北朝鮮「今」と思った理由

皇紀2671年(平成23年)12月20日

 事実として、北朝鮮の朝鮮中央テレビと朝鮮中央放送、平壌放送は19日正午、最高指導者の金正日が死亡したと伝えました。

 これまでにも何度か死亡情報が流れましたが、全て管理された北朝鮮の報道が死亡を伝えたことにより、それが確定したことになります。

 朝鮮中央テレビの李春姫アナウンサーが10月19日以来姿を消していたのも、新春の特別放送に備えていたのではなく、恐らく今回の死亡報道に備えていたと考えるべきでしょう。

 すなわち、急死は事実だったにせよ「2日前に現地指導に向かう途上、心筋梗塞で亡くなった」というのは作られた物語で、現最高指導者の死亡と、新しい金正恩体制への移行を発表する時期が探られていたことになります。

 あのような不思議な地域ですから、彼らの挙動を予測することは難しく、また情報も少ないのですが、ただ一つ申せることは、北朝鮮がなぜ今なら金正日の死亡を発表し、金正恩を後継者としてしまえると考えたかが重要だということです。

 その答えは、わずか2日前の18日記事に改めた内容にありました(12月18日記事参照)。

 米国務省は大統領官邸と意見をすり合わせ、共和党ジョージ・W・ブッシュ政権の末期から対北朝鮮外交の強硬路線を転換し始め、そのまま民主党バラク・オバマ政権も、米韓同盟に於いて李明博政権による朝鮮半島の南北緊張を嫌悪しています。次期韓国大統領は、またぞろ金大中、盧武鉉の再来となるかもしれません。

 結果そのあおりを最も喰っているのはわが国であり、韓国で「従軍慰安婦」を自称する者がいる問題の蒸し返しより何よりも、北朝鮮による日本人拉致事件の全面解決に向けた日米の連携が崩れたことは、極めて大きな痛手でした。

 平成17年の米愛国法に基づく対朝金融制裁が効くはずだったところを、同年から日本の民主党や破壊活動団体が対朝裏送金を始めたため、金正日体制は維持、米国は方針転換を余儀なくされ、結局わが国は米国に裏切られたのではなく、米軍のわが国に対する占領統治(大東亜戦争に対する罪悪感の植えつけ)が効きすぎたために米国を裏切ってしまったのです。

 核開発をめぐる米朝協議では、つい2日前に北朝鮮がウラン濃縮計画の中止を口にしてみれば、米国が食糧支援を表明するところだったわけで、今なら北朝鮮が金一族体制の継続を安心して発表し、諸懸案の議論を先延ばしに出来るうまい機会でした。ただし、今後も維持出来るかは、人民軍内部で権力闘争が起きるか否かによるでしょう。

 金正日死亡の報は、露国には事前に伝えられましたが、中共には伝えられていません。それが金正恩体制への移行に禍根を遺すことになるでしょう。中朝国境は再び緊張します。一方、わが国へは朝鮮総連に伝えられたようですが、野田佳彦首相の耳に入ったのは、正午を大きく過ぎ、街頭演説(のちに中止)のため新橋駅前に向けて官邸を出た後でした。

 拉致問題担当は「問責可決」の山岡賢次国家公安委員長ですが、それでも私たちが政府に訴えるべきは、老練な側近に取り囲まれた新しい金正恩体制に対し、或いは別の新体制との交渉をも想定して、拉致被害者の全員を即時帰国させるよう今こそ取り組め、ということ以外にありません。これだけは改めて皆で声を上げましょう。

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