日銀の後任人事と次期首相

皇紀2682年(令和4年)12月22日

 日本銀行の黒田東彦総裁は二十日、大規模な量的金融緩和策に於いて、十年物国債の上限金利を0.25%から0.5%へ引き上げました。

 これを事実上の利上げと受け取られることを承知で、嫌嫌ながら踏み切ったのは間違いありません。

 十七日記事で申したように米連邦準備制度理事会(FRB)は、高金利の長期化を表明し、景気後退を覚悟の上でわが国以上に深刻な物価高(インフレーション)をいわば退治する策に出ました。

 これは、米国の給与水準が高いからできることです。わが国はどうですか? 申すまでもなく給与下落のまま物価上昇(スタグフレーション)が起きて、そこへ日銀が利上げすれば深刻な景気後退を招きます。

 だから黒田総裁は、やりたくもないことをやってしまいました。いや、来年四月の退任を前にやってはいけないこと(追加利上げ)への道筋を示さざるをえなくなっているのかもしれません。

 米国との協調介入もできなかった日銀は、前出記事中でも申した通り「米経済が安定するまで『世界は待て!』」と言われ、常に判断を誤る財務省の「米国の景気後退が日本に伝染することはない」という根拠なき自信(圧力)に押されたのでしょうか。

 再び円高局面へ反応した金融市場ですが、元に戻る可能性があります。そうすれば目先の利益を欲しがる「輸入品の価格が下がって買いやすくなる」状況は消え、ただただ金融の還流が目詰まりを起こし、未曽有の内需爆死を招きかねません。

 たたでさえ成長戦略なき金融緩和で、健全な金融の還流が機能していませんでした。財務省主導の大規模増税のタイミングで利上げすれば、わが国経済が脳梗塞を起こして死亡します。

 黒田総裁が慎重な姿勢を崩さなかったのは、圧力を受けながらも再度申しますが「やってはいけないこと」と認識しているからでしょう。内需回復に向けて日銀がアクセルを踏み続け、財務省が何度もブレーキを踏んできたわが国では、日銀に耐えてもらうほかないのです。

 安倍晋三元首相が暗殺されてしまい、岸田文雄首相のタガを外した財務省が増税を強要し始めたことは、ことほど左様に日銀の判断をも狂わせます。

 黒田総裁の低金利策を非難し続けてきた「日本が嫌いな連中」は満足でしょうが、みすみす彼らの思惑通りに私たち国民の経済を破壊されるわけにはいきません。日銀総裁の後任人事を睨めば、先月八日記事で指摘した財務省の操り人形を置くわけには絶対にいかず、次期首相の選び方に細心の注意が必要ということになります。

 河野太郎デジタル相では、財務省の要求通りの人事を「了」とするでしょう。それでは駄目なのです。

 敢えて申しますが、いわゆる「アベノミクス」の基本方針と、明確な成長戦略(国土強靭化、国内生産回帰や農林水産の再生計画など)と大規模な財政出動なくアベノミクスが失敗した事実の認識を、高市早苗次期首相候補に持っていただきたい。そして、今度こそ周到に成功させるのです。

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『日銀の後任人事と次期首相』に1件のコメント

  1. 八百万の神の自由:

     日銀政策は、まだ判別つきませんが、言われる通り、世間の圧力に負けて輸入物価高騰、需要(消費)不足デフレのまま「引き締め」に転じない事を願います。

    > (国土強靭化、国内生産回帰や農林水産の再生計画など)

     こういう基礎的ながら重要事項が現与党法案には決定的に欠けてますね(特に倒産、廃業が始まってる農業)。
     で、先端分野は野党が無関心で微前進という体たらく。
     来年、台湾、尖閣有事で日本のウクライナ化にならない事を祈る。
    やはり米国の走狗にならず自主独立の判別をする為にも自主核武装を可能な限り思考せねば。