大企業が国内生産へ回帰

皇紀2674年(平成26年)1月9日

 http://www.nikkei.com/article/DGXNASGD07046_X00C……
 ▲日本經濟新聞:キヤノン、国内生産5割に上げ 円安長期化にらむ

 精密機器製造大手のキヤノンは、高機能の写真機や印刷複合機などの国内生産を回復させ、来年にもその比率を現在の四十二%から五十%に引き上げると発表しました。

 最近では、冷暖房製造大手のダイキン工業が中共から国内への製造回帰を発表しており、異常な円高状態の終焉を見据え、わが国企業がいよいよ動き始めたというところです。

 内需が回復すれば、彼らは設備投資を増やします。もちろん雇用も回復し、給与が上がります。安倍晋三首相は本年の目標を「国民一人一人の給与を増やすこと」と繰り返し発言していますが、そのためにはまず内需回復しかありません。

 私は旧年十二月二十日記事で、既に安倍首相の経済政策(アベノミクス)は失敗しており、その挽回策の一つとして「円安の定着」を挙げています。

 この中で、現状を「海外に生産拠点を置いた企業がわが国に還っていない(中略)すなわち給与を含む雇用状況も決してよくなっていない」と評価しましたから、ダイキンやキヤノンの判断は歓迎すべきことです。

 しかし、これは国内企業の中でほんの一握りの大企業のうちの、たった二社に過ぎません。私たち国民の殆どが大企業では働いていないのです。

 私たちの多くが初任給十七、八万円程度の企業で、何年経っても給与は上がらず、それでも現状維持を耐え抜き、いわば「パンケーキ」を並んで食べることよりも「恵方巻」を都心の一部屋で食べることに執心しながら黙って生きています。

 安倍首相が最も恐れるべきは、米国でも中韓でもありませんともすれば国民の六、七割にも達し始めたこの層(いわゆる「サイレント・マジョリティ」とも被る)であり、ここから失業者を出さないこと、餓死者を出さないことなのです。財務省や経済産業省の官僚諸氏、或いは最も国のことを考えているはずの保守派が、この現実をまるで分かっていません。

 国民の半数以上の経済活動が停止すれば、国家は必ず致命的に衰退します。この層が黙って生きているのをよいことに好き勝手なことばかりしていれば、間違いなく突然暴動のようなことが起きて政治家や官僚の殆どが惨殺されかねないのです。

 加えて申せば企業は、一度手放した技術者が簡単に戻ってくると思ってはいけません。外国で販売するためのものは海外で製造する方針にあまり変わらないでしょうが、今以上の技術流出を放置すればわが国企業は決して生き残れないのです。

 かつて日本經濟新聞社らは中共への進出や投資を呼びかけ、主に保守派から痛烈な批判を浴びました。現在では中共への投資が激減し、うまく中共から撤退出来た企業から順に救われるというような様相を呈しています。

 それは大変結構なのですが、目下私たちの見ている現象が断片的に与える印象とは裏腹に、内需は全く回復していません。安倍首相は本年こそ大大的に「食料も資源も国内生産!」と言い切り、国民経済の勢いを上げるべきで、こう言わないほうが、世界が見えていないのです。

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『大企業が国内生産へ回帰』に3件のコメント

  1. *:

    【都知事選】
    舛添氏、自民都議会と政策議論 石破幹事長が要請
    2014.1.9 11:41

     東京都の猪瀬直樹前知事の辞職に伴う都知事選(23日告示、2月9日投開票)に出馬の意向を表明した舛添要一元厚生労働相(65)は9日午前、自民党都議団と同日午後に会談し、都政をめぐる主要政策について意見交換することを明らかにした。都内で記者団に語った。

     舛添氏は昨晩に自民党の石破茂幹事長から電話で「都議会で政策を細かく聞いてみたい」という要請を受けた。自民党都連は舛添氏を支援する方向で検討に入っており、舛添氏との議論を経て政策協定を結ぶかを判断する。
    http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140109/elc14010911440001-n1.htm

    自虐史観の石破幹事長に、反日舛添氏の推薦反対メールを!
    自民党へのご意見
    https://www.jimin.jp/voice/

  2. cocoa:

    今晩は。

    確かに企業は国内に戻るかもしれません。
    東芝のトルコの地熱発電設備も国内生産するとのことです。
    しかしながら、果たして日本人がこれらの企業で勤務できるのかどうかが問題になるような気がいたします。
    これによって移民問題が加速していくのではないか・・・という不安を払拭することができません。
    折しも後進国の賃上げ拡大している模様ですが、財界が一度人件費の削減に味を占めた訳ですから、
    移民の圧力を政府にかけていくという最悪なシナリオを考えてしまいます。
    移民法や帰化法の再考なども未だに論じられることのないまま、なし崩しに移民などを受け入れて日本人は幸福になれるか疑問を持たずにはいられません。

  3. yuka:

    >私たちの多くが初任給十七、八万円程度の企業で、何年経っても給与は上がらず、それでも現状維持を耐え抜き、いわば「パンケーキ」を並んで食べることよりも「恵方巻」を都心の一部屋で食べることに執心しながら黙って生きています。

    ごまんとある政治ブログのうち山盛りの保守系で、こういうことが書ける人が何人いますか?
    たいていの真正保守は息苦しくて国民的支持など得られないと思います。それにどこもかしこも情報の少ない中韓批判だらけ。分析と対策よりもただの殴り書きみたい。
    こういう現実を理解している人に私は政治家になって欲しいです。
    左翼系がよくこの手のことを書きますが、彼らは結論が間違っています。それは考え方が日本国民のほうを向いていないからだと思います。だからやっぱり息苦しい。弱者の味方のフリをして結局は人のほうを向いていないのだから。
    遠藤先生のような人にテレビに出て啓蒙して欲しいし、総理大臣にもなってほしいと私は真剣に思います。