低金利で政府がすべきこと

皇紀2682年(令和4年)6月21日

日銀、国債購入10兆円超 先週、長期金利抑制で急増

 日銀の国債買い入れ額が先週に約10兆9千億円に達し、先々週の約2兆3千億円から急増したことが20日、分かった。欧米の利上げにつられて日本の長期金利が上昇しないよう大量購入したためで…

(一般社団法人共同通信社)

 露国のウラジーミル・プーチン大統領より「自転車でひっくりコケた」米民主党のジョー・バイデン大統領の体力と寿命のほうを心配したほうがいいと思うのは、私だけでしょうか。

 米国の連邦準備制度理事会(FRB)が「三倍速」ともいわれる利上げに踏み切れるのは、少なくともこの二十年間、米国民の給与水準が上昇し続けてきたからであり、わが国のように三十年間にわたって給与下落してきたのとは事情が全く違います。

 それでも利上げすることで、景気後退物価上昇を抑制できないまま訪れる懸念を払拭できません。米国でさえそうなのです。

 日本銀行の黒田東彦総裁が先般、長期金利の引き上げを否定したことは、読者ご指摘の通り唯一賢明な判断と申せましょう。欧米の利上げに引きずられてわが国が「やっていける」状態にはないからです。

 報道権力やマクロ経済学とミクロ経済学を「ごちゃ混ぜ」にして語るような自称・経済学者たちが日銀のこうした判断を批判し、利上げによる円安抑制を訴えていますが、利上げが景気抑制を招くことを知らないのでしょうか。

 まさかそのようなはずはないのですが、或る種の大衆迎合(ポピュリズム)的発言なのでしょう。目先の現象として円安による輸入品の価格上昇に、私も含めて多くの国民が苦しみ始めているからです。

 しかし、既に給与下落のまま物価上昇(スタグフレーション)を招いて何もしない岸田文雄首相が仮に日銀へ利上げの要請をすれば、たちまちスタグフレーションがさらに進行することになります。

 目下私たちが「円安をどうにかしろ」「日銀は利上げしろ」などといってしまうことは、自分で自分の首をさらに締め上げることにしかなりません。極端な喩えですが、いわゆる「バブル崩壊」をハードランディングさせてしまった旧大蔵省の総量規制を「今すぐやれ」といっているようなものなのです。またも私たち国民から大量に死人が出ます。

 財務省は、貿易収支が二兆円超の赤字であり、これが十か月も続いている(五月の貿易統計・速報値)と発表しました。また、私が最初から批判し続けてきた「クール・ジャパン機構」の累積赤字が三百億円を超え、統廃合の提案がなされました。

 ならばどうすればよいでしょうか。

 政策提言としては、まず利上げできない最大の理由を解決しなければなりません。景気(内需)回復が至上命題である以上、目下の輸入価格上昇でも商品価格の値上げが苦しい(つまり、物価上昇でも給与を上げられない)なら、消費税を廃止するしかないのです。

 そして、製造国であるわが国が本来歓迎すべき円安に苦しんでいる最大の理由も解決しなければなりません。いわゆる「中共リスク」が身に沁みたはずの現在、できるだけ国内調達・国内製造へ回帰することが求められるはずです。

 少なくとも、危機的事態に遭遇して「嘆く」より「解決策を見出す」ことで艱難辛苦を乗り越えた先人たちが築いたはずのわが国企業が目下ただただ嘆いているだけなのは、岸田政権が何の「音頭」もとらないせいでもあります。

 政府が国内回帰の成長戦略を提示することで、国家安全保障上の諸問題にも貢献するのです。海外に依存することの致命的弊害は、ウクライナ情勢をめぐる対露制裁で足並みがそろわない欧州の例を見ても明らかでしょう。

 国債が大量購入されたのは、いわば日銀が利上げを否定したことで景気後退リスクを回避したからであり、政府がこのまま何もしないのでは、日銀ばかりが踏ん張って「政府はニートで引きこもり」しているようなものです。

 日銀に量的金融緩和を先にしてもらい、政府の財政出動成長戦略も後塵に期したことで大失敗した例の「アベノミクス」と同じではありませんか。安倍政権を支持してきた方がたも、いい加減にこれだけは認めてほしいものです。

 参議院議員選挙を前に、こうした議論が白熱しないわが国で、果たして本当に国民経済は救われるでしょうか。餓死寸前になれば、もっと必死になるはずなのですが……。

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『低金利で政府がすべきこと』に3件のコメント

  1. 日本を守りたい:

    日本の物価上昇における円安が要因と成っている割合は 25パーセント。残りの75パーセントは 物それ自体の コロナウイルスによる生産・流通の停滞によるもの。米国の四十年にわたる金利低下時代の最終段階が今。それにコロナウイルスによる経済縮小に 対応策として米国が「生活支援金と失業保険の上乗せ」の大盤振る舞いで 史上最大の過剰流動性相場 すなわち世界は通貨を出し過ぎたのだ そのせいで 株・不動産などの資産バブルに 原油・天然ガスなどのエナジー、食糧などのインフレも加わった。とりわけ、ロシアウクライナ戦争と「二酸化炭素出すな」の環境詐欺の世界的横行により、新規の油田開発に銀行融資が禁止されているので、石油の価格は下がらない。それに 住宅バブル崩壊で不良債権処理のために人民銀行が最大限に人民元をシナの銀行システムに注入する事に成る 要するに、武漢ウイルスの製造・漏出も含めて、このインフレの原因の全ては 白人支配層による 貪欲強欲が引き起こした災厄なのだ。

     財務省の緊縮財政と増税に対して 日銀の金融緩和だけが 日本のデフレ対策だった。金融緩和が無ければ 悲惨は更に酷いものに成っていただろう。安部さんは財務省に抵抗して 一度は消費税増税を拒んだが その後 二度の消費税引き上げ 二度の敗北。それを見ても 日本を支配している奴らの存在・悪意に気づかない国民。高市早苗政権誕生を阻止する事は 反日勢力にとって 簡単だろう。日本人の現状を見れば。戦う事が出来なければ 日本人の歴史は終わる。

  2. 八百万の神の自由:

    > ~利上げが景気抑制を招くことを知らないのでしょうか。
    > 政策提言~景気(内需)回復が至上命題~消費税を廃止
    > 政府が国内回帰の成長戦略を提示することで、国家安全保障上の諸問題にも貢献~
    > 日銀に量的金融緩和を先にしてもらい、政府の財政出動も成長戦略も後塵に期したことで大失敗した例の「アベノミクス」と同じ

     全く同感です。
     「バブルの後始末の失敗」の解釈も「内需拡大回帰」も全く同感。 
     今こそ、旧来政府日銀目標であるデマンドプル(需要牽引型)インフレまで「財政支出」による、スタグフレーション被害の救済が必要。
    それが同時に人、技術、企業、土地の「外資による買い叩き」抑止策。
    需要が回復すれば国民、企業は自ずと成長産業に投資(これがケインズの言う本当のアニマルスピリット)。
     又、兵器が有っても貿易停止で兵糧攻めにあったら闘わずして敗戦。災害被害抑止の国土強靭化、食糧、エネルギー安保も同列で大事ですね。

  3. 京都おやじ:

    恐怖すべき無能な岸田
    電気で遊んでやがる
    役人という官類は、ここまで頭が退化するものなのか