二十年前と同じ給与って…

皇紀2678年(平成30年)12月4日

大前研一"ついに失われた30年になった" なぜ平成という時代は失敗したのか | プレジデントオンライン

平成が終わる。大前研一氏は新刊『日本の論点2019~20』(プレジデント社)で、平成という時代についてこう述べた。「30年前、私は『平成維…

(PRESIDENT Online – PRESIDENT)

 別に大前研一氏が常に正しいことをいっているとは全く思いませんが、中でも「この二十年で欧米各国の給料は平均で二倍になっているのに、唯一わが国だけが約二十年前の賃金水準を下回っている」と述べている部分はその通りです。以外にもこの認識がほとんどの国民にありません。

 欧州主要国の物価はその分だけ上がり、しかしながら実はわが国も物価は緩やかに上昇しています。まして税負担なども増え続けてきました。だから私が「デフレーション」を申す時に必ず「給与物価下落」と「給与」から先に示すのであり、デフレの恐ろしさは物価下落を上回る勢いで給与が下がっていくことなのです。

 安倍内閣は、さかんに「デフレ脱却」をいいますが、現状はなおも「デフレスパイラル」に陥ったままであり、そこへ消費税率の引き上げをまたも断行しようと財務省のいいなりになってしまうのですから、そうまでして国民そっちのけで内閣を維持したいだけなのか、と指弾せずにはいられません。

 以前にも申しましたが、私が大学に勤めた四年間を経て平成十一年当時、進学塾の会社に就職した際の初任給は約二十一万円でした。はっきり申し上げて塾というのは教育に関する「すきま産業」のようなものであり、中小企業に類しますから、その程度だったというふうにご認識ください。それが平成三十年の平均初任給が約十九万円であり、中小企業であれば十五万円というところも多くあります。

 かつては「お父さんのころは月給五万円だったよ」なんぞと聞いて経済成長を実感したものですが、今や「お父さんは二十五万円だったのに、息子のおまえは十五万円しかもらえないのか?」と失われた三十年を思い知らされるのです。

 これで消費に対して懲罰的に課税する、わが国の経済動向に著しくそぐわない消費税の税率を、今度は十%にまでして何が解決し、何がよくなるというのですか? 財政ですか? 年金ですか? いいえ、莫大な運用資産を抱えた行政がますます太り、国民がやせ衰えていくだけです。

 たとえ困難な道であっても、私は消費増税反対、いや消費税の廃止さえ訴えていきます。年金は資産運用で実のところ賄いきれるのです。将来に対する不安を取り除き、消費への懲罰をやめれば、私たちはもっと重要な問題を考える余地をえるのではないか、或いは好況に興じてかえって莫迦になるというのなら、私たちは時代を失うのみならず国を失うに違いありません。

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『二十年前と同じ給与って…』に1件のコメント

  1. 心配性@我は蛮夷なり:

    最近、台湾は一次産業の保護を手厚く行っていて、漁師は無税で優遇されているが、日本は、漁業関係者の高齢化や収入減もあって、先進国で「唯一」漁業が衰退を続けている国だと嘆く意見を聞きました。

    10年ほど前になるでしょうか、韓国も若者たちが漁師になりたがらず、息子たちは父親が漁師でも跡を継ぎたがらないといった報道に接したような気がします。(うろ覚えですが)

    韓国も一応先進国ですが、どうやって「衰退」を食い止めているのでしょうね。
    やはり「低賃金」の外国人に頼っているのでしょうか?