米中にらみ合い 様子見か

皇紀2676年(平成28年)11月27日

 二十六日に開かれた「第二回救国の提言・東京」にご参集いただきました皆さんへ、心よりお礼申し上げます。この模様につきましては、また後日改めて申し上げます。

 http://www.sankei.com/world/news/161124/wor161124……
 ▲産經新聞:中国、米にWTO提訴を警告、次期政権の関税政策で

 米国のドナルド・トランプ次期大統領が誕生することになって、なかなか読み取りにくいのが米中関係です。トランプ次期大統領は、かねてより対中批判を重ねながら、一方で中共共産党人民解放軍の暴走に関心がないかのような態度もとっています。

 しかし、自国の影響力を削ぐような中共共産党の行為を目前にすれば、彼がそれを許すはずはないだろうと予測する人もおり、結局は日米安全保障条約体制が維持されるというのが一つのシナリオです。

 とはいえ私が思うに、トランプ次期大統領は「アメリカ合衆国の大統領」になるというより「アメリカ・フィナンシャルグループの最高経営責任者(CEO)」になるという感覚に近いと申すべきで、果たして「自社(米国)が儲かる」「社員・従業員(米国民)の雇用を守れる」ということ以外に強い関心を抱けるかどうか、安易な妥協に踊らされるのではないか、とても楽観視できません。

 やはり彼の態度を批判したり、彼の存在自体に焦りや不快を表すよりも、トランプ次期大統領のいわば「自国民ファースト」に倣い、わが国自身がどうすべきか、どうあるべきかを考えることのほうが先なのです。その上で、米中のこの駆け引きは、或る種参考になるでしょう。

 上記産經新聞社記事にある中共の対米牽制があるかと思えば、米中合同商業貿易委員会がワシントンDCで開かれた二十三日、米政府は中共共産党に対して世界貿易機関(WTO)協定上の「市場経済国」に認定しない方針だと言い放っています。

 この経緯は、中共がWTOに加盟した十五年前に遡り、この十五年間を「非市場経済国」として過ごすことを受け入れたのだから「自動的に昇格する」という中共の言い分に対する米国の正当な反論です。自動的に格上げされる規定などWTOにはありません。

 トランプ次期政権が中共に対し、厳しい反ダンピング(不当廉売)関税を課せる環境を維持するには、市場経済国認定を許すことなどできないのです。因みに欧州連合(EU)欧州委員会も同様の判断をしています。

 これが駆け引きなのであって、初めから腰砕けのわが国政府が相手の場合、中共共産党はやりたい放題です。実は露国もトランプ次期政権を睨み、カリーニングラードを舞台にしたミサイル防衛で様子見策を打ち出しましたが、ことほど左様にウラジーミル・プーチン大統領の「トランプ評」があっても彼らは、強い相手に対して必ずにらみ合いを演じます。

 自立した国家同士だから成立するのです。

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