる土地買収に絡み、極左暴力集団が地主たちを扇動して「犯罪者」に仕立てた闘争は、未だ続いていました。

 極左によって住民は分断され、残ったのがこの腐った櫓であり、結局建設された空港にも元いた住民たちにも何一つよいことなどなかったのです。ようやく撤去となって世に晒されたのは、極左のみっともない「駄駄っ子」ぶりのみでした。

 見てください、この惨めな極左の残党たちを。これもまた、私たち国民の頭の中にまで手を突っ込み、私たちを「内ゲバ」させる倒すべき敵です。

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『安倍首相の敵は財務省だった』に3件のコメント

  1. 波那:

    安倍総理が財務省と闘っていたのは知ってました。そして、憲法改正や拉致被害者奪還などの為に長期政権でないと出来ない事の為に、潰されない為に折れた事も知っていました。だから私達は安倍総理と共に在ったのです。あのように強靭な不屈の精神を持ちながら、目先には捕らわれず物事を俯瞰して見る事が出来た冷徹な政治家は、もう日本には現れないでしょう。安倍さんが居なくなった後、目に見えて日本が荒んで行ってるのを見ても、もう私達には何にも出来ない。

  2. きよしこ:

    まだ読むどころか購入もしていないですが、安倍晋三回顧録とは、すなわち(特に東日本大震災後の)日本政治の回顧録なのだと思いました。賛否両論、毀誉褒貶ありながらも退任後も含めれば10年近く我が国の政治の最前線を駆け抜けた人物であり、その(真相が闇に葬られようとしている)死も含めて安倍氏が日本人の思想に与えた影響は、今後肩を並べる人物は出てこないでしょう。改めてその喪失感と悲しみが蘇ります。いつか政界を引退してから思う存分財務省を批判してほしかったのですが、その機会が失われたことで損なわれる国益の大きさは計り知れません。昭恵夫人は夫が蒔いた種が云々話されていましたが、財務省がどれほど国民生活を無視し毀損し破壊してきたかが徐々に国民に浸透してきたことこそ何としても花を咲かせねばなりません。せっかく回顧録を手に質問したのに向いた矛先が財務省ではなく安倍氏個人だったという財務省以下のゴミ集団の立憲民主党やら「安倍独裁」どころか「ヒトラーも真っ青の志位恐怖政治」が露見した日本共産党なんぞ期待しても無駄なので自民党内の良識派に何とか安倍氏の遺志を継いでもらいたいと思います。この機を逃したら日本は永遠に財務省支配から逃れられないと心から危惧しています。

  3. ビキ:

    “アベノミクス”と言う単語は知っているが、その目的を知る者は大衆には居ない。国民にはふたつの種類が存在します。真理を求める限られた少数派と、マスメディアによって流される大衆です。安倍さんが第二次政権を発足した当時、間違った貨幣観に毒された日本を起死回生で復活させる手段は、間違いなく“アベノミクス”でした。つまり三本の矢と称されるものは、民間の投資が無い代わりに、政府が進んで国民経済に永続的に出資をして、民間需要が循環し国民の全ての所得を上げらるまで継続することが第一義でした。これは間違いでは無いし、正しい貨幣観を持っているならば定石のやり方でした。
    私たちは無知な大衆になってはいけない!

    結局のところ、正しい知識を国民一人ひとりが醸成する以外に道は有りません。