中共の報道と権力闘争

皇紀2671年(平成23年)7月29日

 わが国に於いて空想科学小説の分野を大きく開拓された作家の小松左京先生が26日午後、大阪府箕面市の病院で肺炎のため亡くなられました。80歳でした。

 実は私が小学生の頃から強い影響を受けた小説家こそ小松先生であり、読みふけった作品は『日本沈没』や『復活の日』『首都消失』といった大作のみならず、ここに決してあらすじを書くことの出来ないほど恐ろしい話である『くだんのはは』などは、今でも色あせることなく、私が密かに「物書き」を目指した当時の夢を思い起こさせます。

 小松先生は、大阪芸術大学の教授でもいらっしゃいました。現在も同じ分野の眉村卓先生が教授を務めておられますが、小松先生が未完に終わらせてしまわれた『虚無回廊』は、かつての『日本沈没 第二部』のようにどなたかが続きを書かれるのでしょうか。

 私に文章を書くことへの強い関心を与えて下さった小松先生に感謝し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

————————————

 http://www.cnn.co.jp/world/30003507.html
 ▲米CNN:「疑問禁止」 中国政府が鉄道事故報道でメディア締め付けか
 http://www.cnn.co.jp/world/30003484.html
 ▲米CNN:中国鉄道省報道官「中国の技術は先進的」、事故後も言明

 ここで25日に取り上げた中共の高速鉄道事故を巡り、特にわが国では、共産党の広報機関である国営報道の大きな変化(鉄道省がもみ消そうとした事故原因の解明を求めるなど)に対する「開かれつつある中国」という伝え方が目につきます。果たしてそうでしょうか。

 これは、胡錦濤国家主席から習近平次期国家主席(予定)へと権力が移行する、すなわち中共が繰り返してきた「革命」の一事象として、鉄道部を草刈り場におぞましい権力闘争が起きているに過ぎません。まさか中共の報道が人民に広く開かれつつあるわけでも何でもないのです。

 江沢民前国家主席を中心とする上海幇(上海閥)と闘争してきた胡主席ら共青団出身派は、劉志軍前部長らを収賄容疑で更迭した時から鉄道部を叩き潰すべく実力行使に出ており、事実を隠すか、或いは現在落としどころを探っているのが上海幇でしょう。胡現体制は、上海幇に事故調査を妨害されているのかもしれません。

 これが繰り返される「革命」の怖さであり、人命など軽んじられる共産主義国家の残酷さなのです。私たちは決して惑わされてはなりません。

スポンサードリンク

Comments are closed.