低成長で税収増の国民的惨事
既に今月一日に財務省が公表した資料で、令和四年度の政府一般会計税収が七十兆円を超えることは分かっていました。
まず初めに、産經新聞社から朝日新聞社に至るまでどの新聞社も「国の一般会計税収」と書くのをやめなさい。徴税権力を掌握しているのは、財務省を含む政府であり、行政権力です。
財布を肥やすのが「国」なら、私たち国民の懐もそのまま温かくなるはずですが、実際には「政府」だけが肥え太り、ほとんど多くの国民は、餓死していくように痩せ細り始めました。
では、本題に入りましょう。
税収は、物価上昇などの影響を含めてはじき出される名目国内総生産(GDP)に連動しやすいと言われてきましたが、例えば二十年前のGDPが五百三十一兆円なのに対し、最高税収を叩き出した昨年度のGDPは、五百五十六兆円にしかなっていません。
つまり、GDPがまるで伸びていないのに税収だけが伸びたわけで、これでは国民経済が疲弊、いや、もはや破綻したと申しても過言ではないでしょう。
経済協力開発機構(OECD)の統計でも、諸外国に対してわが国ばかりがほぼ賃金上昇もなく、讀賣新聞社の「給与所得が増えたことが増収に」の記述、すなわちそのまま財務省の分析なのですが、これは全く間違っています。
また「個人消費の持ち直し」の記述も不正確で、医療関連利権に煽られた武漢ウイルス(新型コロナウイルス)狂乱がもたらした「国民的機能停止」を前提に、少しは出歩くようになったのと同時に全世界的物価上昇がやってきたにすぎません。
私たち国民の多くは、給与が低水準のまま物価ばかりが上昇し、経済現象で最悪のスタグフレーションを起こしているのを政府に黙って見逃されているような状態にいます。餓死しそうな国民を前に政府が「死んだふり」するのは、これに対処する能力がないからです。
一方、以前から申してきた通り円安が企業業績を好転させるのは事実です。法人税収が伸びたのは、一面としてその恩恵があったでしょう。
しかし、給与は変わらないのに物価ばかりが上がり、苦しいのに税率が上がり、社会保険料が上がり、非正規従業員からもむしり取り、配偶者控除もなくそうとし、私たちの国民負担率(潜在的には五十六%を超えている)は、社会福祉の制度破綻に対して異常水準に差しかかっています。少子化の原因もこれです。
税というのは、徴税した時点でいわば役割を終えています。集めた税金で政府一般会計の予算を編成、執行しているのではありません。予算は、国債によって組まれています。
ところが、文字通り「財務省の犬」のような経済評論家がしたり顔で「これでも社会福祉関連予算が足りない」などと言い出し、政治家も国会での仕事を忘れて「そうだ、そうだ」と無い頭で連呼するものですから、多くの国民も自ら餓死する道を歩き出してしまいます。
死んで年金が支給されますか? 年金保険料を徴収しているくせに、税収は本来関係ありません。年金制度は、徴収した保険料と国債の二階建てで支給を確保すべきなのです。
こうして無意味な増税を容認し、財務省をはじめとする霞が関官僚の天下り先と政治家の各種利権の温存を目的とした特別会計のための予算が組まれていきます。
それ、容認しちゃダメ。ゼッタイ。