考えてから脱原発を言う

皇紀2671年(平成23年)6月14日

 http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008……
 ▲ブルームバーグ:イタリア国民投票 原発再開を拒否-首相の基盤弱体で選挙前倒しも

 買春や汚職の容疑に問われているシルヴィオ・ベルルスコーニ首相に対する不信も助けて、伊国の「脱原発」などに関する国民投票が成立し、国民の意志はまさしく「脱原発」を示しました。

 しかし、独国や瑞国(スイス)もそうですが、彼らが自国内での原子力発電推進の手の平を返すという感情をむきだしに出来た理由は、欧州に於ける電力の自由化があり、域内の送電網を整備したことは極めて利口だったにせよ、いわゆる「原発大国」の仏国から電力を輸入し続けてきたからです。

 その仏国では、今後も隣国への電力輸出を視野に入れて原発の増設が計画されており、すなわち欧州全体の原発依存は決して変わりません。

 独国、瑞国、そして伊国の「脱原発」国民行動を羨望するのは結構ですが、いわば彼らは単に原発を他国に追いやっただけであり、電力供給や高い電気料金などに関する根本的問題を何も解決出来ていないのです。

 静岡県浜岡原発の停止や自然資源エネルギー庁構想を打ち出した菅直人首相に対する擁護論を展開する方々にも申したいのは、残念ながら彼は「米国製の原発政策」から全く脱却していません。もし本当に菅首相が、私も提言している「脱原発」で腹をくくったというならば、数値(年度)目標を示してわが国にある全原発の廃炉を発表出来るでしょうし、それに替わる有用な発電行政の構築に向けて国内に既にある技術の導入を複数提示しているでしょう。

 それが特に東支那海や沖縄県石垣市尖閣諸島近海でのガス田開発であり、メタンハイドレートの採掘やオーランチオキトリウムの精製技術の確立を、国策として決断することにほかなりません。また、国家の安全保障上、電力供給手段は多岐に渡っているほうがよいので、海流・潮流発電や、もはやダム建設など必要としなくなった水力・水路発電、もちろん太陽光発電のさらなる効率化を目指すことや風力発電機を海上に設置することも否定しないでおきましょう。

 例えば、地熱発電の技術はわが国が世界最先端であり、海外では日本企業が設計・施工した発電所がとっくに稼動しています。ただ、わが国で地熱発電に適した場所は国定公園内に多いため、この問題についても政府がどう決断するかにかかっていますが、菅首相がこれらに対して何か思案があると思いますか? 決断し、実行出来ると信じられますか? 信じられるとすれば、その根拠はどこにあるのでしょうか。

 昨日も申しましたが、わが国政府は経済も政治も安全保障も、いえ法律までも米国の顔色を伺わなければ動かすことは出来ません。簡単に「脱原発」「自然資源」を口にしても、それを実行に移す具体的施策は、現在実は独国・瑞国・伊国、そしてわが国の皆が何ら持ち合わせていないのです。

 幸い「資源がない」と擦り込まれてきたわが国には、大量の資源が眠っています。それらを生かし、世界最先端の技術を開発、或いは既に開発されている技術の導入をもって、全世界に新たな資源エネルギー政策を示すことこそ、わが国の役目です。資源も技術も輸出し、内需を回復させることも十分可能なのです。

 そのような「強い日本」になっては困ると思っているのがどこの国か、雇用や貧困の問題を叫ぶくせに「強い日本」を拒否する個人や団体がどこの国の代弁者か、よく考えてみて下さい。

 真正保守政策研究所:新しい資源エネルギー政策を提言します

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『考えてから脱原発を言う』に1件のコメント

  1. tom-h:

    未だに原発現状維持を唱える人達にも賛同できかねますが、CO2の25%削減のために原発増やすといった民主党を支持しながら手のひらを返すように反原発を唱え出した人に多い「にわか」反原発論者にも同意しかねますよね。