百田氏発言の何がマズかったか
鹿児島県南部と沖縄県北部を中心に昨日、一時は大雨特別警報が発令されるほどの豪雨被害が発生しました。また、四国電力管内では同日夜、最大三十六万戸を超える大規模停電が発生し、一時間以上にわたって不便を強いられたようです。
被害に遭われたすべての方がたに、衷心よりお見舞い申し上げます。
今月五日、漫画家の楳図かずおさんが十月二十八日に亡くなられていたことが公表され、特に『漂流教室』(小学館文庫刊)を「歴史的傑作」と讃えていた作家の百田尚樹さんは、この傑出した空想科学(SF)作品の刺激を思い出してか、とんでもない発言をしてしまいました。
まずは、改めて楳図さんの訃報に接し、衷心よりお悔やみ申し上げます。楳図さんは、和歌山県が生んだとてつもない芸術家、表現者でいらっしゃいました。
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百田さんの発言の「何がマズかったか」と申しますと、第五十回衆議院議員総選挙で晴れて政党要件を満たした日本保守党の代表として「少子化の原因を見誤っているのでは」と私たち国民に疑われてしまった点です。
公党の代表たる百田氏が「やってはいけないこと」「あくまでSF」と三回も断った上で述べたことは、それが作家の空想としても、私たちが「そのような発想になってしまうのか」と思わず落胆するもので、さすがに党事務総長の有本香氏も特にかばわず、おつき合いがあった様子の作家の石平さんが発言を批判したところ、百田氏がその公開批判を批判する(ツイッター(X)を参照)というよくない展開になってしまいました。
参照ツイート(ポスト)で百田氏自らが弁明しているように、少子化の原因について、前日には国民経済の問題を述べたと思います。そうした認識は、ここでもさんざん申してきたことで、正しいのではないでしょうか。
ただ、たとえSFにしても、少子化の原因が女性だけの問題であるかのように、いやそう思っていなければ発想しないであろうことをとうとうと述べてしまったことに、作家としてではなく公党の代表としての問題を浮き彫りにしてしまいました。
私たち国民の中には、百田氏らの日本保守党に多くの期待を寄せている人びとがいます。私自身は、そうした人びとの中にはいませんが、期待している人びとの想いをそれなりに理解しているつもりです。
わずか六万人程度の支持増でやけに議席が増えてしまった立憲民主党や、軽率な支持増に浮かれているれいわ新選組を見る限り、参政党や日本保守党こそが自民党を脅かす存在でなければなりません。国民民主党にキャスティング・ヴォートを持っていかれたことを、もっと悔しがってほしいのです。
内輪もめに発展した参政党を以前、厳しく批判した百田氏でしたが、その百田氏自身がことほど左様に軽率な発言で「そら見たことか。右翼は怖い」などといわれのない誹謗中傷を受けるようでは、日本保守党に対するというより、現下の「岸破森進次郎政権」を認めない保守派の将来そのものが曇り始めるではありませんか。
SFの設定としては、いわゆる「ディストピア(暗い未来)を描いた作品」によくあるものです。それでも、少子化を語る上で決して披露すべき空想ではありませんでした。
放送作家時代からその手がけられた作品を振り返ってみても、作家として極めて優れた百田氏ですが、個人の発言を「やめる」とまで自覚した(該当ツイートを参照)通り公党の代表としては、以前からあまりにも発言が軽率です。それが日本保守党の危うさそのものになっています。
まるで保守派が女性を「子を産むためだけの存在」のように考えている、と激しく勘違いされる(左翼・極左に燃料投下する)ような発言は、仮にもその考え自体がありえないほどの間違いですから、二度としないでもらいたい。