少子化を推進する岸田自民
少子化対策を特別会計にするのは、一般会計とは歳入も歳出も別にして事業運用をいわば可視化するということですが、ほとんど意味のない予算化のために国民負担を増やし(増税と社会保険料を引き上げ)て、少子化の症状を進行させるだけです。
岸田政権は、社会保険料の引き上げを検討していますが、自民党の茂木敏光幹事長がそれを否定しています。政府はともかく与党としては、今夏にあるとされる衆議院議員解散総選挙を前に、その決定時期をずらしてほしいのでしょう。
厚生労働省の国民生活基礎調査に基づいて申せば、いわゆる「子育て世帯」の税負担と保険料負担を増やすことで、ますます少子化を推進するようなものです。
昭和四十六年から四十九年生まれの「団塊ジュニア世代」が高校生から大学生の頃に発生した平成不況に当てられ、歴代政権の無策と失策が続いて「団塊ジュニア・ジュニア世代」を誕生させられなかった少子化最大の原因は、全て経済的困窮にありました。
給与下落(デフレーション)の影響は、女性が自分よりも年収を稼げない男性との婚姻を避ける傾向と思いっきり重なり、団塊の分だけ厳しかった「(当時盛んに言われた)受験戦争」を勝ち抜いても、幸せな生活を手に入れることが極めて叶いにくかったのです。
「女性の権利と自由」が大声で叫ばれるようになって久しいながらも、一方でまるっきり置き去りにされていったのは、多くの男性の自由と権利でした。
この左翼論壇が主導した破壊運動の顛末を語らずして、少子化の傾向と対策を語ることはできません。わが国は、男女平等を見失った「女尊男卑」の国へ転落していったのです。
わが国古来の男女の在り方に、欧米の権利闘争を持ち込んで混乱させた人権運動は、経済問題と重なるもう一つの少子化の原因にほかなりません。
児童手当の拡充のために扶養控除の見直しをも検討するという岸田政権こそ、主に女性配偶者の負担軽減を台無しにする(男女の負担均等で実は)男女平等を見失った政策であり、世帯という家族の意味を私たち国民に見失わせる破壊的政策です。
このような案しか出てこない財務省と厚労省は、もはや機能不全を起こしています。それを止められない自民党なら、政権与党の資格はありません。
少子化阻止を謳いながら少子化促進の策を堂堂と披露してしまうさまは、もうほとんど行政権力として末期であり、政策案にもならないものを議論の俎上に載せてしまえる自民党は、恥を知りなさい。本日取り上げた案には、すべて反対します。