菅首相の「菅」違い?

皇紀2671年(平成23年)2月8日

 7日は「北方領土の日」でしたが、私が当日にこのことを大きく取り上げないのは、本年より新しく設置された1月14日の「尖閣諸島開拓の日」(沖縄県石垣市尖閣諸島)や、2月22日の「竹島の日」(島根県隠岐郡隠岐の島町竹島)に比べて、国際法上現在も通用する手続きが行なわれた日付を根拠にしていないからです。

 2月7日とされた根拠は、日魯和親条約(当時)が日露間で締結された日(旧暦では安政元年12月21日)なのですが、この条約は明治28年に無効になっています。占領憲法を無効に出来ないからと言って、そのわが国が既に無効になった条約を持ち出して「四島返還」をうたうからこそ、択捉島・国後島・歯舞群島・色丹島すら取り返せないのです。

 ただ、この日に北海道内、特に根室市だけではなく、全国各地で市民の手によって集会や街頭活動が行なわれ、領土奪還の意識が啓蒙されることは、例年大切なことだと思っています。

 http://www.asahi.com/politics/update/0207/TKY201102070453.html
 ▲朝日新聞:北方領土の日に菅首相「ロシア大統領の国後訪問は暴挙」

 その全国大会の場で菅直人首相は、昨年11月に露大統領が国後島に侵入したことを「許し難い暴挙だ」と表現しました。少なくとも「尖閣諸島開拓の日」を無視した菅首相が、突如勇ましく領土保全を言い出した、ということでしょうか。

 恐らく違います。菅首相が北方領土に対してだけは強気の原稿を用意させ、読むことの出来た理由は、まるで「村山談話」が歴代首相によって踏襲されてきたように、ただなぞっただけであり、対米従属に忠実であることからくるわが国首相にしか分からない安心感からくるものだったに違いありません。

 菅首相のわが国領土に対するこのような一貫しない態度を見る限り、米国は共和党ブッシュ政権初期に於いて日中対立を扇動し(これに従順に呼応したのが小泉政権)、後期に米高官の対中利権擁護のためにこれを緩和させ、民主党オバマ政権は日中対立を最初から迷惑な事柄と認識していることが分かります。一方、露国に対しては、日本が一貫して対立の先陣となることを望んでいるようです。

 露国はこのことと、さらに私たち日台の政治活動家が連携して帰属問題を言い始めたこと(米国での訴訟等)を知っており、一貫した政策を持たない菅政権のうちに実効支配の足固めをさらに進めてしまおうとしています。菅首相はいざとなれば米国政府が味方になってくれるとでも思っているのでしょうが、梯子を外されるだけだというのが分からないのでしょうか。7日の強気発言は、とんだ勘違いによるものだったということを、私たちは知っておくべきです。

 いわゆる「北方領土問題」は、日米露が絡む「面倒くさい懸案事項」であり、ゆえにいざとなれば米国は逃げて露国が武力に訴えてくるに違いないのですが、当事者はまさにわが国だということを忘れてはなりません。

 無効になった条約を持ち出すのではなく、まず明治8年締結の樺太・千島交換条約と、明治38年締結の日露講和条約(ポーツマス条約)により、現有国際法上有効な千島列島の全島と南樺太の日本帰属を確認し、一方的に破棄された日ソ不可侵条約と未調印のままの桑港(サン・フランシスコ)講和条約の問題をわが国が露国に突きつけ、その上で桑港講和でわが国が提示した条件などを再提示して日ソ共同宣言の約束(日露平和条約の締結)を果たすのです。

 これを前提としない限り、今後も北海道は不完全なままです。もしあるならば日露間の不透明な闇取り引きを一掃し、毅然と法理原則に従って訴えねば、取り返せるものも取り返せません。

 現露国政府は、日ソ共同宣言さえも一方的に破棄するようなことを言い始めたので、これはむしろ絶好の機会です。法理を曲げて歯舞群島と色丹島しか明記出来なかった宣言を露国が破ってくれるなら、かえって好都合ではありませんか。首相が「菅」違いせず、腹をくくりさえすれば、決してわが国は追い詰められるばかりでなく、私たちの財産を守ることは出来るのです。

統一地方選直前!2・13「日本よ、たちあがれ!」第二回決起集会
 http://www.shinhoshu.com/2011/01/post-173.html
▲詳細は上記リンク記事をご参照下さい。皆様のご参加をお待ちしています。

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『菅首相の「菅」違い?』に2件のコメント

  1. 心神:

    久々に、一国の総理としての発言かと思いましたが残念です。
    米国ほど国益を考えてる国はないと思うのですが、日本のマスコミ・政治家・国民もそうですが、特にマスコミは何ていうのか・・国害とも言えますね?
    管さんは、総理とはちょっとちがいましたね。
    近いうちに解散でしょ・・
    既存政党危うし?
    そういう意味でも、国憂う地方主権なのか?いや、これこそが国憂う必要な地方主権なの、我々市府民としては早く判断材料が欲しいところですね。

  2. LINEAGE:

    これは目からうろこでした。北方領土に関する原理原則っていがいと誰もちゃんと教えてくれない。とても勉強になりました。

    遠藤さんのような人が台湾の独立派達と連携してくれていることを心強く思います。