「相次ぐ値上げ」の正体

皇紀2681年(令和3年)8月26日

雪印メグミルク、マーガリンなど最大12%値上げ 油脂高騰で10月から:時事ドットコム

雪印メグミルクは12日、マーガリンやホイップクリームなど家庭用14品の希望小売価格(税別)を1.9~12.2%値上げすると発表した。10月1日出荷分から。主原料の油脂価格が、産地の天候不順や世界的な需要拡大で高騰しているため…

(時事通信社)

 先日、週刊ダイヤモンドに在米音楽家の大江千里さんが「ニュー・ヨーク市のラーメンは一杯二千二百円なのに日本は安すぎる」と話したらしい記事が出ましたが、あれは米東海岸ニュー・ヨーク市の外食事情と物価についての説明が不十分であまり参考にならず、スイス(瑞国)の物価が高いのも永世中立国ゆえの事情などを無視して語ると頓珍漢な話になりがちです。

 しかし、例えば欧州の独国が平成二十六年に初めて最低賃金を制度化した際の八.五〇ユーロ(当時日本円で約千二百円)というのは、私たち日本国民を驚かせるに十分でした。英米よりも高い水準ですが、これでも仏国(九.四三ユーロ)よりは低かったのです。

 あれからどうなったかと申しますと、本年七月一日に九.六〇ユーロ(現時点で約千二百四十三円)に引き上がり、さらに来年一月一日より九.八二ユーロ(約千二百七十二円)、七月一日には十.四五ユーロ(約千三百五十三円)に引き上げられることが既に決まっています。

 これまた最低賃金だけで国家経済を論じると話がおかしくなっていくのでここまでとしますが、要は武漢ウイルス(新型コロナウイルス)騒動で世界各国の経済が弱体化していくのかと思いきや、実はわが国以外の先進諸国は好調に転じているのです。

 これには、そもそもの購買力平価など例示しておかねばならない事項がたくさんありますが、端的に申しますと武漢ウイルス騒動に甘んじた各国政府がそれなりの経済対策を国民に向けて打っており、回復後の予測から資材の奪い合いまで起き始め、騒動で一旦生産力が落ちたせいもあって注文が殺到している製造分野が出てきました。

 わが国とそうした先進諸国との違いは、まずわが国の消費税が「消費に対する懲罰課税」になっており、国民年金などの社会保障の著しい制度疲労からくる国民的不信感があることを前提として申しますと、何ら一切と申して過言ではないほど国民に対する経済対策を打っていません。

 安倍前政権での思い切った「すべて国民に十万円の給付金」は、武漢ウイルスで稼ぎ始めた「にわか専門家」どもに騙され続ける政府が緊急事態宣言を発出するたびに実施すべきでした。菅政権には、この思い切りが全くありません。

 何度も申しますが財政出動というのは、適時に思い切った規模でやらねば効果を発揮しないのです。財務省と創価学会(公明党)のせいでチビチビ・ケチケチ実施した過去のものは、すべて失敗しています。

 世界経済を牽引する先進国の中でわが国だけが経済成長しておらず、輸入資材についていわゆる「買い負け」が起きているのです。それが生活必需品の度重なる値上げの正体であり、天候不順がどうのという話は、この「買い負け」の顛末でしかありません。

 安倍前政権でまず日本銀行が量的金融緩和をした時から、私は「成長戦略が先であり、これでは失敗する」と申しましたが、以後悔しいことにその通りになりました。

 本当は、わが国には莫大な資産があり、私たち国民がもたらす潜在的経済力を私は今でも信じています。わが日本に、必ず陽はまた昇るのです。

 ところが、財務省の主税・主計権力を前に政府は、生活必需品にまで懲罰課税を施したまま何もしません。国土強靭化海底資源開発などの成長政略も実施せず、目の前の話をすれば東京都新宿区や文京区の一部でガス管が破損して商売も生活もできないという有り様です。これが日本の姿ですか? いいえ、私は違うと思っています。

 わが国のデフレーション(給与物価下落)が深刻だと申してきたのは、物価は(物によりますが)さほど下がっていないのに給与が上がらないどころか下がり続けてきたことです。

 食糧まで輸入に頼り、結果としてその価格の上昇に耐えきれなくなってきたわが国企業は、社員や従業員の給与を到底上げられません。食糧自給率の上昇目標を立てて農業を活性化させるのも成長戦略になります。

 打てる手はいくらでもあるのです。それを打たずに「みんなで貧しくなろう」に堕ちたわが国を変えようではありませんか。武漢ウイルスに打ち勝つ乗り越えるというのは、そういうことです。

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『「相次ぐ値上げ」の正体』に1件のコメント

  1. 八百万の神の自由:

     財政出動を伴う成長戦略、賛成!

    総裁選出馬の高市早苗議員が、三橋貴明チャンネルで見事な経済政策を表明してますね。
    https://youtu.be/kOIVHeWDOTY

     動画コメ欄で、アベノミクスに期待し裏切られた人達は、「もう騙されない」「安倍の二の舞」と手厳しいですが、私は、高市経済安保政策での衆院選なら自民に最後の期待をかけようと今は思ってます。
     小選挙区制だから死に票は嫌ですしね。(横浜市長選後のような反日野党のしたり顔はもう見たくない)
     やっぱり中選挙区制に戻さねば!

     兎に角、一刻も早くネオリベ御用達の主流派(新古典派)経済学の「財政破綻幻想」を破棄しなければ、日本が滅ぶ。