豪潜水艦、日本落選の理由

皇紀2676年(平成28年)4月27日

 http://www.sankei.com/world/news/160426/wor160426……
 ▲産經新聞:【豪次期潜水艦】「中国外交の勝利だ」 中国がアメとムチで豪政権に圧力か 南シナ海で日米豪と対峙回避

 昨年九月二十日記事の続報とお考え下さい。オーストラリア(豪州)政府は、次期主力潜水艦購入でわが国の提案をはねて以降、共同開発の相手を改めて募集し、選考対象になったのが日仏独の三か国による提案でした。

 結果、仏国案が採用され、わが国案は落選したのですが、この背景には、まず前出の昨年記事で指摘したマルコム・ターンブル首相の「屈中」方針があります。

 複数の東南亜の国が中共の海洋侵略に怯え、他国に助けを求めているにもかかわらず、日米豪の太平洋防衛連携を台無しにしかねないターンブル首相の登場は、一方的に中共の国際法上不法行為を利するのみです。

 しかし、中共共産党との濃密な関係を隠すことのできないターンブル首相は、初めから日本政府の提案をまともに聞く気はなかったでしょう。結局は、武器弾薬輸出大国の仏国案をのむという、最も無難な道を選んだのです。

 ところが、豪州政府に再びわが国案がはねられた理由は、それだけではありません。実のところ豪州は目下、中共経済の大失速の影響をおもいっきり受け、本年一月時点の失業率が市場予測を超える6.0%(豪統計局発表に基づく)にまで悪化しています。

 七月二日には連邦議会上下両院議員総選挙を控え、いえ、そもそも労働組合関連法案を野党の反対で否決されたターンブル首相が両院同時解散を来月初旬に予定しており、政局の混乱が本件に大きく関係していたのです。

 安全保障の問題でありながらターンブル首相は、次期潜水艦開発を雇用問題として処理しており、来たる選挙を前に国民にそうアピールするほかありませんでした。

 昨年にも申しましたが、わが国は武器輸出の経験がなく、豪州にただ技術が漏れるに堕ちる可能性を否定できなかったため、防衛省の体制が練り直されるまで実現してしまわなくてよかったとも申せます。

 いわば「事情持ち」の豪州側が吐き散らした「日本は官僚的で熱意に欠けた」との指摘は、あながち嘘でもないのです。

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『豪潜水艦、日本落選の理由』に3件のコメント

  1. やす:

    結果として見れば日本が落選して良かったのかも知れませんが、不慣れな武器輸出の営業力の差がでたり、支那の情報戦にやられてしまったりなどを考えたら結果オーライなんて個人的には喜べないですね
    本当ならアボット前首相からターンブル首相に変わった時点で、逆に日本から断わりを入れるぐらいのことをしてほしかった
    こういう武器輸出はこれからもあることだろうし、今回の反省を踏まえ、結果オーライで満足するようなことだけは絶対にしてほしくないですね

  2. 心配性:

    >中共共産党との濃密な関係を隠すことのできないターンブル首相

    習近平氏の弟の遠平氏は、オーストラリア国籍を持っているという噂もありますね。

    ところで、民進党は本当駄目政党ですね。
    白真勲氏の「質問」は本当にくだらないですね。
    慢性的にくだらないのはマスコミも同様です。

    日本のマスコミや中国の反日メディアを喜ばせたいんでしょうか?
    イランの国営メディアも嬉々としていますね。

    政府、化学や生物兵器否定せず憲法9条で答弁書決定
    http://this.kiji.is/97553939349669366

    政府は26日の閣議で、毒ガスを含む化学兵器や生物兵器の一切の使用を憲法9条が禁止するものではないとする答弁書を決定した。

    日本は生物兵器禁止条約や化学兵器禁止条約を締結しているとして「それらを使用することはあり得ない」とも強調した。これまでに政府は9条が一切の核兵器保有と使用を禁じるものではないとの内容を決定。その論理を引用する形で「先の答弁書で答えたところと同様だ」とした。白真勲参院議員(民進党)の質問主意書に答えた。

    >>日本は生物兵器禁止条約や化学兵器禁止条約を締結しているとして「それらを使用することはあり得ない」とも強調した。

    当然です。
    この文言こそ重要でしょう。

  3. :

    このような技術は、たとえ米国であろうとも共有するべきものではありません。
    日本で製造し、心臓部のブラックボックス化で売るのであるならまだしも、現地生産というのは最初から考えにくいものです。
    その最先端技術こそが、核を持たなくても平和のための外交交渉のバックヤードになるという事が語られていないこと自体問題です。