米国は盗聴をやめない

皇紀2673年(平成25年)10月30日

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/131028/erp131028……
 ▲産經新聞:メルケル氏の盗聴10年以上…首相就任前から標的 揺らぐ米欧同盟

 独国のアンゲラ・メルケル首相の携帯電話が、米国家安全保障局(NSA)によって盗聴されていたとする疑惑について、仏国をはじめ欧州各国、さらには韓国までもが過剰に反応して対米批判を過熱させています。

 為政者のみならず、政治に影響を与える可能性がある民間人にまで盗聴の対象が及んでいたらしいことから、そう聞けば確かに不愉快ですが、米国の通信傍受に関する疑惑は、かの「エシュロン」から連綿と続いてきました。

 エシュロン盗聴網は、米国と英国、並びに英連邦の一部によって運営され、日独らも協力しているとされています。その施設は米国の在外大使館や領事館のみならず、例えばわが国では青森県三沢飛行場近くの姉沼通信所にもあり、在日米軍とNSAが使用していますが、エシュロンそのものを米政府は認めていません。

 今回、米中央情報局(CIA)の元職員エドワード・スノーデン容疑者を逮捕出来なかったこと、或いは彼のような性向の人物をCIAに入れてしまい、まんまと通信傍受の実態の一部を公表されてしまったことが米政府の失敗です。

 綺麗ごとを並べても仕方がありませんから本音で申しますと、どの国家も、いや、日欧米のような先進国は特に、他国について出来るだけ「知らないこと」を減らしたいものであり、恐らく米政府は今回のことを経ても通信傍受(盗聴)をやめません。

 同盟国までも傍受の対象としたことを批判するのも筋違いです。現にわが国に対しても前例があり、それは平成七年の日米自動車交渉で、CIAが橋本龍太郎通産相(当時)と通産省幹部らの内部会話を盗聴していました。これは米紙「ザ・ニュー・ヨーク・タイムズ」がすっぱ抜いたものです。

 むろん批判が筋違いだから全て米国が正しいというわけではありません。今回の疑惑に触れ、安倍内閣として米政府に事実確認を求めないのはおかしな話です。特定秘密保護の保障を米政府から求められている安倍晋三首相の二つの携帯電話を「問題ない」と考えているなら、それこそ大間違いでしょう。彼らには、日本に対しても前科があるのです。

 独国についても、米国にとって同盟国だからこそ、ゲアハルト・シュレーダー前首相のころから通信を傍受してきました。彼が仏国と連携してイラク戦争に反対したことは、米国にとって警戒の対象となり、同時に米国は彼の露国との緊密な関係も疑っていたはずです。

 すなわち、仮想敵国であれ同盟国であれ、米政府はとにかくそれらの情報を知りたがるのであり、その欲求を止めることは出来ません。各国政府が「もう傍受されているもの」と思って対策を講じていくしかないのです。

 NSAは中共について、第一級で通信を傍受すべき対象としています。しかし、韓国の大統領にはそれほどの価値を認めていないでしょう。それこそが仮想敵国と同盟国の差です。いたずらに騒いでいる韓国はむしろ、自分たちが今後第一級で盗聴されるに堕ちるかもしれないことを警戒すべきではないでしょうか。

【11.4 第9回憲法問題決起集会のお知らせ】
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